看護助手になるには?資格や仕事内容を現役看護助手に聞いてみた

看護師の業務をサポートする役割の「看護助手」。

看護助手の業務には、外来やクリニックで働く場合と、病棟で介護業務も担当する場合の2種類があります。
病棟で勤務する看護助手になりたい方は、こちらの記事をご参照ください。


今回は、外来やクリニックで働く看護助手に着目していきます。

外来やクリニックで働く看護助手は、医療器具の準備や片付け、問診票の受け渡しなど、診察をスムーズに進めるための裏方的な存在です。では、現役で働いている方はどのように看護助手になったのでしょうか。
看護助手になる条件や目指す上で知っておきたいこと、キャリアパスについて、現役の看護助手の方に聞いてみました。

看護助手を目指す方か迷っている方へのアドバイスももらっていますので、背中を押してもらいたい方はぜひ最後までご覧になってください。

看護助手になるには?

看護助手になるには次の3つのポイントを押さえておきましょう。

  • 高卒・未経験でも可
  • 看護助手の資格取得を検討
  • 「看護助手 求人」で探して応募

以下で詳しく説明していきます。

高卒・未経験でも可

病院やクリニックで看護助手として働きたい場合、最終学歴が高校卒以上であれば条件を満たすことが多いです。
特定の資格取得が必要ないため、医療現場での就労経験がない方でも看護助手を目指せます。

ただし、職場によっては短大卒以上で募集をしている場所もあるようなので、自身の最終学歴に応じて応募するようにしましょう。

看護助手の資格取得を検討

看護助手の仕事をするうえで資格の取得は必須ではありません。ただし、未経験の場合は資格を取得していることで一定の知識や技術があると証明され、就職時に有利にはたらく可能性があります。

また、患者様への対応や心理状態を学んでおくことは、実際の現場に出た際にも役立ちます。未経験でも働けるか心配な方は、資格取得を検討してみてもよいかもしれません。

「看護助手 求人」で探して応募

「看護助手 求人」と調べると複数の募集を目にします。未経験でも可と記載されている求人も多く見られるため、医療現場での就労経験がない方でも働きやすいはずです。

給与や通勤時間、業務内容など、自身の条件に合った職場に応募してみてください。

看護助手を目指す上で知っておきたい4つのポイント

看護助手を目指す上で知っておきたいポイントを4つまとめてみました。

  • 給与相場
  • やりがい
  • 大変なこと
  • 向いている人

現役看護助手の方に聞いた話も盛り込んでいますので、ぜひ参考にしてみてください。

看護助手の給与相場

e-Stat 政府統制の総合窓口の「賃金構造基本統計調査 / 令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」によると、2023年の看護助手の平均月給額は222,500円でした(賞与は含まない)。

看護助手の月給額は年々増加していて、2022年は219,400円、2021年は216,100円と発表されています。2年前と比較すると月給額は6,400円のプラスでした。

現役看護助手の方にも給与相場を聞きましたが、政府の発表と大きな差はないようです。
基本給に応じて賞与の金額は異なりますが、年々昇給することで徐々に月給が上がっていくのだといいます。

引用:賃金構造基本統計調査 / 令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種
引用:賃金構造基本統計調査/令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種
引用:賃金構造基本統計調査/令和3年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種

看護助手のやりがい

2019年に全国の病院の看護助手(1,351名)を対象にして行われた調査によると、看護助手としてやりがいを感じるのは以下の項目でした。

  • 患者さん・家族から感謝される(985名、73.7%)
  • 仲間と協力し合って仕事をしている(896名、67.0%)
  • 人をケアすることで自分が成長できる(810名、60.6%)

無資格・未経験であっても、患者様やご家族の力になれることは少なくありません。直接感謝される体験や医療業界に貢献できている実感は、看護助手として大きなやりがいだといえます。

現役看護助手の方は、職場の業務が滞りなく終えられた時にやりがいを感じるようです。

患者様が来院し、快適に受診を終えるまでには多くの工程を踏まなければなりません。その工程の一端を担い、スムーズに流れるよう潤滑油として役割をまっとうするのが、看護助手ならではのやりがいなのでしょう。

看護助手で経験する大変なこと

看護助手は受付や待合室、診察室などを頻繁に往復するため、体力に自信がないと大変な思いをするかもしれません。
座って行う業務もありますが、基本的には立ち仕事が多く、勤務時間中は常に動いていることが多いようです。

1日の来院数が多い病院やクリニックでは、フォローする内容も多くなります。歩数にすると8,000歩以上は歩くことになるため、自身の体力も念頭に入れておきましょう。

看護助手に向いている人

看護助手に向いている人の特徴は以下のとおりです。

  • 人の役に立ちたいという気持ちがある
  • 他者とコミュニケーションが取れる
  • 報連相ができる
  • 体力がある

看護助手は看護師とともに仕事をするため、看護師の言っていることがわからなければスムーズに仕事ができません。
わからないことをそのままにして業務にあたると、スタッフだけでなく患者様にも迷惑をかけてしまいます。

もし難しい専門用語がわからない場合は、素直に意味を聞くことから始めましょう。教えてもらいながら自身でも学ぶ姿勢があれば、自然と知識は身に付いていくはずです。

看護助手の仕事内容

看護助手の仕事内容は大きく2つに分類されます。

  1. 看護師の補助
  2. 環境整備
  3. 患者様の身の回りのケア

具体的には、問診票の受け渡しや診察室への誘導、診療台のシーツ交換、医療器具の準備・片付け、診察室の清掃などです。

病院勤務であれば看護師の指導のもと、患者様の身の回りのケアも実施することがあります。ただし、身体介護をどの程度担当するかは勤務先によって異なります。職場を選ぶ際、自身がどのような仕事をするのか確認しましょう。

病棟で勤務する看護助手の仕事内容を詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

看護助手の仕事に活かせる資格やスキル

看護助手の仕事に活かせる資格やスキルとして、以下の2つがあります。

  • メディカルケアワーカー
  • 看護助手認定実務者

上記の2つは看護助手として必須の資格ではありません。
ただし、所属先によっては経験できる業務の範囲を広げる可能性があるため、補助的なスキルとして覚えておきましょう。

メディカルケアワーカー

メディカルケアワーカーは、特定非営利活動法人医療福祉情報実務能力協会が認定する民間資格です。
看護助手従事者の地位向上や看護助手技能の向上を図るために、国内で初めて発足された試験制度になります。

在宅で受験が可能で、介護保険適用事業所に従事している方、または従事する予定の方が対象です。試験の詳細は以下をご参照ください。

2級1級
試験形式・学科(20問)
・文章作成(800字程度)
・学科(25問)
・文章作成(800字程度)
受験料7,700円8,700円
学科試験
出題範囲
・病院環境衛生学
(看護助手論、看護マナー、消毒学)
・医科薬科学
(医科病理学群、薬理学群)
・基礎心理学
(看護と心理学、人間の間隔と心理、人間の欲求と心理、初級カウンセリング技法、実技緒論 など)
・実技緒論
(看護助手の行う看護補助業務についての実技知識)
文章作成
出題範囲
学科出題範囲及びガイドラインの事柄についての記述問題
(総文字数800字程度)
引用:特定非営利活動法人医療福祉情報実務能力協会

2級の受験資格は看護助手として1年以上の実務経験があり、実務経験証明書が必要です。
実務経験がない場合は、メディカルケアワーカー講座を受講し、修了すれば受験資格を得られます。

看護助手実務能力認定試験

看護助手実務能力認定試験は、全国医療福祉教育協会が認定する民間資格です。
病院やクリニックで即戦力として働ける人材か、知識や技術を判断する試験内容となっています。

在宅受験が可能で、受験資格は必要ないため初心者でも取得が可能です。試験の詳細は以下を参照ください。

試験形式学科問題(マークシート):35問
試験時間90分
受験料・一般の方:5,500円
・認定機関の通学受講生の方:4,500円
持ち込みテキスト等参照不可
出題範囲・看護助手業務と役割の理解:10問
・患者の理解:10問
・看護助手業務を遂行するための基本技術:15問
引用:全国医療福祉教育協会

原則として正答率が6割以上で合格でき、合格率も60〜80%と比較的容易に取得できます。

看護助手としてのキャリアパス例

看護助手としてのキャリアパス例は以下の2つがあります。

  • 准看護師を目指す
  • 別の職場に転職して経験を積む

あくまで一例ですが、現役看護助手に聞いた話も含めて解説します。

准看護師を目指す

看護助手として働きながら、准看護師を目指す方は少なくありません。
看護師と比較して学校に通う年数が短く済み、働きながら取得しやすいためです。

以下で准看護師と看護師の違いについて、表で示します。

准看護師看護師
入学要件
(最終学歴)
中学校卒業以上高校卒業以上
学習期間2年以上
(2年で免許取得可)
3年以上
履修時間総時間数:1,890時間
・基礎分野70、専門基礎分野350
・専門分野1,470(うち臨床実習735)
総単位数:102単位
・基礎分野14、専門基礎分野22
・専門分野66(うち臨床実習23)
資格発行都道府県知事の免許厚生労働大臣の免許
仕事保健師助産師看護師法第6条
「医師・歯科医師又は看護師の指示のもとで、傷病者若しくは褥婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行う。」
保健師助産師看護師法第5条
「傷病者若しくは褥婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行う。」
業務自らの判断による看護業務はできない自らの判断により、看護を提供できる
引用:准看護師になるため知っておきたいこと

看護助手をしながら看護師になるために勉強するのは容易ではないようです。そのため、学習期間や履修時間が短く済む准看護師を目指す方が多いといいます。

また、准看護師のキャリアアップに看護師があると捉えている方が多く、いきなり看護師を目指す方は少ないようです。

別の職場に転職して経験を積む

看護助手のキャリアパスプランとして、別の職場へ転職するという選択肢もあります。

たとえば、大学病院で経験する業務と婦人科のクリニックで経験する業務は大きく異なるでしょう。
関わる患者数や触れる検査器具、一緒に働く看護師の特性など、働く職場が変われば学べる分野も変わってきます。

どの職場でどのような経験を積むか、多様な現場で働くことで自身のスキルも向上していくでしょう。

看護助手を目指す人へ|現役からのアドバイス

最後に、看護助手を目指す人へ現役看護助手からアドバイスをもらいました。

「看護助手の業務は簡単なものが多いですが、その分やらなければならないことは非常に多いです。体力勝負な面があるため、自身の体調にあった職場を選ぶことをおすすめします」

「また、看護師の指示を分からないままにしていると、患者様やスタッフに迷惑をかけてしまいます。分からないことは素直に聞き、徐々にわかることを増やしてみてください。続けていれば環境にも慣れます。諦めないで続けて欲しいです」

「職場を選ぶ際は職場見学をし、定休日の有無や日勤・遅番があるかを確認しましょう。勤務形態によっては体が辛くなってしまうので、情報収集は必須です。実際に目で見た雰囲気と客観的な意見を取り入れて判断してみてください」

具体的なアドバイスも多く含まれていたため、職場選びの際に参考にしていただけると幸いです。

まとめ

今回は、看護助手になるにはどのような経歴や経験が必要か、現役の看護助手の方に聞いてみました。

高校卒業以上の学歴があれば、医療職の経験や資格がなくても看護助手にはなれます。看護助手の求人を出している職場は複数あるため、まずは未経験でも働ける場所で探してみましょう。

給与以外にも、看護助手としてのやりがいや大変なこと、そもそも自分は向いているのかを把握しておく必要があります。看護助手を目指す上で知っておきたいことも参考にしてみてください。

その上で、職場で活かせる資格やスキルの取得を検討し、具体的なキャリアパスのビジョンを描いて看護助手を目指して目指してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いたのは・・・

梶原 たくま/Webライター

保有資格:理学療法士
2014年に理学療法士免許取得。生活期の病院に勤務し、入院・外来・予防・通所・訪問リハビリテーションに従事。現在は訪問看護ステーションと医療系出版社に所属しつつ、ライター活動を行っている。