
介護の面接を目前にして、どういった準備をするべきなのか、迷ったり不安に感じたりしていませんか?
介護職の面接では、最後によく聞かれることがあります。
「何か質問はありませんか?」
面接官から聞かれるこの質問の事を、ただ不明点を質問することと素直に捉えていては、もったいないです。
これは、逆質問といって自分を面接官にアピールする機会であると認識してみてください。
本記事では、介護職の面接において、逆質問が持つ役割や、面接官に好印象を持たれる具体的な内容について解説します。
介護業界において、数度の転職経験を持ち、実際に逆質問をしてきた筆者が、具体例と共にわかりやすく説明します。
本記事を読めば、臆することなく面接に立ち向かえるでしょう。
ぜひご一読ください。
介護施設の面接での逆質問とは
面接や対談、インタビューなどの場面で、応募者や取材対象である受け手側が、逆に面接官やインタビュアーに対して質問をすることを逆質問といいます。
面接を例にあげると、終盤に「何か質問はありますか?」「何かわからないことや聞いておきたいことは、ありますか?」などと聞かれることがあります。
その時が逆質問のタイミングとなります。
「介護」の面接に対する逆質問でいえば、志望する企業に対しての不明点を聞いたり、前もって聞いておきたい勤務形態別の業務内容を質問することになります。
企業が逆質問をする3つの理由
企業が応募者に対して逆質問をするのには、理由があります。
企業は、どういった意図で応募者に逆質問の機会を与えるのか3つの理由を紹介します。
- 入社に対しての意欲はどれだけのものか確認するため
- コミュニケーションスキルに問題はないか確認するため
- 応募者が自社の社風を合っているのか確認するため
1つずつみていきます。
入社に対しての意欲はどれだけのものか確認するため
企業の面接官が確認する事柄の中に、応募者が持つ入社に対しての熱意があります。
面接官から「何か質問はありますか?」と聞かれた際、「特にありません。」「大丈夫です。」などと返答してしまうと「本当に入社したいのかな」と、志望企業に対して興味がなさそうな悪い印象を与えかねません。
印象を良くするためには、面接官とのやり取りの中で、何も質問が湧かなかったとしても、少々前のめりで準備してきた逆質問をすることです。
つまり、逆質問の機会がきたら、そのチャンスを逃さず、入社に対する熱意が伝わるよう自分のアピールに活用するべきです。
コミュニケーションスキルに問題は無いか確認するため
面接官には、応募者に逆質問の機会を与えることで、コミュニケーションスキルを確認する意図があります。
応募者のコミュニケーションスキルを確認することで、「他の従業員とうまくやれる人なのか」と判断材料にできるからです。
逆質問は、事前準備することが可能です。
しかし、逆質問に対する面接官の回答までは予想しづらいため、それ以降のやり取りについてはアドリブ力が必要です。
そういった中で面接官は、応募者がどれだけのコミュニケーションスキルを持ち合わせ、対応力があるのかを見極めています。
逆質問を通じて、面接官とコミュニケーションを図ることで、適応力や柔軟性をみているといえます。
応募者が自社の社風と合っているのか確認するため
逆質問をする時に面接官が確認していることは、応募者が自社の社風にあった人材であるのかということです。
企業が社風と合っているかを確認する理由としては、採用した場合に長期的に働いてほしいと思っているからです。
人手不足である介護業界においては、人材の移り変わりが激しいため、企業側は長く勤務している人を求める傾向があります。
社風が合わないことが理由で、せっかく雇用したとしても「やっぱりこの会社じゃなかったな」などと判断され、短期で退職される可能性を懸念していることが要因といえます。
そういったリスクを軽減させるために、自社の社風と合っている応募者を選びたいと思っています。
筆者も求職活動中、面接官への逆質問の最中に、なんとも言いようのない空気のミスマッチ感で不採用になった経験があります。
筆者が自己分析した結果、面接時の空気感などが、志望企業の社風に対して適切と判断されなかったことが理由だという結論になりました。
逆質問のOK内容とNG内容
本章では、逆質問の機会が与えられた場合に、どういった内容がOKでどういった内容がNGなのかを解説します。
逆質問は事前にできる準備ですので、以下の内容を参考に、ぜひ取り組んでみてください。
【NG内容】避けた方がよい逆質問
逆質問で避けた方がよいNG内容を紹介します。
- 「特にありません」と回答すること
- 給料面や休暇について
- リサーチすれば分かることについて
1つずつみていきます。
「特にありません」と回答すること
「何かわからないことや聞いておきたいことはありますか?」という逆質問に対して「特にありません。」と回答することは、避けましょう。
なぜなら、志望する企業に興味がないことや、早く面接を終了したいなどと、思わせることになるからです。
「特にありません」などと回答してしまうと、面接官も返す言葉がなくなり、それ以降のやり取りが中断してしまいます。
筆者は、逆質問をすることで面接官とラフに話しができ、場の空気が和んだという経験があります。
ただでさえ緊張する面接で、本来の自分を出すことは難しいですが、逆質問を通して会話することで好印象を与えられ、面接結果に良い影響がでる可能性もあります。
給料面や休暇について
また、避けた方がいい逆質問の1つに給料面や休暇についてがあります。
この逆質問は、企業に興味があって志望したわけではなく、給料などの雇用条件面で志望企業を選んでいると感じ取らせてしまうため、良い印象を与えることができません。
もし、本当に雇用条件について不安や不明点があるのであれば、転職エージェントを通じて確認したり、雇用条件の確認書を提示された際に質問するのがおすすめです。
リサーチすれば分かることについて
今や、大多数の企業や会社が自社のホームページを開設しているため、その中からリサーチすればわかることもたくさんあります。
ネット上から得る事ができる内容について、逆質問をすることは避けた方がいいでしょう。
【例】
Q:こちらは何人の入居者様を受け入れられているのでしょうか?
Q:居室は多床室ですか?個室ですか?
Q:開設してどのくらいですか?
上記の逆質問は、ホームページに掲載されていることが多い内容です。
このような内容の逆質問をしてしまうと、「会社について何も調べてきていないな」と思われ、取って付けた逆質問であるように捉えられてしまうでしょう。
逆質問をする際のポイントは、いかに志望企業に入社したいと思っているかを伝えることにあります。
その積極性をアピールするのに、志望企業のリサーチは欠かせない事前準備です。
【OK内容】好印象を与える逆質問
次に、逆質問をすると好印象を与えられる質問を紹介します。
- 業務内容について
- キャリアアップについて
- 企業をリサーチした時に発生した内容について
1つずつみていきます。
業務内容について
おすすめの逆質問に、業務内容があります。
例えば、1日の業務スケジュールについて聞いてみるといいでしょう。
介護職員は、早番・遅番・日勤・夜勤とさまざまな勤務体系があり、それぞれに業務内容は異なります。
1日のスケジュールについて逆質問をすることは、入社後の勤務について具体的にイメージしようとしている、つまり、積極性をアピールできるといえます。
また、応募者側も業務内容についての不明点や不安なことを入社前に払拭しておくと、問題なく業務に入れます。
キャリアアップについて
企業が応募者を評価するにあたって、自身のキャリアについて、どう考えているのかということも知りたいと思っています。
キャリアアップに関する質問をすることで、「この応募者は向上心がある人だ」と評価対象になります。
資格の取得や管理職を目標としている応募者は志が高く、好印象になるでしょう。
「〇〇の資格を取得した際には、どういった業務に活用することができるでしょうか?」
「管理職になるための研修制度やスキルアップのプロセスなどがあれば教えて頂けますでしょうか?」
上記のような逆質問をすれば、面接官から入社後も気にかけてもらうことができ、キャリアアップの近道になるかもしれません。
企業をリサーチした時に発生した内容について
面接前の準備として大切なのは、志望企業のリサーチをしておくことです。
その過程で、感じた事や不明点などをまとめておき、面接時に逆質問をすることをおすすめします。
例えば、介護施設を志望している場合には、ホームページに目を通しておくといいです。
代表者の言葉や理念・沿革などがあれば確認しておきましょう。
施設の入居人数や建物の作りなどや、サービスの特徴などもしっかりと理解しておくべきです。
「入居者様の男女比率はどのくらいでしょうか?」
「入浴は、週2回ですか?週3回ですか?」
などの逆質問はリサーチしても記載されていないことが多いです。
志望企業によってホームページで確認できることはそれぞれですが、リサーチしていますよということが面接官に伝われば、好印象になるのではないでしょうか。
【例文】面接が上手くいく逆質問
実際の面接時に効果的な、逆質問の例文を紹介します。
面接時には、事前に準備をした逆質問の内容をメモ帳に記載し、それを見ながら実際に質問することも問題ありません。
覚えておくことが心配な方でも、安心して面接に臨むことが出来ますので、ぜひ実践してみてください。
入社するにあたって準備しておくことについて
- 未経験ですが、入社前に準備しておくべきことがあれば、ご教示頂けますか?
- 入社前に1度来させて頂き、見学や体験などすることは可能でしょうか?
- (制服がない場合)どういった服装の準備が必要でしょうか?
1日の流れについて
- 早番・遅番・日勤・夜勤の主な業務を教えて頂けますか?
- 夜勤は何人体制ですか?
また、夜間帯に急変があった場合、介護職員としてどういった対応が必要になりますか? - 施設の行事やレクリエーション・外出支援などについてくわしく教えて頂けますか?
企業の運営方針について
- 協力医療機関や往診などについて教えて頂けますか?
- 自宅復帰率やベットの回転率などは、どの程度でしょうか?
- 家族様への情報提供については、どのようにされていますか?
資格取得の支援などキャリアアップについて
- 資格取得のための講習や試験についての日程によって、休日の調整は可能でしょうか?
- 資格取得がかなった際には、スキルが活かせる業務はありますか?
働くスタッフの雰囲気や年齢層について
- 従業員の年齢層や男女比を教えて頂けますか?
- 従業員の資格保有率はどの程度か教えて頂けますか?
- 職員研修や外部研修には、どのくらい取り組まれているのでしょうか?
介護の逆質問は準備次第で良い結果に繋げられる
介護についての逆質問は、専門的な内容がいいですが、面接前に準備しておけば慌てることなく質の高い逆質問ができます。
経験者であっても未経験者であっても、事前準備をすることで面接にしっかりと対応することが可能です。
また、面接官とのやり取りにおいて、逆質問は空気を和ませ、会話を弾ませるポイントにもなり得ます。
逆質問は、身構えるのではなく、自分をアピールするための良い機会だと認識していくと良い結果が出せるでしょう。
ぜひ、本記事を参考にし、面接に挑んでみてください。
この記事を書いたのは・・・

小玉 有紀/Webライター
保有資格:介護福祉士/介護支援専門員/介護事務士
福祉系専門学校を卒業したのち、老健で介護福祉士として6年勤務。生活相談員を経験したのち、ケアマネージャーとして5年経験。現在は育児のかたわらライターとして活動中。