高齢者に好印象な話題とは?困ったときに使えるネタやポイントも解説

介護現場で、ご利用者様との会話が盛り上がらず、話題選びに困っているという人もいるのではないでしょうか。
適切なコミュニケーションは、高齢者のご利用者様との信頼関係の構築につながります。

本記事では、高齢者と盛り上がれる話題や困ったときに使える話題、逆に避けるべきNGな話題について解説していきます。

筆者の経験から、話題選択のポイントも紹介していきますので、ぜひご覧ください。

高齢者と盛り上がれる話題

高齢者と盛り上がれる話題はいくつかあります。
ここからは、高齢者と盛り上がれる話題を3つ紹介していきます。

昭和初期や大正時代の生活の話題

昭和時代や大正時代の生活の話は、高齢であるご利用者様と盛り上がれる話題です。
なかでも、ご利用者様が生きてきた時代の生活の話は、特に盛り上がれます。
具体的には、大正初期から昭和中期頃の話がよいでしょう。

介護サービスの第1号被保険者は65歳以上が対象となっているため、介護施設にいる入居者の多くは大正後期〜昭和中期頃に生まれた方です。
自分が育った時代の生活の話は懐かしく、親しみが沸くため、楽しんで話してもらえる可能性が高いです。

盛り上がるような話がしたい場合は、ご利用者様の年齢から事前に幼少期の時代背景を調査しておき、話を振ってみるとよいかもしれません。

高齢者が輝いていた時代の世の中の話題

高齢であるご利用者様が輝いていた時代の話は、盛り上がれます。
ご利用者様にとって自身が輝いていた時代の話は、よい思い出としての懐かしさがあるからです。例えば、ご利用者様の仕事や若い頃の趣味などの話がおすすめです。
ご利用者様の年齢や過去の職業、生活状況などをあらかじめ調査したうえで、それに合った話を振ってみるとよいでしょう。

こういう話題のときには、聞き役に徹するとご利用者様が喜んで話してくれるかもしれません。

昔流行った食べ物や音楽、家具などの話題

会話で盛り上がりたい場合は、昔流行った食べ物や音楽、家具などの話もおすすめです。
なぜなら、ご利用者様の生きた時代の食べ物や音楽、家具などの話は、当たり障りがないうえに、懐かしさも引き出すからです。
例えば、「昭和時代は、洗濯機が外に置いてあることが多いと聞きましたが本当ですか」「昔好きだった歌手は誰でしたか」などがよいでしょう。

ご利用者様の若い頃の流行りなどをあらかじめ調べておくと、盛り上がるかもしれません。

困ったときに使える話題

介護施設では高齢者のご利用者様が多く、ときには話題に困ってしまうことがあるかもしれません。
困ったときには、無難な話題がおすすめです。
ここからは、高齢者との会話に困ったときに使える話題を3つ解説していきます。

天気の話題

高齢者との会話に困ったときに使える話題の一つめは、天気の話です。
天気は高齢者に限らず、誰の会話にも使える話題の一つです。
天気は毎日変化するので、その日の天気や気候、気温の話は、一つの話題になるでしょう。

例えば、「朝は少し寒いですね、羽織ものが必要かもしれません」「今日は天気がよいですね。後で散歩に行きたいですね」など、天気の話から会話を広げることができます。

話題に困ったときには、天気の話から少しずつ会話を広げていくのがおすすめです。

季節の話題

高齢者との会話でおすすめの話題二つめは、季節の話です。
季節はみんなに共通している話題であるため、会話が展開しやすいのがポイントです。

例えば、「春らしくなりましたね。桜を見に行きたいですね」「最近は暑くなりましたね。夏といえばアイスですが〇〇さんは何味が好きですか」などがいいでしょう。
その時期の話と絡めて何か質問すると、会話が続きやすいためおすすめです。

話題になっており、高齢者が知っていそうなニュースの内容

困ったときのおすすめの話題 ネタ、三つめはニュースの話です。
筆者の経験から、ご利用者様でニュースを毎日チェックしている人は多かったです。
そのため、話題になっているような話であれば、高齢者であるご利用者様も知っていて会話が盛り上がる可能性があります。

ただし、特定の疾患などが原因で、ニュースを記憶することが難しい方には向かないため、そういった方には上記のような天気や季節の話題を振るようにしましょう。

高齢者との会話でNGな話題

高齢者との会話にはふさわしくない、気をつけたい話題もあります。
ここからは、高齢者との会話でNGな話題について解説していきます。

プライバシーに踏み込みすぎた話題

高齢者であるご利用者様との会話でプライバシーに踏み込みすぎた話は、避けるべきです。
介護職員とご利用者様は、身内や友人なわけではなく、あくまで従業員とお客様の立場です。
立場をわきまえず、会話が盛り上がったからといってプライバシーに踏み込むと相手を不快な気持ちにさせてしまう可能性があります。

例えば、家庭の経済状況やご家族のプライバシーに関わる話などです。
立ち入られて不快に思う人が多い話題ですので、できるだけ避けたほうがよいでしょう。

適切な距離感を意識しながら、コミュニケーションをとっていくことが理想的です。

下ネタや悪口など不快になる話題

高齢者に限ったことではありませんが、下ネタや悪口などの話題は避けましょう。
ネガティブな話題は相手に不快感を与え、信頼関係にもひびが入ってしまう可能性があります。

万が一、ご利用者様のほうから下ネタや悪口などの話題を振られたとしても、話に乗るのは好ましくありません。
周囲の人にも不快感を与える恐れがありますので、ネガティブな話題を振られたら受け流すなどして、その話題を広げないようにしましょう。

高齢者が知らなそうな話題

高齢者であるご利用者様が知らなそうな話題は避けましょう。
なぜなら、ご本人が知らないような話題は興味を が引きにくく話が続かない可能性が高いからです。

筆者の介護職員時代に、新人の職員が自分の好きなアイドルの話しをご利用者様にしていたことがありました。
ご利用者様は、ぽかんとした表情で興味がなさそうに聞いていたのを覚えています。

介護現場でのコミュニケーションは、あくまでもご利用者様が主役です。
楽しく会話を引き出すために、「自分の興味がある話題」ではなく「高齢者が知ってそうで興味が引けそうな話題」を優先するようにしましょう。

高齢者と話すときのポイント

高齢者と話すときには、気をつけるべきポイントが3つあります。
ここからは、高齢者と話すときのポイント3つを紹介していきます。

目線が合うように高さを調節する

まず高齢者と話すときに気をつけるべきポイントは、目線が合う高さで話すということです。
なぜなら、高い位置から話しかけられると威圧的に感じ、高齢者は心を開きにくくなってしまうからです。
高齢者が座っている場合は、立ったままではなく膝を曲げるなどして目線の位置を合わせながらコミュニケーションをとるようにしましょう。

ゆっくり適度な音量で話す

高齢者と話すときには、声の音量にも気をつけましょう。
高齢になると、難聴になりやすい傾向があります。
声が小さすぎたり、高すぎたりすると、聞こえない可能性が高いです。
逆に大きすぎる声で話しかけてしまうと、高齢者を驚かせてしまいます。

適切な音量でゆっくりと話しかけると、高齢者に伝わりやすいため、おすすめです。

適度に相槌をし、話を引き出す

高齢であるご利用者様と話すときには、なるべく聞き役に徹し、話を引き出せるようにしていきましょう。
ご利用者様によっては、自分の話を聞いてほしいと思っていることもあるからです。

質問をしながら話の途中に適度な相槌を打つと、「ちゃんと聞いてくれている」と認識し、ご利用者様は心地よく感じてくれるでしょう。

ご利用者様の話しに興味を持ちながら聞くことが、会話を広げるポイントになります。

【介護福祉士が紹介】筆者が高齢者と会話するときの話題選びのポイント

筆者が介護現場で大切にしていた高齢のご利用者様との話題選びのポイントは、事前調査です。

ご利用者様の性格やこれまでの生活、その他の情報がつまったケアプランやアセスメントシートなどを事前に確認しておくようにしていました。
そうすることで、ご利用者様に喜んでもらえそうな話題、逆に避けたほうがよい話題がわかるからです。

例えば、これまで農業で生計を立ててきたご利用者様には、農産物の話を振るようにしていました。

  • 「どんなものを育ててきたのですか」
  • 「雨の日はどうしていたのですか」

上記のような質問をしていくことで、会話が広がり、ご利用者様にコミュニケーションで喜んでもらうことができました。
ご利用者様に適切に気遣う意味でも、事前に避けるべき話題は確認できるとよいでしょう。

会話が弾まず悩んでいる人は、ぜひ、アセスメントシートなどをチェックしてみることをおすすめします。

まとめ

自分と年齢や生きてきた時代背景が異なる高齢者との話題選び 会話は、難しいと思いがちかもしれません。
しかし、年齢差がある者同士でも適切な話題選びをし、コミュニケーションをとることで、信頼関係を築くことができます。

本記事の内容を参考に、高齢であるご利用者様に喜んでもらえるような楽しいコミュニケーションがとれるようにしていきましょう。

この記事を書いたのは・・・

中村 亜美/Webライター

保有資格:介護福祉士
特別養護老人ホームでユニットリーダーとして11年程勤務。
その後はフリーライターとして活動中。在宅介護者や介護事業者、介護職員向けのコラム・取材記事を執筆している。