介護職の志望動機|例文や面接時の伝え方を採用経験者が解説

介護職への転職・就職活動において、履歴書に記載する「志望動機」は単なる形式的な文章ではありません。入職への熱意や価値観、そして自分が応募先で戦力になることを採用担当者に伝える大切なコミュニケーションツールと言えます。
しかし、いざ作成するとなると、どのように書けば効果的に想いを伝えられるか、戸惑う方も少なくありません。

本記事では、介護施設の採用経験者の視点から、志望動機の基本的な書き方、サービス種別・状況に応じた具体的な例文、避けるべきNG表現、さらに面接で効果的に伝えるポイントについて解説します。
希望のキャリアを実現するため、ぜひ最後までお読みください。

介護職が履歴書に書く志望動機

履歴書のなかでも「志望動機」は、採用担当者が特に注目する重要な項目です。多くの介護事業所があるなか「なぜこの事業所を選んだのか」という核心部分を採用担当者は読み取ろうとしています。

志望動機に盛り込むのは以下のような項目です。

  • 介護職を志望する理由(想いやきっかけ)
  • 応募先を選んだ具体的な理由(理念への共感など)
  • 活かせる経験やスキル
  • 入職後にどう貢献したいか

介護は人と深く関わる仕事であり、あなたの考え方や価値観がケアの質に直結すると考えられています。
だからこそ志望動機は、形式的な文章ではなく、あなたの想いを採用担当者に伝える必要があります。この欄を通してあなたの入職への熱意や仕事への価値観、そして何よりも「なぜ、他の施設ではなく、ここで働きたいのか」をしっかり伝えられるとよいでしょう。

【例文】介護職が書くサービス種別ごとの志望動機

介護職が働く職場にはいくつか種類があり、それぞれ役割や特徴、求められるスキルが異なります。
ここでは、代表的なサービス種別ごとに志望動機の例文をご紹介します。

特別養護老人ホームを志望する場合

特別養護老人ホームは、日常生活全般に介助が必要な要介護高齢者が、介護を受けながら生活する場です。看取り介護を含め、長期的な視点でのケア実践が求められます。

【例文】
前職で個別ケアを実践し、長期的な関わりの重要性を学びました。
「〇〇」という貴施設の理念や、多職種連携による質の高いチームケアに魅力を感じています。これまでの個別ケアの経験を活かし、ご利用者様が安心して過ごせる環境づくりに貢献したいと考えております。

介護老人保健施設(老健)を志望する場合

介護老人保健施設は、リハビリテーションを中心とした医療・介護サービスを提供し、高齢者の在宅復帰を目指す施設です。

【例文】
特養での経験を通し、ご利用者様が再びご自宅で生活できるよう多職種で支援することに強いやりがいを感じました。
リハビリテーションに力を入れ、在宅復帰を重視する貴施設の方針に共感しております。これまでの介護経験と、リハビリ職と連携を図ることで、ご利用者様の一日も早い在宅復帰の実現に貢献したいです。

有料老人ホームを志望する場合

有料老人ホームは、自立している方から介護が必要な方まで、幅広いレベルの介護や生活支援サービスを提供する居住施設で、施設の種類や目的によって多様なニーズに対応します。

【例文】
病院での勤務を通し、画一的ではない、ご利用者様一人ひとりの価値観やライフスタイルを尊重したケアを提供したいと考えるようになりました。
個別性を重視したケアプランと、質の高い接遇を大切にする貴施設の運営方針に深く共感しております。傾聴力と状況に応じた柔軟な対応力を活かし、ご利用者様が満足度の高い生活を送れるよう支援したいです。

グループホームを志望する場合

グループホームは、認知症のある高齢者が、少人数で共同生活を送る施設です。家庭的な雰囲気の中で、個々の能力を活かした自立支援が重視されます。

【例文】
特養で5年間、認知症ケアに注力する中で、個性を尊重した家庭的なケアの必要性を感じました。
グループホームは認知症ケアに特化しており、少人数制で個別ケアを実践している貴ホームに魅力を感じました。取得している認知症ケア専門士の知識と経験を活かし、ご利用者様が笑顔で過ごせる施設づくりに貢献します。

デイサービスを志望する場合

デイサービスは、自宅で生活する高齢者が日帰りで施設に通い、入浴や食事、機能訓練、レクリエーションなどのサービスを受ける施設です。

【例文】
病院での介護補助を通し、退院後も自宅で元気に過ごす方々を支援したいと考えるようになりました。貴事業所が取り組んでいる「自宅での生活動作を意識したケア」に興味を持ち、自宅での生活を継続できるよう関わっている点に魅力を感じています。前職で培ったコミュニケーション能力を活かし、ご利用者様が笑顔で一日を過ごせるよう、明るく活気のある雰囲気づくりに貢献したいです。

【例文】介護職を目指す場合の志望動機

ここでは、未経験からの転職や新卒での就職、転職回数が多い場合のシーン別に志望動機の例文を紹介します。

異業種から未経験で介護職を目指す場合

異業種から未経験で応募する場合は、介護職への熱意と、これまでの経験が介護職にも活かせることをアピールするとよいでしょう。

【例文】
前職の顧客対応で人の役に立つ仕事に関心を持ち、祖母の介護経験から介護職を志望しました。
未経験ですが、傾聴力とコミュニケーション能力には自信があります。貴施設の研修で専門性を高め、ご利用者様の生活を支える仕事ができればと考えています。

新卒で介護職に就職する場合

新卒の場合は、実務経験がないため、学業で学んだことや実習経験、介護職への熱意や将来性をアピールします。

【例文】
専門学校で知識・技術を、実習で「仕事としての介護」を学びました。実習では業務に追われてしまいましたが、就職後はご利用者様の意向を尊重し、寄り添うケアを実践したいです。

貴施設のカンファレンスでの、専門職同士の真剣な意見交換に感銘を受け、自分もここで働きたいと強く感じました。学んだ知識と実習経験を活かし、向上心を持って貢献できるよう努めます。

転職が多い方の場合

転職回数が多い場合は、採用担当者に「またすぐに辞めてしまうのでは?」という懸念を持たれるリスクがあります。これまでの経験の一貫性や、今回の転職がキャリアアップのためなど前向きな理由であることを明確に伝えることが大切です。

【例文】
これまで複数の職種を経験し、直接人の役に立つ仕事への思いが強くなり、介護職を志望しました。さまざまな環境で培った適応力や対人スキルは、介護の現場でも活かせると考えます。貴施設はOJTに力を入れていると伺ったため、一生懸命取り組み、専門性を高め、腰を据えて貢献したいと考えています。

介護職が志望動機を書く際に避けるべき表現

熱意を伝えようとするあまり、かえってマイナス評価に繋がってしまう表現もあります。ここでは、志望動機で避けるべき表現について解説します。

前職への批判や不満

たとえ事実でも、前職の批判や不満を詳細に書くのは避けるのが無難です。「不満が多い人」という印象を与える可能性があります。
転職理由は「〇〇を実現したい」など、自身の成長やキャリアプランといった前向きな視点で伝えることが大切です。過去への不満ではなく、未来への希望を語るように心がけるとよいでしょう。

受け身・ネガティブな表現

「学ばせていただく」「教えてほしい」といった受け身な表現は、主体性がないと見られてしまうことがあります。学ぶ姿勢は重要ですが「〇〇を学び、〜に貢献したい」のように意欲を示すことが大切です。
「自信がない」などのネガティブな言葉も避け、経験が浅くても「積極的に知識を習得し貢献したい」と前向きな姿勢を伝えましょう。

給料や福利厚生などの待遇面への話ばかり

待遇面への関心は当然ですが、志望動機の中心にするのはよくありません。特に扶養家族がいる場合は、生活水準を落とすわけにはいかず、入職前に確認すべきことのひとつでしょう。
しかし、仕事内容や理念への共感よりも待遇を優先する印象を与えかねません。待遇に関する質問や確認は、仕事への意欲を伝えたうえで、履歴書ではなく面接の場でおこなうのが適切です。

面接で志望動機を効果的に伝える3つのポイント

書類選考を通過したら、次はいよいよ面接です。面接では、履歴書に書いた志望動機をさらに深掘りされます。ここでは、面接で志望動機を効果的に伝えるための3つのポイントを紹介します。

1.履歴書に書いている内容は説明できるようにする

面接は履歴書に書いたことを元に質問されます。
「具体的には?」といった深掘りに備え、書いた内容を自分の言葉で説明できるよう準備が必要です。

志望理由の背景や具体的なエピソードを整理し、話す内容と書類に一貫性を持たせることが信頼に繋がります。丸暗記ではなく、自身の考えとして自然に話せるようになるとよいでしょう。

2.具体的な経験を熱意をもって伝える

面接は、自身の熱意や人柄を直接伝えるチャンスです。履歴書では伝えきれなかった想いを、具体的な経験エピソードを交えて話せるとよいでしょう。

「病院での介護職を経験し、治療ではなく生活を支えたいと感じ、特養で働きたいと思った」のように、自身の感情や考えを具体的に語ることで仕事への真摯な姿勢が伝わります。

3.入職後の貢献意欲を示す

採用担当者は「入職後にどう活躍してくれるか」を見ています。自身の経験やスキルが、応募先のニーズにどう合致し、貢献できるのかを具体的に示しましょう。

「私のデイサービスでの経験は、貴施設のレクリエーションに活かせます」のように伝えられると効果的です。併せてキャリアプランや目標を語ることで、長期的な就労意欲もアピールできます。

まとめ

介護職の志望動機について、書き方の基本や例文、NG表現、面接対策などについて解説しました。志望動機は熱意と適性を伝え、ミスマッチを防ぐ重要なツールです。本記事を参考に、あなた自身の言葉で具体的に表現しましょう。効果的な志望動機で、納得のいく転職・就職を実現してください。

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この記事を書いたのは・・・

さとひろ/Webライター

保有資格:ケアマネジャー/社会福祉士/介護福祉士/公認心理師
介護業界で22年の経験をもつ、特別養護老人ホームの現役ケアマネジャー兼生活相談員。介護職員・ケアマネジャー・生活相談員としての経験をもとにわかりやすい記事を執筆します。