介護施設へ差し入れがしたい!家族が喜ぶ品や避けるべき品とは

「介護施設に入居している家族に、何か差し入れをもっていきたい」
「中々会えないから、面会時は家族が喜ぶものを渡したい」
このように、介護施設に入居中のご家族へ差し入れを選ぶ際、何を選んだら喜んでくれるだろうと差し入れの内容に迷う方も少なくないでしょう。

気持ちのこもった差し入れは、施設での刺激が少ない生活の中でちょっとしたご褒美となり、特別な感じがして喜ばれる方も多いはずです。

本記事では、介護施設で作業療法士として働く筆者が、家族が喜ぶ差し入れの内容について、体験談も交えてご紹介します。また、避けた方がよい差し入れや、施設の差し入れルールについてもお伝えします。
本記事を参考に、ご家族の笑顔を引き出せる差し入れを探してみましょう。

介護施設に入居中の家族が喜ぶ差し入れ

家族が介護施設に入居している場合、普段中々会えない分、面会したときには家族の喜ぶ顔がみたいですよね。本章では介護施設に入居中の家族が喜ぶ差し入れ内容についてご紹介します。

昔から好きな食べ物や甘いもの

介護施設に入居されているご家族の差し入れに迷ったら、まずはご本人の好物や甘いものを選びましょう。

施設での生活は、どうしても変化が少なく単調になりがちです。そんな中、大好きな食べ物やお菓子があれば、きっと気分転換になるでしょう。子どものころから慣れ親しんだ味や、ちょっと贅沢なスイーツは喜ばれやすい印象です。

以下の物は差し入れとして好まれやすい傾向にあります。

  • プリン
  • ゼリー
  • 水ようかん

プリンやゼリーなどの食べ物は飲み込みやすく、誤嚥のリスクが低いとされています。 高齢者は飲み込みの機能が低下している方が多いため、差し入れで食べ物を選ぶ際は飲み込みやすいものを選びましょう。

誤嚥に関しては、こちらの記事でくわしく解説しています。くわしく知りたい方は、こちらもご参照ください。

日用品や娯楽品

日用品やちょっとした娯楽品も、差し入れの選択肢としておすすめです。
介護施設では自分で買い物に行く機会が少ないため、毎日を楽しく過ごすためのアイテムは、高齢者にとって良い刺激になります。

例えば以下のようなものが該当します。

  • 洋服
  • 歯ブラシ
  • 好きな歌手のCD
  • 塗り絵やパズル
  • 家族の写真

筆者の働く介護施設では、耳が遠いご入居者様にご家族が集音器を差し入れした結果、他のご利用者様と会話がしやすくなり、笑顔が増えた方がいらっしゃいました。

このように、ちょっとした工夫やアイテム一つで、ご入居者様の生活がより快適になる場合もあります。

日用品や娯楽品を差し入れする場合は、本人や施設の職員に必要なものを確認しておきましょう。
また、ご家族の写真は喜ばれる方が非常に多いです。写真立ても一緒に準備し、ご本人から見える場所に置いてもらいましょう。

お花

お花が飾ってあると部屋が明るくなり、気持ちも癒されるでしょう。
小ぶりで飾りやすい季節の花のアレンジメントや、育てやすいミニ観葉植物などがおすすめです。

ただし、生花や鉢植えは手入れや水やりが必要になります。
特別手入れが必要ない、ドライフラワーや造花のアレンジメントなども選択肢に入れると、ご本人だけではなく職員も管理しやすくなり、より喜ばれるかもしれません。

避けた方がよい差し入れ

差し入れは受け取る側の状況を考慮することも大切です。
本章では介護施設への差し入れとして、避けた方が良いものを紹介します。

弁当などの食事

手作りのお弁当や持参した食事は、基本的に避けたほうが良いでしょう。

介護施設では入居者一人ひとりの健康状態に合わせて、栄養バランスを考慮した食事を提供しています。また衛生管理の面からも、外部からの食事の持ち込みは制限されている場合も少なくありません。

賞味期限が早いもの

賞味期限が短い食品は食べきれずに無駄になる可能性があるため、できれば避けた方が良いでしょう。施設では誤嚥やカロリー制限などの問題から、預かった差し入れを一度にたくさんは提供できない可能性が高いです。また、賞味期限切れに注意しながら管理する必要があり、職員の手間になります。

筆者は介護施設に勤めていますが、ご家族がご入居者様に賞味期限の近い差し入れをたくさん持ってこられ、結局食べきれなかったというケースがありました。

例えばケーキなどの生菓子は賞味期限が短いためできる限り避ける、もしくは少量の差し入れにして早めに食べてもらうようスタッフに伝えるなど、工夫をした方が良いでしょう。

介護施設へ差し入れ時の注意点

介護施設に入居しているご家族へ差し入れをおこなう際の注意点についてまとめました。
主な注意点は、以下の通りです。

  • 施設に事前に確認する
  • 家族の健康状態を把握しておく
  • 適切な量を考える

それぞれの注意点について具体的に見ていきましょう。

施設に確認する

差し入れを選ぶ前に、そもそも施設が差し入れを許可しているかどうかの確認を取りましょう。

施設によって、差し入れに関するルールは異なります。
食べ物であれば、もちやだんご類などの誤嚥リスクが高い食品を禁止していたり、面会者と一緒に食べることをお断りしていたりなど、施設によってルールを定めている可能性が高いです。
また、差し入れ自体を原則禁止としている施設もあります。

事前にルールを確認すればトラブルを避けることができます。
差し入れに関する注意点がないか、前もって施設に確認しましょう。

家族の健康状態を把握しておく

食べ物の差し入れを選ぶ場合は、事前に入居しているご家族の健康状態を把握し、状態を考慮して選びましょう。

糖尿病で血糖値をコントロールしている場合や、高血圧で塩分を控えている場合など、健康状態によっては食べられないものがあります。
また、食事の際にむせ込みが多い場合は嚥下機能が低下している可能性があるため、飲み込みにくいものを差し入れすると誤嚥のリスクを高めてしまいます。

自己判断で差し入れを選ぶのではなく、事前に施設に相談し、家族の健康状態や嚥下機能に合わせて安全に、安心して食べられるものを選びましょう。

量を考える

こちらの章でも触れましたが、そもそも差し入れの量が多いと施設が受け取ってくれない可能性があります。

施設では共同の冷蔵庫内に、食べ物の差し入れを保管している場合があります。量が多すぎる差し入れは、収納スペースを圧迫し施設の職員や他のご入居者様に迷惑を掛けかねません。
また、賞味期限が近く量が多い食べ物を差し入れた場合、消費が間に合わない可能性があります。

食べ物の差し入れを購入する際は、短期間で食べ切れる量を意識しましょう。

家族以外への差し入れ

介護施設でお世話になっている職員の方や、家族と仲良くしてくださっている他のご入居者様への差し入れもできれば検討したいですよね。

それぞれ差し入れができるのか、また、どんなものを差し入れすればよいか紹介していきます。

施設スタッフへの差し入れ

施設スタッフへの差し入れは、基本的にお断りしている施設が多い印象です。
全ての施設がお断りしているわけではありませんが、施設によっては公平性を保つために個人的な贈り物の受け取りをすべて禁止している場合があります。

感謝の気持ちは物ではなく、言葉で伝えればじゅうぶんに伝わるでしょう。

家族以外の利用者への差し入れ

基本的にどの施設でも、家族以外のご入居者様への差し入れは禁止としている場合がほとんどです。

トラブルが起きた場合に施設が責任を問われるため、他のご利用者様への差し入れはお断りしている施設が多いです。

差し入れを家族からもらったご利用者様が、他のご利用者様に渡してしまう場合もあるため、差し入れの量や管理は徹底する必要があります。

何か差し入れをしたい場合は、食べ物ではなく、大勢で楽しむことができるものがおすすめです。
例えば、DVDやCDであればご入居者様みんなで見たり聴いたりすることができ、大勢で楽しむこともできます。
目的に沿ってまずは施設スタッフに相談してみましょう。

まとめ

介護施設への差し入れは、単調になりやすい生活を過ごしているご家族に刺激をもたらし、笑顔を引き出す可能性があります。

ただし、差し入れには施設ごとにルールがあり、健康状態への配慮も欠かせません。
差し入れを検討する際は、事前に施設に確認しルールや注意点を把握しましょう。食べ物であれば嚥下機能やアレルギー、持病などを考慮し、安全で食べやすいものを選びましょう。

日用品や娯楽品も、余暇時間の過ごし方に悩むご入居者様にとって喜ばれるものとなるはずです。

大切なご家族の笑顔をイメージしながら、施設のスタッフと協力し、その人にとって本当に必要なものを贈りましょう。

介護の仕事は、ご入居者様の笑顔を引き出す非常にやりがいのある仕事です。
介護の仕事にもし興味があれば、「介護転職のミカタ」が全面的にサポートしますので、ぜひ一度ご活用ください。

この記事を書いたのは・・・

椎野みいの/Webライター

保有資格:作業療法士/福祉住環境コーディネーター/福祉用具プランナー/認定心理師
病院、介護老人保健施設、リハビリ専門学校を経て、現在は特別養護老人ホームにて機能訓練指導官として勤務中。