
「介護職のやりがいって何だろう?」
「きついと聞くけど、本当に魅力はあるの?」
介護職は未経験からでも挑戦しやすい仕事である一方、きついというイメージがあり「自分に務まるだろうか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、介護職への転職を考えている方に向け、介護職のやりがいやきついと言われる理由、そしてこの仕事に向いている人の特徴などをくわしく解説します。
介護職があなたに合っているかどうかの判断材料になるので、ぜひ最後までお読みください。
この記事の内容
筆者の考える介護職のやりがい
私が介護職で感じる最大のやりがいは、自分の関わり方次第でご利用者様の生活が目に見えて良くなる「成功体験」を得られることです。
特に忘れられないのが、看取り目的で施設に戻られた、寝たきりの方の事例です。話すこともなく、目もつぶったままの状態で、数日でお亡くなりになると思われていました。
しかしある夜、その方から「トイレに行きたい」という申し出があり、無理かもしれないと思いつつ先輩とお連れすると、ご自身の力で排泄できたのです。次の日は起きたいという希望があり車椅子に移ると、食事も少しずつ食べるようになり、その後は日に日に回復していきました。
この経験は私の意識を大きく変えました。「もっとできることがあるはずだ」と、他の方にも「どうすれば?」と主体的に考えるようになったのです。
わからないことを自ら調べ、試行錯誤を繰り返すことでご利用者様の生活が向上していく。こうした成功体験を積み重ねることが、介護職のやりがいだと感じています。
介護職のやりがい5選
介護現場で働く人は、どのような点にやりがいを感じているのでしょうか。介護労働安定センターの「令和5年度介護労働実態調査」から、特に回答の多かった5つのやりがいを解説します。
1.ご利用者様の援助・支援や生活改善につながる
調査で最も多かった回答が「ご利用者様の援助や生活の改善支援につながること」で、全体の36.4%を占めました。
日々のケアを通じてご利用者様が元気になったり、笑顔が見られたりすることに喜びを感じる介護職は多くおり、何よりのモチベーションになっています。介護職のやりがいの中核と言えるでしょう。
2.福祉に貢献できる
次に多かったのが「福祉に貢献できる」で28.0%でした。
高齢化が進む日本において、介護は社会に不可欠な仕事です。特定の誰かを支えるだけでなく、地域や社会全体に貢献しているという実感が、大きな誇りとやりがいにつながります。
自分の仕事が持つ社会的な意義を感じられる点も、介護職の魅力です。
3.専門性が発揮できる
仕事で「専門性が発揮できること」(25.8%)も、多くの人がやりがいとして挙げています。介護は経験や学習を通じて得た知識・技術が活きる専門職です。
未経験ではじめても、初任者研修、実務者研修、介護福祉士と、積む経験と共に資格を取得することで、専門性を身につけられます。
身につけたスキルでご利用者様の課題を解決できたときや、チームから頼りにされたときに、プロとしての喜びと自信を感じられるでしょう。
4.仕事が楽しい
「仕事が楽しいこと」も24.2%と、約4人に1人以上がやりがいと感じています。ご利用者様との日々の会話や笑顔の交換、レクリエーションが盛り上がったときの達成感など、仕事のなかには楽しみを見出せる瞬間が多くあります。
働く仲間とのチームワークや一体感も、仕事を楽しくする重要な要素の一つです。
5.自分が成長している実感がある
「仕事を通じて自分が成長できること」(21.7%)も、やりがいを感じる大きな理由です。昨日までできなかったことができるようになったり、資格取得で専門知識が深まったりと、自身の成長を実感しやすい環境です。
困難な課題を乗り越えるたびに、人としても専門職としても、大きく成長できるのが介護の仕事です。
介護職が「きつい」と言われる理由
介護職が「きつい」と言われる背景には、心身への負担や働き方への不安があります。まず、移乗介助や入浴介助といった身体的な負担です。腰を痛めやすいだけでなく、早番や夜勤などの変則シフトも体力を消耗させます。
また、ご利用者様の命を預かる精神的な重圧に加え、意思疎通の難しい方とのコミュニケーションやご家族との人間関係に悩むことも少なくありません。
さらに、人手不足を背景とした不規則な勤務や、業務量に見合わないと感じる給与・待遇面も「きつい」というイメージにつながっています。
きついと言われる介護職を選ぶ理由
「きつい」側面がある一方で、介護職には多くの魅力があります。ここでは、介護職を選ぶ理由ややりがいにつながるポイントについて解説します。
未経験・無資格からでもキャリアをスタートできる
介護職は学歴や経験不問の求人も多くあり、未経験からでも挑戦しやすいのが大きな魅力です。
業界全体で人手が必要とされているため、採用の間口が広く、施設によっては未経験でも正規職員として採用されることもあります。
「ブランクがあって不安」という方でも、安心してキャリアを再スタートできる仕事です。
働き方の選択肢が豊富で、ライフステージに合わせやすい
正社員だけでなく、パートや日勤のみなど、多様な働き方が選べるのも介護職のメリットです。
日中だけのデイサービスで働いたり、子育て中は時短勤務を選んだりと、自分のライフステージに合わせて柔軟に勤務形態を変えられます。長く安定して働き続けやすい環境が整っています。
働きながら資格を取得して、キャリアアップを目指せる
働きながらキャリアアップを目指せる道筋があるのも介護職の魅力です。
無資格ではじめても介護職員初任者研修を修了したり、介護福祉士などを取得すれば、資格手当で給与が上がります。
資格取得支援制度を設けている職場も多く、支援を受けながら資格取得にチャレンジし、ステップアップしていくことが可能です。
なお、介護職員の資格取得に関する詳しい解説は、別記事『介護職員におすすめな資格|資格取得のメリットもわかりやすく解説』をご参照ください。
介護職にやりがいを持って続けられる人の特徴3選
ここでは、介護職として長く活躍している人に共通して見られる3つの特徴を解説します。ご自身に当てはまるか、チェックしてみてもよいでしょう。
1. 人と接することが好きで、コミュニケーションを大切にできる人
介護の仕事は、ご利用者様やそのご家族、職場の同僚など、多くの人との関わりで成り立っています。人と接することが好きで、相手の話に耳を傾けられる人は向いているでしょう。
シフト勤務で働く場合は、常に同じメンバーで働くわけではありません。そのため、基本的なコミュニケーションを通じて信頼関係を築くことが、より良いケアやチームワークの第一歩になります。
2. 誰かの役に立ちたいという気持ちが原動力になる人
「誰かの力になりたい」「人を支える仕事がしたい」という想いが大きなやりがいにつながる仕事です。日々のケアに対するご利用者様からの「ありがとう」という言葉が、何よりの喜びとモチベーションになります。
誰かに必要とされ、社会に貢献しているという実感が、働くうえでの原動力となるでしょう。
3.小さな変化に気づき喜べる人
ご利用者様の日々の些細な変化に気づき、それを自分のことのように喜べる人は、介護職で大きなやりがいを見出せます。昨日より食事が進んだ、笑顔が見られたなど、小さな「できた」に寄り添い、共に喜べる。そんな誠実でコツコツとした関わりが、ご利用者様の生活の質を向上させるのです。
介護職にやりがいを感じられなくなったときの対処法
介護の仕事をしていると、ときにはやりがいを見失うこともあるかもしれません。筆者自身は、以下のようなときにやりがいを見失いそうになったことがあります。

- 日々の業務に追われて「何のためにこの仕事をしているんだろう」と思ったとき
- 一生懸命関わっていたご利用者様がお亡くなりになったとき
- 賞与が思うように貰えなかったとき
このような経験は、決して特別なことではありません。もしあなたが同じような気持ちを抱えているのなら、ぜひこの後の対処法を参考にしてください。
なぜ「やりがいがない」と感じるのか、原因を考える
なぜやりがいを感じられないのか、原因を冷静に分析してみましょう。問題は「自分のスキルや働き方」にあるのか、それとも「給与や人間関係といった職場環境」にあるのか。不満や不安に思うことを整理し、自分の気持ちと向き合うことが、解決への第一歩になります。
一人で抱え込まず、同僚や上司に相談する
職場の人間関係や業務内容が原因なら、一人で抱え込まず、信頼できる上司や同僚に相談してみることも有効です。話すことで気持ちが楽になったり、解決のヒントが見つかったりすることもあるでしょう。
もし職場に相談しにくい場合は、転職支援サービスのような、外部の専門家に話を聞いてもらうのも一つの方法です。
自分に合う環境を求め、職場環境を変えてみる
個人の努力で環境を変えるのが難しいなら、転職して環境を変えるのも選択肢のひとつです。介護職は全国で必要とされており、求人も豊富にあります。今の職場で失われたやりがいも、新しい環境なら再度見つけられるかもしれません。自分を大切にするための一歩として、新たな可能性を探ってみるのも良いでしょう。
まとめ
本記事では、介護職のやりがいときついと言われる理由について解説しました。
大変な面もありますが、それ以上にご利用者様の笑顔や「ありがとう」の言葉が喜びとなる、魅力的な仕事です。本記事が、あなたが介護職への一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
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この記事を書いたのは・・・

さとひろ/Webライター
保有資格:ケアマネジャー/社会福祉士/介護福祉士/公認心理師
介護業界で22年の経験をもつ、特別養護老人ホームの現役ケアマネジャー兼生活相談員。介護職員・ケアマネジャー・生活相談員としての経験をもとにわかりやすい記事を執筆します。