介護と仕事の両立は可能?離職を防ぐ5つのポイント

「親の介護が必要になりそうだけど、仕事を辞めないといけないの?」「身内の介護サービスにかかる生活費を稼ぐために仕事は継続したい」などと悩んでいる人もいるのではないでしょうか。

介護と仕事の両立ができないと諦めて、介護離職をしてしまうのはもったいのないことです。
本記事では、介護と仕事を両立させる方法や大切なポイントなどを紹介していきます。

記事を読んで、介護と仕事の両立を目指し、精神的にも経済的にも負担を最小限に抑えた生活が送れるようにしていきましょう。

介護と仕事を両立させることはできる?

介護と仕事を両立させることは、場合により可能です。
しかし、親など身内を介護しながらの仕事継続には、さまざまな弊害があるのも事実です。

超高齢化社会に突入した昨今、介護と仕事の両立は決して他人事ではなく、それぞれが考えていかなければならない問題です。

現在の日本では、仕事と介護を両立するためのさまざまな制度が設けられています。

本記事では、介護と仕事を両立させるための方法や大切なポイントについて、さらに具体的に紹介していきます。

参照:厚生労働省「仕事と介護の両立 ~介護離職を防ぐために~」

介護と仕事を両立させる4つの方法

介護と仕事を両立させるのは、大変なことです。
しかし、適切な方法で両立させられる可能性もあります。

ここからは、身内の介護と仕事を両立させる方法を4つ解説していきます。

在宅勤務ができる仕事を探す

身内の介護状態や介護サービスの利用状況により、自宅にいる時間を増やさざるを得ないということもあるでしょう。

そんなときにおすすめなのが、在宅ワークです。
在宅ワークの具体例は次のとおりです。

  • ライター
  • 動画編集
  • オペレーション
  • カスタマーサクセス
  • 営業
  • 経理関係

上記で紹介した仕事以外にも、在宅でできる仕事は多数あります。

実際に厚生労働省で紹介されている介護と仕事との両立事例では、テレワークを活用しながら在宅介護をしている人もいます。

介護が必要になった場合に、在宅勤務に移行できそうな職場に転職することも一つの手です。
また、私はライターとして仕事をしていたため、融通を利かせながら祖父の在宅介護をすることができました。

ライターの仕事は、クラウドソーシングで探して実績をつけることで依頼を増やすことに成功しました。
ライターは、在宅ワークの中でも比較的取りかかりやすい仕事かもしれません。

気になる人は、ぜひクラウドソーシングなどでライターの仕事を始めてみてください。

介護サービスを活用する

介護保険サービスは、可能な限りフル活用していくことがおすすめです。

介護度により、利用できるサービスや頻度は異なりますが、上手に利用していくことでご自身に負担のない生活を送ることが可能です。

また、介護保険は、デイサービスや特養などの施設利用だけでなく福祉用具貸与などのサービスを利用することもできます。

介護に困ったら、まずは最寄りの地域包括センターに相談してみましょう。

介護休業制度を使う

家族の介護をする人を対象とした介護休業制度というものがあります。

こちらを利用すれば、仕事を一定期間休むことが可能です。

厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」では、2025年4月1日より介護離職防止のための個別の周知・意向確認等を事業者に義務づけると記載しています。

介護に直面した旨の申出をした労働者に対して、事業主は介護休業制度等に関する以下の事項の周知と介護休業の取得・介護両立支援制度等の利用の意向の確認を、個別に行わなければならないとされています。

つまり、事業者は介護に悩む労働者に対し、適切な対応をしなければならないということです。
家族の介護に直面して悩んでいる場合は、遠慮なく会社に相談してみるようにしましょう。

参照:厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」

AIを駆使し、遠距離でサポートできる体制を整える

最近では、介護の手助けをしてくれる有能なAI機器が多く販売されています。
上手に使えば、場合によっては、介護者の外出や遠距離介護などが可能です。

例えば、AIの活用方法は次のとおりです。

  • 見守りカメラを活用し、遠くからでも家族の見守りができるようにする
  • インターネットで必要物品を購入・配送し、遠距離から家族のサポートをする
  • 見守りロボットに認知症の家族のコミュニケーションを任せる

AIを駆使することで、家族の負担感を減らすことができます。

その結果、介護離職の防止にもつなげることができるでしょう。

介護離職を防ぐための大切なポイント3つ

介護離職を防ぐための大切なポイントは、大きくわけて3つです。
ここからは、介護離職を防ぐためのポイントを3つ紹介していきます。

現状を整理する

身内の介護と仕事の両立に悩んだら、まずは現状を整理しましょう。
現状を整理することで、自分の今置かれている状況を客観視でき、必要アクションが定まりやすいからです。

例えば、今の状況や生活で困っていること、今後の不安や介護・仕事においての「ここだけは妥協できない点」をピックアップします。

難しいと感じたら、紙に書き出してみるとわかりやすいかもしれません。

介護に関わる情報収集をする

現状を整理したら、それを元に必要な情報を集めましょう。
特に、大切なのは次のような情報です。

  • 今の自分が受けられる制度
  • 介護サービスの種類
  • サービスや必要物品などこれからかかる費用の目安
  • 家族の症状や対応方法

介護に関する情報をより多く収集できると、上手な仕事との両立にもつながります。

周囲の協力者・相談者をつくる

可能な限り、周囲に協力者や相談者をつくっておきましょう。
介護は一人で抱え込むと、その負担感から疲弊しやすいからです。

金銭面の支援や買い物代行、見守りなど、ときどきでも要介護者の世話を一緒にしてくれる人を味方につけておくことは大切です。

しかし、さまざまな状況により、身内に協力を期待できない人もいるでしょう。
そういった場合は、介護サービスを積極的に利用していきましょう。

まずは、地域包括支援センターを尋ねてみると幅広く相談に乗ってくれます。

筆者が経験した祖父の介護と仕事

筆者は、少しの間ですが祖父の介護を経験しました。
ここからは、そのときの体験を紹介していきます。

90代だった祖父は、病気で余命宣告されたあと、家に帰ってきました。
その間、母と協力しながら祖父の介護を行っていました。

母も私も当時、仕事をしていてお互いに辞めたくなかったため、分担することで負担を減らすようにしたのです。

午前中は私が祖父の介護を担当し、午後は母が担当。
毎日、介護記録をつけて家の中でも情報を共有していました。

ほぼ全介助だった祖父の介護は、確かに大変でしたが、協力者がいることで負担感ははるかに減った気がします。

在宅での介護は大変だからこそ、協力し合える人がいるときは遠慮なく頼り、難しい場合は介護サービスを利用していくのがよいと思います。

両立できる職場を探す

介護と仕事の両立が本当にできるかは、実は職場により大きく変わってきます。
今年から「育児・介護休業法」の改正により、介護に悩む労働者を守るさまざまな制度が設けられました。

しかし、まだまだ介護との両立について周囲に理解されにくいのも現状です。
より介護に対しての理解がある職場であるほうが、気持ちよく介護との両立ができるでしょう。

介護と仕事の両立をさせたいなら、そこに理解のある職場であるかを確認しておくことが大切です。
特に介護の仕事は、福祉を基盤としているため、身内の介護に理解がある職場が多いです。

介護の仕事は、夜勤ありの入居施設のイメージをもたれがちですが、実はそれだけではありません。
日勤の短時間勤務など、さまざまな働き方があります。

現在の職場では両立しにくいと思ったら、介護業界への転職を検討するのもおすすめです。
介護業界への転職の検討なら【介護転職のミカタ】へ

一つでも当てはまったら転職を考えたほうが良いかも

介護と仕事を両立させるためには、職場選びが大切です。
次の3つのうち一つでも当てはまったら、介護との両立に理解がある職場とはいえない可能性があります。

転職を検討したほうがよい事例を以下に3つ紹介していきますので、チェックしてみてください。

休みがとりずらい

もともと休みがとりづらい職場であれば、介護との両立は難しいかもしれません。なぜなら、休みがとりづらいということは、その職場の雰囲気がよくないか、もしくは人手不足である可能性が高いからです。

雰囲気が悪かったり、人手不足であったりすると、介護との両立のために短時間勤務や休業を希望したくても、しにくい可能性があるでしょう。

休みがとりづらい場合は、今後の生活のために早めに転職を考えてもよいかもしれません。

同じ境遇の職員が居ない為相談ができない

同じ境遇の職員が居ない職場だと、理解が得られない可能性があります。
なぜなら、同じ立場にならないと、人の気持ちは想像できないのが人間だからです。

例えば、身内の介護をしている人が一人もいない職場だと、状況を相談できないどころか、短時間勤務などに理解を示してもらえない可能性もあります。

介護と仕事の両立をしている人がいない職場で、理解が得られなければ転職を視野に入れていきましょう。

残業が多く介護に集中できない

残業など、業務量が基本的に多い職場も介護との両立は難しいです。
なぜなら、介護中は、身内の世話に疲れて大変な仕事は続かない可能性が高いからです。

例えば、次のような職場環境は介護との相性はよくないでしょう。

  • 残業が多い
  • 体力を消耗する業務が多い
  • 普段から仕事が終わったあとの疲れがとれない

このような職場であれば、介護との両立が出来ない可能性がありますので、転職をおすすめします。

まとめ

介護と仕事の両立は、決して簡単ではありません。
しかし、法改正などにより、年々両立の実現がしやすくなっているのも事実です。

制度やサービスを理解し、より介護の負担感を減らしていけると仕事との両立がしやすいでしょう。

記事で紹介した方法を参考に、介護離職するのではなく、ぜひ前向きな気持ちで仕事との両立を目指していってください。

この記事を書いたのは・・・

中村 亜美/Webライター

保有資格:介護福祉士
特別養護老人ホームでユニットリーダーとして11年程勤務。
その後はフリーライターとして活動中。在宅介護者や介護事業者、介護職員向けのコラム・取材記事を執筆している。