【経験談あり】介護一人夜勤の実態|負担軽減ポイントや注意点も

「介護の1人夜勤って大変なの?」「転職検討先が1人夜勤で心配だから就職を躊躇してしまう」と思っている人もいるかもしれません。

介護の1人夜勤は、大切な注意点を押さえれば過度に心配する必要のない働き方です。
本記事では、介護1人夜勤の実態や負担軽減ポイントなどを筆者の経験を元に解説していきます。

記事を読んで、1人夜勤への不安を払拭していきましょう!

介護1人夜勤は法的に大丈夫?

介護の1人夜勤は、場合により違法ではありません。
介護施設には、夜勤時の人員配置基準が定められています。

例えば、ユニット型の特別養護老人ホームは、2ユニットにつき1人以上の介護職員または看護職員が必要になります。

つまり、ご利用者様20人に対し、介護職員が1人で夜勤するのは問題ないのです。
また、昨今では、条件により一部施設でさらに夜勤の人員配置基準を緩和する動きもでています。

参照:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」

介護1人夜勤の実態

介護現場の1人夜勤は、実際どのようなものでしょうか。
ここからは、筆者の経験も踏まえながら解説していきます。

業務内容

介護1人夜勤の一般的な業務内容は次の通りです。

  • 申し送り
  • 排泄介助
  • 夕食や朝食の食事介助
  • 就寝介助
  • 起床介助
  • 夜間の巡視
  • 体位交換
  • 記録
  • その他、諸業務

大きな業務としては、食事準備や排泄介助、巡視などがあります。
また、夜勤の業務に食事介助や就寝介助、起床介助が入るかは、夜勤の時間帯が関係します。

夜勤は、夕食介助から朝食介助終了時までいる長時間勤務や夕方から夜10時くらいまでの準夜勤、深夜から早朝までの深夜勤など、さまざまなタイプがあります。

1人夜勤のスケジュール例は、以下になります。

16:30~16:40申し送り
16:40~17:00夕食準備
17:00~18:00夕食介助、見守り
18:00~19:00就寝介助
19:00~20:00排泄介助、体位交換等
20:00~5:00巡視、コール対応、体位交換等適宜休憩
5:00~6:00排泄介助
6:00~7:00起床、整容介助
7:00~7:30朝食準備
7:30~8:30朝食介助、見守り
8:30~9:30申し送り参加、後片付け等

こちらは実際筆者が1人夜勤を行っていたときのスケジュールになります。
休憩は、施設によって決まってたり、または自分で空いたときにとったりと取得の仕方はさまざまです。

筆者の場合は空いた時間にとるスタイルであったため、業務が落ち着いたタイミングで休憩をとっていました。

20時から5時までの時間は、巡視やコール対応、体位交換や必要に応じて排泄介助をしながら、空いた時間に休憩をとります。

休憩の取り方

1人夜勤の場合、休憩は空いた時間にとるのが一般的です。
筆者も1人夜勤経験者でしたが、当時はご利用者様が寝静まった時間帯や業務の合間にとっていました。

また、1人夜勤であっても6時間以上の勤務の場合、休憩時間は確保されなければいけないと労働基準法で定められています。

万が一、6時間以上の1人夜勤で休憩が全くとれなくて困っている場合は、職場や該当の機関に相談することをおすすめします。

どのような職場に1人夜勤が多いのか

規模やサービス内容により、1人夜勤を実施する職場があります。
例えば、次のような職場は、1人で夜勤をする傾向にあります。

  • グループホーム
  • ユニット型の特別養護老人ホーム
  • 小規模の住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅
  • お泊りデイサービス
  • ユニット型のショートステイ

筆者は、ユニット型の特別養護老人ホームで働いていましたが、1人夜勤を行っていました。夜勤で担当する利用者数は20名でした。

介護1人夜勤の負担軽減ポイント4つ

1人夜勤、いわゆるワンオペ夜勤は負担が多い現実もあります。
ここからは、筆者の経験を元に負担軽減のポイントを4つ紹介していきます。

可能な業務は前倒しする

まず、可能な業務は前倒しするように意識しましょう。

なぜなら、一部の業務を先に終わらせておくことで、万が一緊急事態に陥って時間が押しても、それを軽減できるからです。

例えば、次のような業務は前倒ししやすいです。

  • 記録物
  • パットやオムツなどの補充
  • 朝の準備
  • 洗濯類

筆者の過去の職場は16時間夜勤であったため、翌朝まで業務がありました。

朝使う食器を並べてふきんをかけるなどの準備を事前に行っておくことで、後半の業務が少し楽になるため実施していました。

前倒ししやすい業務は、可能な限り先に実施しておくことがおすすめです。

こまめな休憩を意識する

1人夜勤は、想像以上に体力を使います。
特に16時間夜勤などの長時間勤務の場合、眠さもあり、途中辛くなってしまうこともあります。

筆者も毎回、0時頃がピークでよく辛くなっていました。
そんなときこそ筆者は、ソファー等で数分体を横にしたり、目をつぶって疲労回復したりしていました。

長い夜勤であるほど、休憩はこまめにとることをおすすめします。
ご利用者様の安全を確保したうえで、こまめに座るなど体を休めることを意識しましょう。

きついと感じたら業務改善を提案する

夜勤の業務内容がハードすぎてきついと感じたら、遠慮なく業務改善を提案しましょう。
皆で声をあげていくことで、ご利用者と職員、両者にとって快適な環境に改善できるからです。

例えば、ポータブルトイレの片付けを夜勤明けに実施しているとして、それが苦痛だったとします。
その場合は、早番か日勤の仕事にできないかと提案するのも一つです。

職員により考え方は異なるため、声を挙げたところで必ずしも思い通りにいくとは限りません。
しかし、具体的にどうしていくのがよいかも添えて提案することで、採用される可能性もあります。

特に注意すべきポイントを絞る

夜勤の負担を軽減するポイントとして大切なのが、注意すべきポイントを絞るということです。
前提として、全ての業務において責任持ってこなすことはもちろん大切です。

しかし、全てにおいて全力で対応していたら、体力が消耗しすぎてしまう可能性があります。
業務の重要度や注意点には、レベル分けして段階をつけるとわかりやすいです。

例えば、筆者は以下のようにレベル分けして優先すべき注意点を明確にしていました。

【レベル3:最も注意すべきこと】

  • 転倒リスクのある利用者様の様子観察
  • 病状の悪化傾向にある利用者様の様子観察
  • 看取り段階の利用者様の様子観察
  • 誤薬・食事中の事故防止

【レベル2:その次に気を付けること】

  • ご利用者様の排泄の訴えに対する対応
  • 転倒リスクはそこまでないけどふらつきが気になる利用者様の対応
  • その他、定時の吸引等必要な処置対応

【レベル1:留意すべきこと】

  • 「淋しい」等が理由のコール対応
  • ご利用者様の様子を忘れず記録すること
  • その他、丁寧に介助を行う等

上記のようにレベル分けしておくことで夜勤で最優先すべきことが明確になり、体の負担軽減につながるだけでなく、より高い安全性を担保できます。

緊急対応について詳しくは、【介護職員の緊急時対応を解説|落ち着いて対処するための方法】の記事をご参照ください、

介護1人夜勤の注意点

ここからは、介護施設で1人夜勤をする際の注意点を解説していきます。

緊急時の対応を理解しておく

1人夜勤に限ったことではありませんが、介護現場では、ご利用者様が命の危険にさらされるような出来事も起こり得ます。

そういった場合には、何より迅速に落ち着いて行動することが大切です。
緊急時に適切な対応ができるように、万一の場合を想定しておくとよいでしょう。

緊急連絡先や万一の際の対応方法などを改めて確認しておくことをおすすめします。

夜勤入りの前は十分に睡眠時間を確保する

夜勤に入る前には、十分な睡眠をとるようにしましょう。
特に、16時間などの長時間勤務の場合は、想像以上に体力を使います。

しっかりと睡眠をとっておくことで、体の負担を軽減させることができ、質の高い介護ケアの提供にもつながります。

夜間の様子は共有を忘れないようにこまめに記録する

夜勤の様子は、こまめに記録することをおすすめいたします。

なぜなら、後で一気にまとめて書こうとすると、自分が対応したケアの内容やご利用者様の様子を忘れてしまうことがあるからです。

筆者も、0時過ぎの落ち着いた時間帯に記録をまとめて書こうとして、夕方くらいに対応した内容やご利用者様の様子を忘れてしまうことはよくありました。

また、食事量や排泄の様子などの細かい内容は特に忘れてしまうことがあります。
時間がなくてすぐにカルテに記載ができない場合は、メモ帳を持ち歩き記録しておくとよいでしょう。

経験者が語る介護一人夜勤の乗り越え方

筆者はまさに介護1人夜勤、いわゆるワンオペ夜勤の経験者です。
ユニット型の特別養護老人ホームで一人夜勤をしていました。

夜勤は月4回程度でしたが、やはり一人夜勤は緊張感があるといつも思っていました。

なぜなら、気軽に相談できる職員は同じユニット内におらず、ある程度自分で判断しなければならないことがあるからです。

例えば、一刻を争う事態に陥った場合、誰に連絡し、どのように対応するかを瞬時に判断する必要があります。

そのため、1人夜勤で筆者が意識していたのは、とにかく不明点を明確にしておくということでした。
例えば、多くの夜勤では申し送りの時間が設けられています。

筆者の場合は、夕方看護師から申し送りを受けていたのですが、ご利用者様の容態や薬の特徴、必要な対応などは、納得するまで聞いていました。

場合によっては多忙により、説明を受けるための時間を長くとれないこともあります。
そういうときには、時間を変えて相談するか、過去のカルテをみながら対応を学んでいました。

筆者は1人夜勤のポイントは、不明点を極力なくすことだと思っています。
これから、1人夜勤を始める方は、ぜひ参考にしていただけると幸いです。

まとめ

今回は、介護現場の1人夜勤について解説してきました。
最初は心配かもしれませんが、適切なポイントを押さえておくことで、過度な不安を防ぐことができます。

自分のペースを掴んで、1人夜勤でも質の高い介護ケアを提供できるようにしていきましょう。

この記事を書いたのは・・・

中村 亜美/Webライター

保有資格:介護福祉士
特別養護老人ホームでユニットリーダーとして11年程勤務。
その後はフリーライターとして活動中。在宅介護者や介護事業者、介護職員向けのコラム・取材記事を執筆している。