デイサービスの仕事内容を経験者が解説!1日の流れや体験談も紹介

デイサービスは、在宅で過ごしているご利用者様が、自立した生活を過ごすために利用するサービスです。
社会問題になっている孤独感の改善や、家族の介護負担の軽減も目的になっており、ご利用者様の社会交流にも役立っています。

本記事では、デイサービスで働く介護職員の仕事内容についてご紹介します。
1日の仕事の流れや、体験談についてもご紹介しますので、デイサービスの仕事内容に興味がある方はぜひ最後までご覧ください。

デイサービスの5つの仕事内容

デイサービスの基本的な仕事内容は以下の5つです。

  • 車(徒歩)での送迎
  • 入浴介助
  • 食事介助
  • 排泄介助
  • レクリエーションやイベント企画

本章では基本的な仕事内容を解説します。
デイサービスでの仕事内容について知りたい方は一読ください。

車(徒歩)での送迎

デイサービスは、日帰りでの利用が一般的です。そのため、介護職員がご利用者様の送迎をおこないます。
手段としては、車もしくは徒歩での送迎が一般的です。徒歩での送迎はごく稀で、ほとんどの方が車での送迎になります。

送迎で使用する車は多岐に渡ります。
筆者が最も運転したのは、ミニバンとハイエースです。基本的に、介護職員は車に添乗してご利用者様の変化などを見守るのが仕事ですが、利用される人数に対して職員配置が充足してない場合は運転業務も担当することがあります

もし車の運転が苦手であれば、勤務する前に運転業務があるかを確認することをおすすめします。

送迎業務については、以下の記事でもわかりやすく解説しているのでご覧ください。

入浴介助

デイサービスを利用するご家族様は、入浴を希望される方が多くいます。ご自宅の環境だと入浴が困難な方や、身体状況が原因普通のお風呂に入れない方が利用します。入浴のサービスを利用するご利用者様は、1日に15人前後でした。

多いときは20人利用することもありましたが、ごく稀なパターンでした。
入浴を促しても拒否する方も多く、なかなかスムーズにいかない時もあります。そんなときは、先輩職員に誘導方法を聞いて真似したり、アレンジして誘導を実施してみてください。

入浴介助に関する手順や注意点に関しては、以下の記事でくわしく解説しています。

食事介助

デイサービスでは食事介助を必要とする方も利用します。だいたいのご利用者様が自立しているため、自力で食事ができます。しかし、勤務先によっては全介助の方も利用するため、食事介助をおこなう必要があるでしょう。

食事介助と見守り時の注意点として、食事の配膳間違いを起こさないことです。ご利用者様は、それぞれ食事形態が異なります。誤った食事形態の食事を配膳してしまうと、誤嚥などのリスクが上がるため、注意しましょう。

食事介助の基礎知識は、以下の記事を参考にしてください。

排泄介助

デイサービスのご利用者様は自立している方が多いです。そのためほとんどの方が、トイレの見守り、もしくは一部介助です。ただ、デイサービスによっては寝たきりの方が利用することもあります。

そのため、ベッド上での排泄介助もできるようにしておきましょう。

正しい排泄介助を身に着けたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

レクリエーションやイベント企画

レクリエーションは、毎日実施します。基本的に朝、昼食前、帰る前の合計3回です。それぞれ目的に合わせた内容を、機能訓練指導員が考えて実施します。ちなみに職員の配置状況によって看護師や介護職員がレクをおこなうこともあります。

イベント企画は、デイサービスの目玉です。施設のコンセプトにもよりますが、介護職員が最低でも月に1回はイベントを企画して実施します。ご利用者様は比較的元気な方が多いので、積極的に参加できるイベントを企画するといいでしょう。

デイサービスでよく実施されるイベントとして、おやつレクがあります。
おやつレクは、ご利用者様同士の交流のきっかけになったり、手先や認知力のトレーニングにもなります。

こちらの記事では、おやつレクのアイデアを紹介しています。気になる方はあわせてご覧ください。

デイサービスの1日スケジュール

デイサービスの1日のスケジュールは、勤務先によりますが、以下に基本的な流れをまとめました。

時間仕事内容
8:30~ご利用者様の送迎開始
9:30~入浴介助開始 (昼食前に終了)
9:45~朝の挨拶
レクリエーション開始 (約1時間程度)
11:00~トイレ誘導の実施
11:30~昼食前の口腔体操 (パタカラ体操など)
12:00~昼食配膳
12:30~口腔ケア
トイレ誘導実施
13:30~自由時間
(お昼寝など、各自ご自分の好きなことをされる)
15:00~おやつ提供
トイレ誘導
16:00~帰宅準備
送迎開始
17:15~1日の振り返りミーティング
17:30~勤務終了


勤務先のスケジュールが気になる場合は、採用前に聞いてみると良いでしょう。

デイサービスの職員配置と役割

デイサービスを運営するために、原則以下の職員を配置する義務があります。

  • 管理者
  • 介護士
  • 看護師
  • 生活相談員
  • 機能訓練指導員

本章ではそれぞれの職員の役割と、配置人数を解説します。

管理者

管理者はデイサービスに1人います。
厚生労働省の基準の中で規定はありませんが、管理運営する上で大切なポジションです。

仕事内容は、施設全体の管理運営です。職員の採用から、施設全体の運営も行うため、現場の職員が足りないときは率先して入浴介助や排泄介助もおこないます。職員の管理や指導もおこなう必要があるため、全体的に物事を見る力が必要です。

介護士

施設のご利用者様15人に対して介護職員は最低1名必要です。
その後はご利用者様の人数×0.2を加えた数の職員が必要になります。

基本的な介護技術で身体介護のサービスを提供します。その他にもご利用者様の送迎の添乗を行なったり、実際に車での送迎業務もおこなうため、あらゆる技術が身につくでしょう。

看護師

看護師は単位ごとに1人以上の配置が必要です。
仕事内容は、ご利用者様が持参した薬の管理、内服、傷の処置がメインです。他にも入浴介助を一緒に手伝ったり、帰宅するときに車へ乗り込むお手伝いもおこないます。

生活相談員

生活相談員は、事業所ごとにサービス提供時間に応じて専従で1名以上の配置が義務付けられています。主な仕事内容は、サービス担当者会議の出席や、デイサービスを利用したいというご利用者様の契約業務などを行います。

デイサービスの利用者を探す営業の仕事も兼任しており、事務作業とご利用者様およびご家族とのやりとりがメインです。

機能訓練指導員

施設に1人以上の配置が義務付けられています。機能訓練指導員は、身体機能の改善がメインです。
ご利用者様の心身の健康を保てる体操をおこなったり、働きかけを中心に業務を担当します。

デイサービスの種類5つ

デイサービスは種類が多いのが特徴です。一般的なデイサービスの形は以下の5つです。

  • 小規模デイサービス
  • 大規模デイサービス
  • お泊まりデイサービス
  • 認知症対応型デイサービス
  • リハビリ特化型デイサービス

本章で、それぞれのポイントを解説します。デイサービスの特徴を知りたい方はぜひ参考にしてください。

デイサービスの種類については、以下の記事でもくわしく解説しています。

小規模デイサービス

2016年に地域密着型通所介護に位置づけられたのが、小規模デイサービスです。
ご利用者様の人数は18人以下で、食事や排泄、入浴などのサービスを提供します。小規模なので、ご利用者様と密なコミュニケーションを取れるのがメリットです。

大規模デイサービス

大規模デイサービスは、1日20〜30名が利用するデイサービスです。
ご利用者様が多いので、職員の人数も増えますがしっかりと視野を保って見守りする必要があります。基本的に利用時間は長いですが、短時間での利用も可能です。

お泊まりデイサービス

お泊まりデイサービスは、介護保険適用外のサービスです。
他のデイサービスとは異なり、日帰りではなく利用後にそのまま宿泊が可能です。保険適用外のため、利用するときは費用をしっかりと確認する必要があります。

お泊まりデイサービスは、デイサービスで通常おこなう身体介護を夜間も行います。夜勤もおこなうため、夜勤が苦手な方にはおすすめできません。将来的に夜勤も経験してみたい人であれば、おすすめの勤務先です。

認知症対応型デイサービス

認知症対応型のデイサービスは、在宅で生活している認知症の方が、可能な限り在宅で生活できるようサービスを提供する施設です。
利用されるのは認知症の方のため、適したコミュニケーションを取るようにしましょう。

リハビリ特化型デイサービス

リハビリ特化型デイサービスは、介護度が低めな人が多く利用する傾向にあります。
在宅での身体的不安を解消するために、半日利用でリハビリのみ受ける方が多いです。また積極性も高いため、職員の介助量が少ないのも特徴です。

デイサービスで働くメリット5つ

筆者が、実際にデイサービスで働いて感じたメリットは以下の5つです。

  • 夜勤がない
  • 柔軟な思考力を養える
  • 未経験・無資格でも1年間働くことは可能
  • 勤務先によっては介護技術が向上しやすい
  • レクの企画力や実行力が身につく

それぞれ解説するので、メリットを詳しく知りたい方は参考にしてください。

夜勤がない

デイサービスは、基本的に夜勤がありません。お泊まりデイサービスの場合は別ですが、基本は日帰りのため、​​ご家庭の事情などで夜勤ができない方におすすめです。

柔軟な思考を養える

デイサービスは少人数で、複数の方を見守ります。

筆者の場合は、20人いるご利用者様を職員3人で対応したことがあります。それぞれ自立度も高いご利用者様でしたが、お声がけをすることで20人の方の排泄や、送迎を事故もなく順番に対応することができました。

柔軟な思考でご利用者様の対応をするスキルは、実際の現場でしか養えません。デイサービスで働くことで、別の施設に行っても役立つ思考力を身につけることができます。

未経験・無資格でも1年間働くことは可能

デイサービスの求人で、未経験や無資格の方を採用している施設は多く存在します。
デイサービスは比較的介護度が低いこともあり、最初に介護を始める場としてはおすすめの職場です。経験を積みながら資格を取得して、キャリアを形成するのもいいでしょう。

注意

無資格から入社することはできますが、2024年4月から、採用されてから1年以内「認知症介護基礎研修」の研修受講もしくは資格の取得が義務付けられました。

無資格からの介護職のはじめ方についてくわしく知りたい方は、下記の記事をご参照ください。

勤務先によっては介護技術が向上しやすい

勤務するデイサービスによっては、さまざまな介護度のご利用者様の介護を担当できます。
そのため、介護の手を必要としてくれるデイサービスを探すのもいいでしょう。

レクの企画力や実行力がに身につく

デイサービスでは、利用者が楽しめるレクリエーションを日々提供するため、スタッフ自身が企画や準備、当日の進行までを担うことが多くあります。
そのため、働く中で「どんな内容が喜ばれるか」「どうすれば盛り上がるか」などを考える力が自然と養われ、企画力や実行力が身につきます。

また、ご利用者様の反応を見ながら臨機応変に対応する力も必要になるため、介護以外の仕事にも応用できる貴重なスキルとなるでしょう。

以下の記事では、デイサービスでも役立つ「おやつレク」のさまざまなアイデアを紹介しているので、レクを企画する際にお役立てください。

デイサービスで働くデメリット3つ

筆者がデイサービスで働いてみて、感じたデメリットは以下の3つです。

  • 給与が低い
  • 率先して動く必要がある
  • 勤務先によっては介護技術が向上しにくい

それぞれ解説するので、勤務しようか悩んでいる方は、ぜひご一読ください。

給与が低い

デイサービスは夜勤がなく勤務時間も一定なため、手当が少ない傾向です。
そのため、夜勤がある入所施設や、早番・遅番などの交代勤務がある施設と比較して、給与が低くなる傾向があります。

給与を少しでも上げたい方は、手当の種類が多い勤務先を選ぶといいでしょう。

率先して動く必要がある

デイサービスは、複数のご利用者様の対応をしながら、1日の業務が目まぐるしく回ります。そのため、業務を同時並行でおこなうことが多く、周囲を見ながら自分から業務に取り組む必要があります。

常に積極的に動くのが辛い方は、小規模のデイサービスなどがおすすめです。

勤務先によっては介護技術が向上しにくい

介護度の幅が広いデイサービスであれば、さまざまな介護を経験することができて経験値が上がりますが、ご利用者様の介護度が低いとあまり介護技術の向上は望めません。

もし介護技術を伸ばしたいのであれば、デイサービスではなく特別養護老人ホームなどの入居施設がおすすめです。

デイサービスに向いている人の特徴3つ

デイサービスに向いている人には以下の3つの特徴があります。

  • 協調性がある
  • 話すのが得意
  • 人前に出るのが楽しい

デイサービスで仕事をしてみたいと思った方は、ぜひ参考にしてください。

協調性がある

デイサービスは、複数のご利用者様を少数の介護職員で対応します。そのため、周囲との連携や、声掛けが重要です。
コミュニケーションが得意で、人間関係のバランスを意識できる方はデイサービスの仕事に向いています。

話すのが得意

デイサービスに通うご利用者様は、コミュニケーションが好きな方が多い傾向です。
そのため、話すのが得意な方はデイサービスに向いていると言えるでしょう。

人前に出るのが楽しい

デイサービスで勤務すると、レクリエーションやイベントで人前に出ることが増えます。ご利用者様の前で朝の挨拶をしたり、トークをしたりする場面もあります。
人前に出るのが楽しいと感じる方には、おすすめの職場と言えます。

デイサービスの仕事内容でよくある質問

デイサービスで勤務する上で、給与や休日の実態を知りたい方は多いでしょう。
本章では、実際にデイサービスで勤務していた筆者が経験を踏まえて回答します。実体験を知りたい方はぜひ参考にしてください。

デイサービスの給与ってどのくらい?

令和4年度9月の厚生労働省調べでは、平均月収が額面で約22〜23万円でした。
ちなみに数年前ですが筆者の給与は、額面で18〜19万円ほどだったので、昔に比べると上がっているのが分かります。

また、ボーナス(賞与)については、施設によって大きく異なるため確認が必要です。

デイサービスの休日はいつ?

デイサービスの休日は、基本的に土日休みもしくは日曜休みが多いです。ただし、祝日は休みでないことが多いため、勤務する前に確認することをおすすめします。
筆者は日曜日が固定休で、月〜土のどれか1日をシフト制で休んでいました。

運営方針によっては、曜日問わずシフト制の施設もあるため、勤務前に確認するようにしましょう。

デイサービスの添乗業務って何をするの?

送迎車の添乗員がおこなう業務は、主に以下の4つです。

  • ご利用者様の乗降のお手伝い
  • ご利用者様の安否確認と安全確保
  • ご利用者様とコミュニケーション
  • 車とご自宅の送迎時の介助

送迎するお宅によっては、上記以外の内容も対応することもあるため確認が必要です。

デイサービスは無資格でも働けますか?

デイサービスは無資格でも働くことが可能です。たとえば、ご利用者様の食事の配膳やレクリエーションの補助、送迎時のサポートなどは、原則資格がなくても可能です。

入浴介助や排泄介助などの身体介護に関しても、介護福祉士などの有資格者の指示のもとであれば可能です。

注意点として、無資格の場合は、入職後1年以内に「認知症介護基礎研修」の研修受講が義務付けられています。
認知症介護基礎研修は、1日で取得できる簡単な研修なので、無資格でデイサービスへの転職を検討している方は取得しておきましょう。

無資格の介護職に義務付けられている「認知症介護基礎研修」については、以下の記事でくわしく解説しているのでご覧ください。

まとめ

デイサービスの仕事内容は、基本的な部分はどの施設も同じです。送迎を始めるところから業務がスタートします。その後の動きが、施設の規模感やコンセプトによって変わってきます。

そのため、勤務する前にデイサービスの特徴を把握して臨むようにしましょう。
面接の段階で気になるところは確認すると、ギャップが少なく勤務スタートすることができますよ。

この記事を書いたのは・・・

かきざき/Webライター

保有資格:介護福祉士/終活ガイド1級/エンディングノートセミナー講師/食品衛生責任者
介護福祉士として介護職を13年経験。ライター歴3年。
特養でのユニットリーダー経験や、珍しい定期巡回の経験を活かして記事執筆しています!