介護職の仕事内容を徹底解説|メリットやデメリットなども紹介

介護職は身体介護や生活援助、イベント企画や運営など、さまざまな業務を担う仕事です。勤務シフトや1日のスケジュールは、日勤や夜勤、通所施設や入所施設などによって異なります。
介護職は無資格未経験からでも始めやすいメリットがある反面、全産業に比べると平均給与が低い課題もあるのが現状です。

本記事では、介護職の仕事内容の詳細や働き方、介護職の給与事情など介護職の仕事に関する内容を紹介します。
現役介護職のリアルな体験も含めながらわかりやすく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

介護職の仕事内容

介護職の仕事内容は、次の5つに分けられます。

  • 身体介護
  • 生活援助
  • 介護記録
  • イベントの企画や運営
  • 委員会業務

それぞれ具体的な内容を見ていきましょう。

身体介護

身体介護は、自力で日常生活を送れないご利用者様のために、実際に身体に触れながら行う次のような仕事です。

身体介護の種類仕事内容
食事介助食事摂取や食事中の見守りなど食事摂取に関するサポートをする
排泄介助トイレ誘導やオムツ交換、排泄状態の観察などをする
入浴介助入浴の準備から洗身洗髪など入浴全般のサポートをする
移動介助付き添い歩行や車椅子移動など移動に関する動作をサポートする
移乗介助ベッドから車椅子、車椅子から椅子など身体の移動をサポートする
更衣介助日常着やパジャマなどに着替える更衣に関するサポートをする


ご利用者様の身体に直接触れるため、専門的な知識や技術が求められると言えるでしょう。

生活援助

生活援助は、次のようなご利用者様の身の回りの援助を指します。

生活援助の種類仕事内容
掃除居室の掃除やゴミ出し、整理整頓など
洗濯洗濯物を干したり取り入れたりするなど
調理一般的な調理や配膳、後片付けなど
衣類の整理たんす内の整理や衣替え、衣類の補修など
布団の整理ベッドメイクやシール交換など

生活援助は日常生活に必要な身の回りのサポートで、仕事内容は家政婦のようなイメージです。

介護記録

介護職はご利用者様の生活支援だけでなくご利用者様の状態変化を把握し、体調を管理するために、日々の様子や食事、排泄などの記録を残すことも大切な仕事です。

また、介護記録はご利用者様に必要なサービスを提供した証明にもなるため、必ず残さなければいけません。
たとえ介護サービスを提供していたとしても、介護記録がないと証明がなく提供していないと判断される恐れがあります。そのため、介護記録は介護職にとって重要な業務の一つと言えるでしょう。

イベントの企画や運営

介護施設では、年間を通じてさまざまなイベントが行われます。たとえば、毎日の体操や脳トレなどのレクリエーション、新年会やクリスマス会、敬老会などの季節行事などがあります。

介護職の主な仕事は、イベントの企画や運営、準備やシフト調整などイベント全体の計画全般です。

どのような内容にすればご利用者様が喜んでくれるか、どのようなスケジュールで進めればスムーズに進行できるかなど、さまざまなことを想定しながら企画運営することが求められる仕事です。

委員会業務

介護施設では、次のような委員会があり、委員会ごとに次のような役割が求められます。

委員会の種類役割
排泄委員会ご利用者様の排泄に関する課題について取り組む
レクリエーション委員会レクリエーションの企画や運営を率先して行う
事故防止対策委員会事故の原因や対策について分析し全体に共有する
身体拘束適正委員会身体拘束が適切に行われているか定期的に確認する
生産性向上委員会業務の生産性向上について話し合い職場全体に働きかける


各委員会が積極的に活動することで、介護サービスの質の向上につながります

生産性向上委員会に関しては、厚生労働省の「令和6年度介護報酬改定 生産性向上推進体制加算について」からもわかるように、2024年度から設置が義務化されました。

介護職の働き方

介護職の働き方は、冒頭でもお伝えしたように施設によって異なります。たとえば、特別養護老人ホームや介護老人保健施設等は、入所施設のため夜勤を伴います。
デイサービスのような通所施設は、夜勤はなく日勤帯のみの仕事となります(※一部お泊りデイサービスがあるので夜勤をする場合もあります。)

では入所施設、通所施設での1日のスケジュールを見ていきましょう。
実際に介護職として働く筆者の経験を含めながら紹介するので、ぜひ参考にしてください。

1日のスケジュールと仕事内容の例

1日のスケジュールと仕事内容についても、通所施設と入所施設それぞれのケース別に紹介します。
これから介護職をする方は、実際に働くことをイメージしながらぜひ参考にしてください。

なおここで紹介する内容はあくまで一例で、施設によってスケジュールは若干異なります。

入所施設(特養)での1日の流れの例

入所施設(特養)の1日の流れの例について、早番と夜勤の2パターンを見ていきましょう。

▼早番の場合

時間仕事内容
7:00出勤
7:30朝食の準備・食事介助
8:30口腔ケア・排泄介助
9:30入浴介助
11:00休憩
12:00昼食の配膳・食事介助
13:00口腔ケア・排泄介助
14:00レクリエーション
15:00おやつの準備・食事介助
15:30記録業務
16:00申し送り後に退勤


早番は出勤時間は早いですが、夕方前には退勤できるため、仕事後の時間に余裕があるのが魅力です。

▼夜勤の場合

時間仕事内容
16:00出勤して日勤者の申し送りをもらう
16:30夜勤前の物品補充
17:00夕食の準備
18:00夕食の配膳・食事介助
19:00口腔ケア・排泄介助・就寝介助
20:00眠前薬の服薬介助
21:00巡視(ご利用者様の状態確認)
23:00記録業務・清掃業務
0:00巡視・排泄介助
1:00休憩(1時間~2時間)
3:00巡視・排泄介助
6:00巡視・排泄介助
7:00起床介助・朝食の準備
7:30朝食の配膳・食事介助
8:30記録業務
9:00退勤


夜勤業務は、巡視や排泄介助がメインで、ご利用者様の体調によって負担が変わります。体調不良の方がいれば、気を遣う必要があるため精神的な負担も増えます。

特別変わったことがなければ、空いている時間はゆっくり過ごせるため負担も軽くなるでしょう。

通所施設(デイサービス)での1日の流れの例

通所施設(デイサービス)で働く介護職の1日の流れの例は、次のとおりです。

時間仕事内容
8:30出勤して送迎業務
9:00ご利用者様のバイタルチェック
10:00入浴介助
12:00昼食の配膳・食事介助
13:00休憩
14:00レクリエーション
15:00おやつの準備・食事介助
16:00送迎業務
17:00記録業務
17:30退勤


デイサービスは日勤のみで、イベントがある日以外は、基本的に毎日同じスケジュールで仕事をします

1ヶ月の勤務スケジュール例

1ヶ月の勤務スケジュールについて、日勤のみの場合と夜勤を含む場合の、2つのパターン別に見ていきましょう。

日勤のみの働き方は、デイサービスのような通所施設や日勤のみを希望するパートや派遣などが該当します。
一方、特別養護老人ホームのような入所施設で正社員をする場合は、夜勤を含む勤務をしなければいけません。また日勤以外に早番や遅番などもあります。

日勤のみの1ヶ月のスケジュール例

日勤のみの1ヶ月のスケジュール例は、次のとおりです(30日の場合)

1日(日)公休16日(月)日勤
2日(月)日勤17日(火)日勤
3日(火)日勤18日(水)公休
4日(水)日勤19日(木)日勤
5日(木)公休20日(金)日勤
6日(金)日勤21日(土)日勤
7日(土)日勤22日(日)公休
8日(日)公休23日(月)公休
9日(月)日勤24日(火)日勤
10日(火)日勤25日(水)日勤
11日(水)日勤26日(木)日勤
12日(木)日勤27日(金)日勤
13日(金)日勤28日(土)日勤
14日(土)公休29日(日)公休
15日(日)公休30日(月)日勤


介護職の休日は、週休2日または月9日休みが一般的です。年間休日は、105〜110日ほどで、そのほか有給休暇が年間5〜10日あります。
介護職は土日祝日関係なく出勤するため、毎月休日が定まっていません。そのため、職員のプライベートを考慮し、毎月2〜3日程度の希望の休みを取得できます。

夜勤を含む1ヶ月のスケジュール

夜勤を含む1ヶ月のスケジュールは、次のとおりです(30日の場合)

※早番(7時〜16時)・遅番(10時〜19時)・夜勤(16時〜翌9時)

1日(日)早番16日(月)早番
2日(月)遅番17日(火)遅番
3日(火)夜勤入り18日(水)遅番
4日(水)夜勤明け19日(木)公休
5日(木)公休20日(金)公休
6日(金)公休21日(土)早番
7日(土)遅番22日(日)遅番
8日(日)遅番23日(月)夜勤入り
9日(月)夜勤入り24日(火)夜勤明け
10日(火)夜勤明け25日(水)公休
11日(水)公休26日(木)公休
12日(木)早番27日(金)遅番
13日(金)夜勤入り28日(土)夜勤入り
14日(土)夜勤明け29日(日)夜勤明け
15日(日)公休30日(月)公休


原則夜勤明けの翌日は公休になります。夜勤は16時間勤務と長丁場になるため、体力の必要な仕事です。そのため、仕事が終わったらしっかりと身体を休めて、体調管理に努めましょう。

上記の例はロング夜勤と言われる勤務ですが、ショート夜勤の場合は8時間労働です。その場合は、夜勤明けの日が公休扱いとなります。

介護職のメリット

介護職のメリットは、次の3つです。

  • 無資格未経験でも始められる
  • 求人数が多く職場を選びやすい
  • 資格と経験で確実にキャリアアップできる

それぞれ詳しい内容を見ていきましょう。

無資格未経験でも始められる

介護職は、無資格未経験でも始められる点が魅力の仕事です。

ただし、2024年4月より、無資格の介護職には「認知症介護基礎研修」の受講が義務化されたため、無資格のまま働き続けることができません。
それでも無資格未経験から仕事を始めて、働きながら資格取得を目指せるため、始められるハードルは低いと言えます。

無資格から介護職を始める方は、こちらの記事を参考にしてください。


求人数が多く職場を選びやすい

介護業界は慢性的な人手不足のため、完全な売り手市場で転職しやすい業界です。たとえば、介護施設の種類も豊富で、次のようなさまざまな施設があります。

  • 特別養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設
  • 介護付き有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅
  • グループホーム
  • デイサービス
  • 訪問介護事業所

求人数が多いだけでなく種類の多いため、転職しやすいだけでなく、自分に合った職場を選べるのも魅力的です。

資格と経験で確実にキャリアアップできる

介護職は資格と経験を積むことで、確実にキャリアアップできます。厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、保有資格別の平均給与は以下のとおりです。

保有資格平均給与(月給)
資格なし268,680円
介護職員初任者研修300,240円
介護福祉士実務者研修302,430円
介護福祉士331,080円
介護支援専門員376,770円


介護職の仕事に役立つ資格については、本記事内の「介護職の仕事に活かせる資格一覧」を参考にしてください。

介護職のデメリット

一方、介護職のデメリットは、次の3つです。

  • 土日祝日関係なく出勤しなければいけない
  • 全産業の平均よりも給与が低い
  • 人間関係に悩む可能性がある

それぞれの具体的な内容と、デメリットの解消法を紹介します。

土日祝日関係なく出勤しなければいけない

介護サービスは土日祝日関係なく提供しているため、カレンダー通りに休めません。そのため、土日祝日は休みたいという方は、介護職が負担に感じるかもしれません。

ただ、介護職でも土日祝日休みの働き方ができます。たとえば、パートや派遣社員として働けば自分の希望通りに働けるため、平日のみの出勤も可能です。

全産業の平均よりも給与が低い

介護職は決して給料が高い仕事ではありません。実際に、介護職の年収は全産業の平均よりも低いのが現状です。

業界平均年収
介護職(介護福祉士の場合)約400万円
全産業約460万円
参照:国税庁 令和5年分 民間給与実態統計調査


ただ、介護職はさまざまな職場があり、全産業の平均以上の年収をもらえる職場もあります。そのため、どこで働くかも給与アップにおいて重要な要素です。

人間関係に悩む可能性がある

介護労働安定センターの「介護労働者の就業実態と就業意識調査結果報告書」によると、介護職の退職理由でもっとも多いのが「職場の人間関係に問題があったため」でした。

介護現場ではご利用者様やご家族様、さまざまな職種の仲間と仕事をしなければいけないため、人間関係の構築が大変です。人間関係のいい職場で働くためには、転職前の職場リサーチが重要と言えるでしょう。

介護業界の人間関係に関する内容は、以下の記事で解説しているのであわせてご覧ください。

介護職に向いている人の特徴

次のような人は、介護職に向いていると言えるでしょう。

  • 人と関わるのが好き
  • 体力に自信がある
  • オンとオフの切り替えがうまい

それぞれの詳しい特徴を確認しましょう。

人と関わるのが好き

介護職はご利用者様やご家族様、介護職や医療職など、さまざまな人と関わる仕事です。そのため、人と関わることが好きな人は介護職に向いています。

とくに自分の話をするよりも相手の話を聞くのが好きな聞き上手な人は、介護職としての才能があると言えるでしょう。
ご利用者様は施設で生活しているため、自分の話を聞いてほしいという方もいます。人との関わりが好き、話を聞くのが上手いという人は、ぜひ介護職を始めてみてください。

体力に自信がある

介護の仕事では、排泄介助や入浴介助、移乗介助など、身体を使った業務が多くあります。また、夜勤や残業などを考えると、長時間労働になりやすい点も特徴です。
そのため、体力がないと続けるのが大変な仕事です。スポーツの経験があり体力に自信のある人は、介護職に向いています。

自慢の体力を活かしたいという方は、ぜひ介護職に挑戦してください。

オンとオフの切り替えがうまい

介護職は感情労働と言われており、ストレスが溜まりやすい仕事です。そのため、オンとオフの切り替えの上手さが求められます
なお、感情労働とは、自分の感情をコントロールしながら行わなければいけない仕事を指します。

たとえば、認知症のご利用者様に対して理不尽なことを言われてイライラしたとしても、感情をコントロールし笑顔での対応が求められるケースです。

介護職の仕事に活かせる資格は、次のとおりです。

  • 介護職員初任者研修
  • 介護福祉士実務者研修
  • 介護福祉士
  • レクリエーション介護士
  • 認知症ケア専門士

各資格の取得方法や特徴を見ていきましょう。

介護職員初任者研修

介護職員初任者研修は、介護職に必要な基本的な知識や技術を習得できる資格です。そのため、介護職を始めたばかりの方におすすめです。
介護職員初任者研修の資格は、およそ130時間で構成されたカリキュラムを受講することで取得できます。

介護職としての基礎を学びたい方は、まず介護職員初任者研修を取得しましょう。

介護福祉士実務者研修

介護福祉士実務者研修は、より専門的な介護の知識と実践的なスキルを取得できる資格です。
およそ450時間で構成されたカリキュラムと、医療的ケアの演習を受けることで資格を取得できます。

なお、介護福祉士国家試験の受験要件にも入っているため、将来的に介護福祉士の資格取得を目指している方は必ず取得しておきましょう。

介護福祉士

介護福祉士は、現場で働く介護職に活かせる唯一の国家資格であり、介護のスペシャリストである証明にもなります
無資格未経験から介護福祉士の資格を取得するためには、3年の介護経験と実務者研修の資格取得が必要です。

介護福祉士の資格取得方法に関しては、以下の記事を参考にしてください。

レクリエーション介護士

レクリエーション介護士とは、高齢者に喜ばれるレクリエーションの企画や実施、介護現場の活性化方法などを学べる資格です。

資格には2級と1級があり、2級は研修を受講することで資格を取得でき、1級は筆記と実技試験に合格することで資格を取得できます

参照:日本アクティブコミュニティ協会 レクリエーション介護士

認知症ケア専門士

認知症ケア専門士は、公式サイトによると次のように定義されています。

「認知症ケア専門士」とは認知症ケアに対する優れた学識と高度の技能、および倫理観を備えた専門技術士を養成し、わが国における認知症ケア技術の向上ならびに保健・福祉に貢献することを目的として設立された 一般社団法人日本認知症ケア学会認定の資格です。
引用:日本認知症ケア学会認定 認知症ケア専門士


認知症ケア専門士は、日本認知症ケア学会が実施する試験に合格することで、資格を取得可能です。
試験内容は2段階に分かれており、1次試験と2次試験に合格しなければいけません。

介護職の給与事情

介護職は全産業に比べて年収は低いですが、資格や経験、働く職場の給与形態によって異なるのが実情です。

たとえば、グループホーム(認知症対応型共同生活介護事業所)の平均給与は、厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」では、291,080円です。しかし、グループホームで実際に働いている筆者は、35万円以上の給与を頂いています。

介護職は、経験と資格を積むことで確実にキャリアアップし、給与を上げることが可能な仕事です。
介護職の給与事情や年収アップの方法などについては、以下の記事で解説しているので参考にしてください。

介護職になるための方法

介護職になるためには、資格を取得し始める場合と、まずは仕事をしてみて働きながら資格取得を目指す場合の2パターンに分かれます。

何も知らない状態で介護の仕事を始めるのが不安という方であれば、まずは介護職員初任者研修の資格を取得してから、職場を探してみるといいでしょう。

無資格未経験から介護職を始めようと考えている方は、ぜひ以下の記事を参考に始めてみてください。

まとめ

今回は「介護職の仕事内容」を紹介させていただきました。介護職といっても、働く施設や雇用形態などによって、仕事内容やスケジュールは異なります。
そのため、転職の時点で自分に合った職場や働き方を探し出すことが大切です。

「介護転職のミカタ」では、6万件の求人を保有しています。転職の際は、専門のコンサルタントがサポートしてくれるため、安心して転職活動を進められます。
サービス利用は無料なので、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事を書いたのは・・・

津島 武志/Webライター

保有資格:介護福祉士/介護支援専門員/社会福祉士
業界17年目の現役介護職兼ケアマネージャー。
さまざまな介護系メディアでWebライターとしても活動し、多くの検索上位記事を執筆。
介護職以外に転職メディア「介護士の転職コンパス」や自身のライフスタイルや介護系コンテンツを発信するYouTubeチャンネル「かいご職TV」等を運営。