介護業界で重要なのは人間関係!?改善のポイントと良い職場の選び方を解説!
介護職員として働いている方はどのようなお悩みがあるのでしょうか。よく耳にする人間関係は本当に重要なのかをこの記事で解説します。
また、既に人間関係に悩んでいる人がいましたら『人間関係の改善のポイント』や『良い施設の選び方』も同時に解説致しますので参考にしてください。
多くの人が悩んでる!介護職の離職理由第一位が『人間関係』
介護に関わる仕事をしていると『人間関係』に悩むことがあるかと思います。
ですが実はこの記事を見ているあなただけではなく介護施設で働く3割以上の方が『人間関係』に悩まされています。では一体どのような人間関係に悩まされているのでしょうか。厚生労働省のデータを元に解説します。
介護職は一般企業と比較し、人間関係で辞める人が約2.6倍!
男性の一般企業全体(介護業界を含める)の離職理由は「個人的理由」19.6%を除きますと「定年・契約満了」が15.2%と最も多くなっています。
次に「労働時間、休日等の労働環境が悪い」が9.1%となっています。(厚生労働省-令和4年雇用動向調査結果の概況-引用)※『職場の人間関係が好ましくなかった』といった理由で離職した方は8.3%
では介護従事者だけに聞いた離職理由はどうなのでしょうか。
公財)介護労働安定センターの調べによりますと介護従事者が直前の介護の仕事を辞めた理由としては「職場の人間関係に問題があった為」と答えた人が34.3%と1位となっています。
それに続いて「法人や施設・ 事業所の理念や運営のあり方に不満があったため」26.3%、「他に良い仕事・職場があったため」 19.9%、「収入が少なかったため」16.6%となっています。(公益財団法人介護労働安定センター ー令和5年度「介護労働実態調査」結果の概要についてー引用)
このことから一般企業の離職理由と介護業界の離職理由は違うことが分かります。
結果介護業界においては離職の原因になっている人間関係が重要だということが分かります。
人間関係に悩む介護職員はどんなことに悩んでいるの?
介護職員が人間関係に悩んでいることは分かりましたが具体的にどのような人間関係で悩まれているのでしょうか。公益財団法人介護労働安定センターのデータを元に見ていきましょう。
人間関係の悩み第1位、第2位は『上司』によるもの
公益財団法人介護労働安定センターのデータによると、人間関係において離職理由の第一位は「上司の思いやりの無い行動、きつい指導(パワハラ)」で49.3%となっています。
それに続き「上司の管理能力が低い、業務の指示が不明確、信用が出来ない」で43.2%となっていました。いずれも上司に関係することで離職をされています。
このことから人間関係で悩んでいる方の50%以上は『上司』に対して悩みを持っており、離職をしています。
上司以外の理由だと「同僚の言動でストレスがあった(きつい言い方・悪 口・嫌み・嫌がらせなど)」が38.8%、「ケアの方法など仕事上の課題に関す る上司や同僚との意思疎通・意見交換がうまくいかなかった」が26.6%となっている。このことから50%以上の方は上司に対しての悩みを抱えています。
引用:公益財団法人介護労働安定センター 令和5年度「介護労働実態調査」結果の概要について
なんで管理者や上司、同僚との人間関係が悪くなるの?
上司や同僚との関係性で離職している方が多いことは分かりましたがそもそもなんで上司や同僚と不一致が起こってしまうのでしょうか。
人間関係悪化の原因は変則的な『働き方』にある?
介護施設での働き方は施設によってさまざまですが入所施設は基本的に4シフト制で動き、365日利用者をサポートしなければなりません。
その為どの時間でも介護職員が居なくてはならない為4シフト制となっています。
シフトの例として
①早番(7:00~16:00)
②日勤(9:00~18:00)
③遅番(10:00~19:00)
④夜勤(16:00~翌10:00)
と4つに分かれて利用者のサポートをします。
シフトの例を見て分かる通り中でも『夜勤』の勤務時間が長くなっています。
③遅番(10:00~19:00)の勤務が終わってから翌日の早番の方が来るまでは夜勤者は1名~3名(利用者の数による)でサポートをすることとなり長い時間一緒に過ごすこととなります。また、睡眠不足によりイライラしてしまったり、そのことから人間関係の悪化に繋がります。
リーダー、主任、先輩、新人もすべて同じ現場で仕事をする
現在介護施設でリーダーや主任として働いている方は先輩、新人など関係なく同じ利用者の介護を行っています。
そのためリーダーに対しての不満など距離が近いがゆえに見えてきてしまいます。また、前項でも述べたように介護施設は4シフトで動き、夜勤は18時間拘束といった一般企業とは違う変則的なシフトになっています。
このことから上司や同僚との人間関係に悩んでいる方が多いのかもしれません。
幅広い年齢層も上司との人間関係悪化の原因に。。
介護業界は非常に幅広い年齢層の方が働いています。
厚生労働省の調べによると各年齢層に関しては20歳未満1.2%、20~29歳19%、30~39歳24%、40~49歳22.4%、50~59歳19.7%、60歳以上12%となっており非常に幅広い年齢層が多く働いています。
39歳までの方が全体の38.6%となっており、40歳以上の方が59.9%です。
39歳までの方で38.6%いる事から、主任やリーダーをやっている方が自分よりも年下というケースも少なくありません。
年下のくせに偉そうにしている人や若い人にはひいきしてるなど人間関係悪化に繋がる事もあります。
現在の職場は良好!?見極めるための7つのポイント
1、古株やお局はどんな人?
一緒に働いている方の中で勤務年数の長い方はどのような人でしょうか。
古株やお局が優しく接してくれたり、仕事を教えてしてくれるのであれば良いのですがこんな方は要注意です。
・小言、嫌味が多い
・教えてもらえない、自分で考えなさいと言われてしまう。
・テンションの浮き沈みが激しい
・自分は仕事をせずに雑用などの命令が多い
古株やお局の方との付き合い方は重要なので注意して見てみましょう!
2,人手不足は感じる?人手不足は離職の原因!?
高齢化に伴い高齢者の数は増えて行く一方ですが介護士として働く人が追いついていません。
介護職員は年々増えてはいますが大規模な高齢化に対応出来るほど大きく増えているわけではありません。ただ、令和元年から比べると令和4年で約55万人増えています。
(参照:厚生労働省 ー介護職員数の推移ー)
また、介護業界の有効求人倍率を見ると令和元年の4.2倍から徐々に下降していますが、令和4年は3.71倍とまだまだ高い水準となっています。(有効求人倍率とは求職者1名に対して何件の求人があるかを示した数字になります。)
全業種の有効求人倍率は令和元年1.45倍、直近の令和4年で1.16倍と令和元年~令和4年の平均は1.18倍と介護に比べて大きく下回っています。
(参照:内閣府HP ー有効求人倍率(介護関係職種)の推移ー)
この事から介護施設には人が足りていないという事が分かります。
介護現場の人手不足により一人当たりに請け負う仕事の数(利用者の数)が多くなり気持ちの余裕が無くなる為、新人や同僚、上司に強く当たってしまうケースがあるそうです。
また、休みが取りづらくなりメンタルのケアがしっかりと出来ず悪循環になります。
無理に休みを取れたとしても周りの職員が休んで居ないので休み明けに出社がしづらい等もあるようです。
今勤めている職場の人員が配置基準ぎりぎりではないか?(利用者3名に対して従業員1の割合)突発的な休みにも対応出来る人員はいるか?注意して見てみましょう。
3、分からない事を聞いた時の同僚、先輩はどういう対応?
介護の仕事は人との関わりなので同じ業務のルーティンでは無いのが特徴です。
そのため日々分からない事や自身では判断が出来ない事が出てきます。そういった時の先輩や同僚の反応で人間関係の良し悪しが分かることもあります。
上司との人間関係が重要ということは理解を頂いたかと思いますが、『同僚』もどんな人かは非常に重要で、3割ほどは一緒に働く人の対応から離職に繋がっているため注視する必要があります。
『○○さんの教えてもらった通りにやったのに上司怒られた。。』となることも多く人間関係の悪化に繋がります。
また、教え方が雑だったり余計な一言「こんなことも出来ないの?」と言われる事もあるらしいのでこんなことを言われた経験のある方は要注意です。
4、管理者の介護現場経験は?
介護現場は上司に不満を持って離職をする人が多くいます。
直属の上司など現場に近い方への不満も多くありますが管理者も非常に重要になります。
特に管理者の介護経験がしっかりあるかは非常に重要になります。
現場の気持ちの分からない管理者は現場サイドと意見の食い違いが多くなりますので注意が必要です。
特に介護施設の中でも有料老人ホームやデイサービスは管理者になる資格要件に介護経験の有無は無い為、管理者に介護の経験が無いといったケースがあります。
経営をするプロとしてどうやって施設を運営するか、従業員の給与を上げるためにはどうするかなど必要な事ではありますが方針によっては現場サイドとの食い違いが起こります。
現場を知らないということが不満に直結しますので現場を理解した上で意見をちゃんと取り入れてくれる管理者かどうかを見極めるのも重要な部分になります。
5、外国人労働者はどんな人?
昨今、多くの外国人労働者の方が日本の介護業界の人手不足を補っています。
厚生労働省の調べによると『社会保険・社会福祉・介護事業』での外国人労働者数は令和元年22,706人、令和2年29,838人、令和3年41,189人、令和4年54,161人と年々増加しています。
そのため働いている同僚、上司に海外の方がいるということも少なくないでしょう。
NTTデータの調査によると外国人労働者が退職をした理由として3位に人間関係が上げられています。
このことから同僚や上司が『差別的な発言をしていないか?』など注意して対応を見てみましょう。またこの記事を読んでいる方でこのような経験をした方は要注意です。
参照:令和5年度 老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業
6、自分の年齢と近い方は何人いる?
介護施設で働く職員の年齢層は幅広くいます。そのため現状務めている施設が『年齢の近い人が何人いるか』が重要になってきます。同年代は話しやすかったり、悩みの共有ができる事から年代が近い方が多い方が良いです。
7、他業種の方との付き合い方も重要?
介護業界においては他業種の方とのコミュニケーションも重要だと言われています。
特に看護師、生活相談員、ケアマネジャーとは密接にかかわるため付き合い方も非常に重要です。
介護老人保健施設や医療依存度の高い有料老人ホームに勤めている方は看護師さんが常駐している為密にコミュニケーションを取る必要があります。
また、介護施設で勤めている方は生活相談員、ケアマネジャーとのコミュニケーションが重要になります。
業務内容は違いますがどのような仕事かを理解し尊重することが重要です。
他業種の方がどのような仕事をしているのかなど意識して見てみましょう。
職場だけじゃない!利用者さんとの人間関係も重要?
職場の人間関係と聞くと従業員同士をイメージしがちですが利用者、利用者の家族との人間関係も重要です。
施設によって利用者の層は様々ですが利用者から罵詈雑言を浴びせられる事もあるようです。厚生労働省の利用者・家族のハラスメント調査によると介護老人福祉施設では89.5%の従業員が1年間にハラスメントを受けたことがあると答えています。
(参照:厚生労働省 ー介護現場におけるハラスメントに関する調査研究 報告書ー)
そのため利用者やその家族の方とのコミュニケーションも重要です。
あまりにも理不尽な事が続く場合は注意が必要です。
一つでも当てはまる!と思った方に改善するための5つのポイントを紹介!
###1、新人が入った際に同じことをしない
自身が新人だった頃介護の方法など満足に教えて頂いて居なかったとしても新しく入った新人には丁寧に教えてあげることを意識しましょう。
1対1のような形でOJTを行うところは多くなく複数の先輩から指導を頂く事が多くなります。そのため自身が丁寧に教えてあげる事で新人の方からの信頼度が増します。
2、相手の立場になって考えてみる
先ほど述べたように介護業界は高齢化に伴って職員の人員不足が広がっています。
そのため働いている方の業務量は多く、業務に追われています。
そんな中で『以前教えた事』や『大きな事故には繋がらない簡単な質問』を聞かれた時は雑な対応になってしまうかもしれません。まずは相手の立場になり、理解した上で自身にも改善点が無かったかを考えてみましょう。
3、同じ悩みを持っている同僚に相談してみる
働いている場所で悩んでいるということは同じ場所で働いている人も同じ悩みを抱えています。まずは同僚に相談をしてみましょう。
同僚同士で悩みを打ち明けることで協力し、助け合うことで悩みが解決することもあるので一度相談をしてみましょう。
4、管理者や本部に相談してみる
現場で働いてる直接のリーダーへの相談だと『○○さんは○○さんに不満を持っている』などどこかから漏れた小さな噂が一気に広がることもあります。
そのため直接のリーダーではなく本部や施設長など現場とは少し離れた人に相談をしてみるのも一つの手です。
結果として本部に相談したことで施設の異動をしてもらったり、施設長への相談でシフトを調整したりと改善することもあります。
5、転職してみる
ここまでは職場の改善案を多く出しましたが、こちらをすべて行っても全く改善がされない場合はいっそのこと転職をおススメします。
転職の際どうすれば良いか分からないと思った方はこの後解説します。
転職する際のポイント
転職サイトを使う
大半の方は転職をしたいと思った時ネットで検索をすると思います。その際によく使われるのが転職サイトです。
転職サイトとは求人や転職に関わる情報を掲載しているサイトの事を指しています。
自身のペースで探したり気に入った施設をキープし求人が出たら応募するなどすべて自分で行いたい方にはオススメです。
また、細かい職種や施設形態でも探せるため自分に合っている求人を見つけたい方にもおススメできます。
転職エージェントを使う
こちらは転職サイトとは違い転職アドバイザーが面談をし、面接日程の設定やおススメの求人の紹介、面接の対策などを行ってくれるものになります。
メリットとして、基本的に企業とのやり取りや調整は転職アドバイザーが行ってくれるので安心して面接に望めるのも特徴です。また、転職エージェントによっては履歴書の細かい添削や職務経歴書の書き方など教えて頂けることもあるそうです。
デメリットとしてはエージェントによって合う合わないがあります。
電話での対応があまりよくない等もありますのでその際はすぐに会社に問い合わせをし、変更しましょう。
また、電話が多くかかってくる事もデメリットとして挙げられます。
こちらは一度出て『必要最低限の電話回数にしてほしい』や『メールでほしい』という意思表示をはっきりしましょう。
電話に一度も出て居なかったり、登録の経緯や希望条件等聞いていなかった場合に電話が多くかかってきますので一度電話に出ることで困ることも無くなります。
友達から紹介してもらう
以前同じ職場で働いていた人が転職をし、その職場の紹介を頂く事もよくあります。
友人の紹介だとある程度の内情が分かった上で務めることが出来たり非常にメリットがあります。
ただデメリットとしては紹介頂いた方とは違うユニットになってしまいそのユニットはすごい大変だったなどあるようです。また、紹介頂いた事で紹介者に悪いと思いなかなか退職を言い出せず結果前職より悪化しているというケースもあるので注意です。
まずはその職場の面接の際にしっかりと配属先や部署などを聞く事をオススメします。
人間関係で失敗したくない!良い転職をするためのポイント
離職率の低い職場を選ぶ
離職率の低い職場は人間関係が良いといったデータがあります。
(公財)介護労働安定センターの調べによると介護職員の離職率は2012年から減少傾向です。2012年に17%あった離職率は2023年には13.1%と減少しています。
2022年に一時的に微増となったもののほぼ減少傾向となっており、離職率の下がった原因として考えられているのが『職場の人間関係』です。
また、介護施設に離職についてアンケート調査を行い「離職率は低下傾向にある」と回答した事業所の中からなぜ低下をしたのかを聞いたところ63.6%が「職場の人間関係が良くなったため」と答えたそうです。
(参照:公益財団法人介護労働安定センター ー令和5年度「介護労働実態調査」結果の概要についてー)
このことから離職率の低い職場は人間関係が良いということが分かります。
ただ離職率を公表している企業は少ないため、面接の際に転職エージェントなどを通して間接的に聞くのが良いでしょう。
笑顔で挨拶をされる
面接時に見るポイントとして良く挙げられるのが『挨拶』です。
面接の際施設見学をしていて従業員の挨拶が無い、愛想が良くないといった事がありましたら自分が入職しても同じような事を感じることになります。
そのため面接の際の施設見学は働いている従業員の方も見るようにしましょう。
ずっと求人が出ている
どの業界でも言える事ですが常に人を募集している所は人の入れ替わりが激しい職場と予想が出来る為注意が必要です。
ただ、増床や地域柄人が集まらない等のやむを得ない理由から常に求人を出している企業もあったりするので転職エージェントを使っている際は事前情報を聞いてから入職をするようにしましょう。
まとめ
ここまで人間関係の重要性や良い施設の選び方などをお伝えしてきましたが最終的に決めるのは『自分』です。
周りからは『ブラック企業だ!』と言われている企業でも『自分にはあっている!』なんてことも少なくありません。まずは自分がどのような施設で働きたいのか、どういった人と働くのが働きやすいのかを整理しそれに合った職場を選んで行くのが良いと思います。
一人では心細い、何から手をつけていいか分からない等があれば転職エージェントを使うのが良いと思いますし、自分の力で転職をしたいという事であれば求人サイトやご友人からの紹介でも良いと思います。
自分に合った条件を自分に合った方法で見つけていくために少しでも参考になればと思います。