介護職員におすすめな資格|資格取得のメリットもわかりやすく解説

「介護職員がとれる資格にはどんなものがあるの?」
「資格を取ればキャリアアップにつながる?」
「給料もあがるの?」

介護の仕事は無資格でもスタートできますが、資格を取得することでキャリアアップや給料アップにつながりやすいと言われています。
また、2024年4月からは、介護職員に対して、入職後1年以内の「認知症介護基礎研修」の受講が義務付けられました。これを機に、仕事に役立つ資格取得に興味を持たれた方も多いのではないでしょうか。

本記事では、働きながら10以上の介護・福祉系資格を取得してきた筆者が、介護職員におすすめの資格と、その取得メリットについてくわしく解説します。介護の現場でステップアップを目指す方は、ぜひ最後までご覧ください。

介護職員が取得できる資格

介護職員が取得できる資格は、法律で定められた必須の資格から、キャリアアップのための資格まで多岐にわたります。
ここでは、介護職員に特に関係の深い資格を紹介していきます。

取得が義務化された「認知症介護基礎研修」

2024年4月から、介護職員は入職後1年以内に認知症介護基礎研修の受講が義務付けられました。これは、認知症高齢者の増加に伴い、介護職員の認知症対応力を向上させるためのもので、認知症介護の基本を学ぶための研修です。

eラーニングでの受講が可能で、認知症の基礎知識から具体的なケア方法まで学べます。ただし、介護福祉士や介護福祉士実務者研修修了者は受講免除となります。上位資格として認知症介護実践者研修があり、さらなるスキルアップが可能です。

取得方法に関するくわしい解説は、こちらの記事をご参照ください。

介護職員の入門資格の「介護職員初任者研修」

介護職員初任者研修は、介護の基礎知識と技術を学ぶ入門資格です。
受験資格は特にないため、誰でも受講が可能です。130時間の講習と修了試験があり、費用は15〜20万円程度。通信講座やオンライン受講も可能で、3〜6ヶ月程度で取得できます。
この資格があれば、訪問介護の身体介護も行えるようになり、仕事の幅が広がります。

初任者研修の取り方や費用をくわしく知りたい人へ

介護職員初任者研修は、「基礎的な内容をしっかり身につけて自信を持って介護業務に取り組みたい」と考える人におすすめの資格です。

介護の仕事は無資格・未経験でも始められますが、ご利用者様により良いケアを提供するためにも、修了しておくと良いでしょう。介護の基本がわかれば、日々の業務に自信がつきます。また、これから介護の仕事に就く人は応募できる求人数が増えるため、選べる仕事の幅が広がるでしょう。

受講前に以下の記事もご一読ください。初任者研修の申し込み方法や費用、受講に使える制度などをわかりやすくまとめています。

申し込む方法や、スクール選びのポイントも解説していますので、これから介護職員として頑張りたい人は参考にしてみてください。

介護福祉士を目指すための「介護福祉士実務者研修」

介護福祉士の受験資格として必須の研修です。
450時間のカリキュラムで、医療的ケアや介護過程の展開など、より専門的な知識と技術を習得します。受講資格は特になく誰でも受講できますが、介護系の資格があると免除される科目があります。例えば、介護職員初任者研修の場合は、130時間免除されるため、320時間の受講になります。

通信講座の場合、6ヶ月〜1年程度かかりますが、働きながら無理なく学習を進められます。研修内容は20科目に及び、介護の基本から認知症ケア、障害の理解まで幅広く学びます。

介護福祉士実務者研修について知ろう

実務者研修は、介護福祉士の国家試験を受けるために必要となる資格で、より専門的な知識とスキルを習得できる研修制度です。医療的ケアや応急処置など、現場で求められる実践力を養う内容が多く含まれています。

介護福祉士実務者研修は、受講に必要な条件は特にありません。これから介護の仕事を目指す人でも受けられる研修です。

研修は実技やレポートなどがあり、少し難しいかもしれません。しかし、将来的に「介護福祉士を取ろう!」と思う人は視野に入れておく必要があります。

こちらの記事では、研修についてくわしくまとめています。受講前の参考に、ぜひ読んでみてください。

介護系資格で唯一の国家資格の「介護福祉士」

介護のスペシャリストとして認められる唯一の国家資格です。
取得には実務経験3年以上と実務者研修の修了が必要です。毎年1月に国家試験が実施され、合格率は約70%。給与面での優遇や、より専門的な業務を任されるなど、キャリアアップの大きな転機となります。

なお、介護福祉士の資格取得に関するくわしい解説は、こちらの記事をご参照ください。

キャリアアップを目指す人におすすめの「介護支援専門員(ケアマネジャー)」

介護支援専門員(ケアマネジャー)は、介護保険制度の要となる専門職です。介護保険サービスを提供する際に必要なケアプランの作成や、他職種共同の中心的な役割を担います。
取得には介護福祉士として5年以上の実務経験と、都道府県が実施する「介護支援専門員実務研修受講試験」の合格、さらに87時間の講義と3日間の実習からなる「実務研修」を修了する必要があります。

ケアマネジャーになるためのくわしい解説はこちらの記事をご参照ください。

介護職員が取得できるその他の資格

介護職員が取得できるその他の資格は多数あります。一部を以下の表にまとめました。

資格名概要
認知症ケア専門士日本認知症ケア学会が認定する、認知症ケアに関する専門知識と技能を持つ介護職員を認定する資格
福祉住環境コーディネーター商工会議所が実施する、高齢者や障がい者に対して住みやすい住環境を提案するアドバイザー
喀痰吸引等研修都道府県が認定した研修期間が実施する、特定の医療的ケアをおこなうための研修制度
ユニットリーダー研修都道府県および指定都市が実施する、ユニットケア施設でリーダーとして必要な知識・技能を習得するための研修
レクリエーション介護士日本アクティブコミュニティ協会が主催する、高齢者に喜ばれるレクリエーションを提供できる介護職員を育成するための資格
福祉用具専門相談員都道府県知事の指定を受けた研修事業者が認定する、高齢者・障がい者の自立支援のための福祉用具選定・助言をおこなう専門職の資格
防災介助士日本ケアフィット共育機構が認定する、災害時の要配慮支援に特化した専門職の資格
終末期ケア専門士日本終末期ケア協会が認定する、エビデンスに基づいた終末期ケアを実践できる専門職の資格


介護職員が取れる資格は他にも多数あり、すぐ取れる資格や実務経験なしで取れる資格もあるため、興味のある資格から調べてみるのがおすすめです。

介護職員が資格を取得する5つのメリット

ここでは、介護職員が資格を取得するメリットについて以下の5つを解説します。

  1. 信頼を得やすい
  2. 仕事の幅が広がりキャリアアップにつながる
  3. 給与が上がる
  4. 家族の介護に活かせる
  5. 転職に有利になる

ひとつずつ解説します。

1.信頼を得やすい

介護職員が資格を持っていると、介護に関する専門知識と技術を持っていることの証明になります。
職場では新人指導やリーダー的役割を任されるようになり、施設サービスの質の向上に貢献できる実感が得られるでしょう。また、ご利用者様やそのご家族、外部の事業者からも「資格を持っている人」と見られ、信頼を得やすくなり、スムーズなコミュニケーションや業務遂行が可能になります。

2.仕事の幅が広がりキャリアアップにつながる

資格取得により、より高度な業務を任されるようになり、仕事の幅が広がります。初任者研修からはじまり、実務者研修、介護福祉士と段階的に取得することで、効率的なキャリアアップが可能です。

例えば「介護職員としてフロアリーダーや主任へ昇進する」「ケアマネジャーや生活相談員など他職種へ異動する」など、キャリアの選択肢も増え、自身の目指すキャリアパスを明確に描けるようになります。

3.給与が上がる

資格取得は収入アップに直結します。多くの施設では介護福祉士や初任者研修修了者に資格手当を支給しています。厚生労働省の調査によると、取得資格別の常勤介護職員の平均給与は以下のようになっています。

 保有資格無し・・・268,680円
 初任者研修・・・300,240円
 実務者研修・・・302,430円
 介護福祉士・・・331,080円

無資格者と介護福祉士の資格保有者では平均給与に約7万円の差があることがわかります。

4.家族の介護に活かせる

介護に関する専門知識を持っていると、自身の家族に介護が必要になったときにも大いに役立ちます。実際の介護技術だけでなく、適切なサービスの選択や専門職とのコミュニケーションにも活かせるでしょう。
介護保険制度の理解や最新の介護技術の知識があることで、家族により良い介護環境を整えやすくなり、介護負担の軽減にもつながります。

5.転職に有利になる

資格は転職時の大きな武器となります。介護業界は慢性的な人材不足のため、資格保有者への需要が高く、未経験者よりも優遇されやすい傾向にあり、今後も続いていく見込みです。転職の際には、希望の給与や勤務条件を提示しやすくなります。
また、介護支援専門員など、介護職員以外の専門職へのキャリアチェンジの可能性も広がり、より良い待遇を得やすくなります。

介護職員が働きながら資格を取得するときのポイント3つ

介護職員が働きながら資格を取得するのは簡単ではありません。しかし、適切な計画と支援制度の活用で、効率的に学習を進めることができます。以下に、成功のための3つのポイントを紹介します。

  1. シフトに合わせて勉強時間を確保する
  2. 勉強の計画が思い通りに進まないことを想定する
  3. 資格取得支援制度を活用する

1つずつ解説していきます。

1.シフトに合わせて勉強時間を確保する

働きながら資格を取ろうとすると、勉強時間をどう捻出するか悩む方が多いです。特に介護の仕事は不規則なシフト制のため、通常の学習計画が立てにくい傾向にあります。そのため、シフトごとに勉強時間を予め決めておくことで時間の捻出がしやすくなります。

筆者が介護職員時代にケアマネジャーを取得したときには以下のように勉強していました。

  • 早番:朝は諦め、仕事後に勉強する(疲れているため1時間程度)
  • 日勤・遅番:朝早く起き、仕事前に1.5〜2時間程度勉強してから出勤
  • 夜勤:朝早く起きて1〜2時間勉強。日中仮眠をとってから出勤
  • 夜勤明け:帰宅後は睡眠。夕方から可能な範囲で勉強

家庭の予定やその他の用事もあるため、自分のリズムに合わせた時間配分を工夫しましょう。

2.勉強の計画が思い通り進まないことを想定する

勉強の計画について、試験日から逆算して勉強計画を立てるのは一般的ですが、実際には計画通りに進むことはまずありません。体調不良や突発的な残業、仕事で疲れてしまったなどの理由で予定が狂うこともあります。計画通りにすすまないことでモチベーションが下がってしまうこともあるでしょう。

そのため、あらかじめ予備の学習日を設定しておくことで、柔軟な計画を立てることが大切です。例えば、週に一度はやることを決めない勉強時間を確保することもひとつの方法です。この1週間で進められなかった部分を勉強する時間に当てることで、予定通りすすまなくても焦らずに帳尻をあわせられるでしょう。

3.資格取得支援制度を活用する

職場によっては、資格取得のための支援制度を設けていることもあります。研修参加を業務とみなしたり、費用を補助したりするケースもあるので、積極的に活用しましょう。
また、介護福祉士やケアマネジャーなどの資格では、ハローワークの教育訓練給付制度が利用できます。この制度を使えば、最大で研修費や受験料の80%が返還されるため、経済的負担を大幅に軽減できます。

資格取得を目指す人は休日の過ごし方も大切

介護職員はシフトによって活動時間や休養の時間が左右されます。「休日がうまく使えない」「疲れて勉強どころではない」と感じる人も少なくありません。

効率良く勉強を進めるには、やみくもに時間を充てるだけではなく、溜まった疲れを癒す意識も大切です。ステップアップのために資格取得を目指すなら、休日の過ごし方も見直してみましょう。

日勤だけでなく、早出や遅出、夜勤などさまざまな時間帯に勤務しなければならず、休日らしい休日を過ごせていない人もいるのではないでしょうか。
疲労感が残ったままだと、学習効率は下がります。

「仕事も勉強もしないといけないのに、休む時間なんてない」と感じるかもしれませんが、そういうときほど気持ちが焦るばかりで集中が乱れがちです。

有意義な休日を過ごし、リフレッシュして資格取得に向けて頑張りたい人はこちらの記事も参考にしてみてください。

介護職員がとれる資格を取得して、キャリアアップを目指そう

本記事では、介護職員がとれる資格や、資格を取得するメリット、働きながら資格取得する際のポイントについて解説しました。介護の仕事は、資格取得によって大きく成長できる職種です。取れる資格を取得して、キャリアアップ、給与アップに繋げましょう。

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この記事を書いたのは・・・

さとひろ/Webライター

保有資格:ケアマネジャー/社会福祉士/介護福祉士/公認心理師
介護業界で22年の経験をもつ、特別養護老人ホームの現役ケアマネジャー兼生活相談員。介護職員・ケアマネジャー・生活相談員としての経験をもとにわかりやすい記事を執筆します。