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介護士の服装は私服が多い?制服が多い?
介護士の職場では、事業所によって服装の規定が異なります。
事業所が指定するユニフォームが用意されたり、色や形の指定を受けて自分で購入し、衣服費として手当が支給されたりと、さまざまなパターンがあります。
私服が多いか制服が多いかなどは明確ではありませんが、事業所の業態によっては服装に偏りがあるともいえます。
以下でわかりやすく紹介します。
特別養護老人ホームなどの施設サービスや病院 | ・介護士は上下統一したユニフォーム ・入浴介助用のユニフォームがある事業所も多い ・看護師やリハビリ職と区別するため職種で分けられていることもある |
有料老人ホームなどの民間の施設サービス | ・見栄えを重視したスタイルのユニフォーム ・色や形指定の私服 |
デイサービスなどの通所サービス | ・送迎の際に外に出ることもあるため、事業所のコンセプトが反映されたユニフォーム ・指定された私服 |
ヘルパーなどの訪問サービス | ・ご利用者様のご自宅に出入りするため、私服のところも多い ・指定ユニフォームの事業所もある |
介護士といっても働いている事業所によって、服装はさまざまなので入職時に規定の服装を確認するといいでしょう。
また、「ここから購入できますよ」とアドバイスを頂けることもあるので、尋ねてみてもいいかもしれません。
介護士の服装選びの8つのポイント
仕事の服装が私服だった際には、どのようなものを選んで準備したらいいか、悩む人も多いかと思います。
新しい職場での介護士の服装選びには、抑えておくべきいくつかのポイントがあります。
業務に集中できる、介護士もご利用者様も怪我なく安全に介助ができるなど、服装選びで考慮するポイントを8つにまとめました。
- ご利用者様に対して安全性が高い
- 締め付けがなく楽で動きやすい
- 華やかなカラーで明るい印象を提供できる
- 衛生的で清潔感が感じられる
- 衣類の機能性が優れている
- デザインがシンプルで装飾がついていない
- お手入れがかんたんにできる
- 靴は疲れにくいものを選ぶ
1つずつ紹介します。
ご利用者様に対して安全性が高い
介護士の服装は、ご利用者様の安全を守り怪我をさせないものである事が大切です。
身体介護では、介護士はご利用者様に密着する場面もあります。その際、ご利用者様の肌を怪我させるような服装は控えましょう。
介護士に人気のあるポロシャツは、胸元にボタンやファスナーがあるものが多くみられ、場合によっては、ご利用者様の肌に触れてしまう危険があります。
身体介護の際に、ご利用者様の肌に付属品が直接当たらない作りをしている衣類を選択しましょう。
また、男性の多くが着用しているベルトにも注意が必要です。
ベルトは、ボタンやファスナーと違い、金属の付属品が大きいので、万が一ご利用者様の肌にあたれば皮膚が剥がれたり、外傷を負わせたりする危険があるので注意しましょう。
注意する点といえば、事業所によって名札を身につけることもあります。
首に下げるパスケース型や胸元に付けるものなどあり、形によっては介助時に邪魔をしてご利用者様に傷をつける可能性が考えられます。
安全を考慮し、名札の着用方法に注意した服装にしましょう。
締め付けがなく楽で動きやすい
介護士の業務は立ったり座ったりする事が多いので、締め付けがある服装だと動きづらく業務の妨げになってしまいます。
特に、下衣では伸縮性がありストレッチが効く素材のものを選ぶと良いです。
ジーンズやレザーなどは伸縮性が悪く、介護業務に適さないため避けましょう。
華やかなカラーで明るい印象を提供できる
ご利用者様に明るく華やかなイメージを提供できる服装がおすすめです。
赤色や青色などの原色や、優しい印象のパステルカラーなどだ明るい印象を与え、ご利用者様に元気になってもらえます。
中には事業所のコンセプトがあり、黒やグレーなど色に指定がある職場もあります。
そういった場合では、決まりに沿ったものを準備しましょう。
100%介護士の自由となっている事業所の場合は、黒やグレーなどの暗めのカラーよりは、明るく柔らかい印象のカラーを選ぶ方が良いでしょう。
衛生的で清潔感が感じられる
介護士はご利用者様を抱えたり歩行介助をするなど、至近距離でおこなう業務が多いため、不快感を与えず衛生的で清潔感のある服装が良いです。
長く着用したため生地がやぶれていたり、白い衣類が黒ずんでいるなどといった、くたびれ感があるものは避け、新しく購入しましょう。
衣類の機能性が優れている
介護士の業務は、汗をかくほどの活動量になることもあるため、生地の機能性が優れているものを選択しましょう。
肌あたりがよいコットンなどの天然素材よりも、通気性や速乾性に優れているポリエステルやナイロンなどの化学繊維の方が、汗でべたつく不快感を感じることなく、快適に業務にあたることができます。
デザインがシンプルで装飾がついていない
デザインは、よりシンプルで不必要な装飾がついていないものにしましょう。
上衣の前面にリボンやレース、スパンコールなどがついていたり、袖にワッペンなどがついていたりするものは、基本的に避けましょう。
不意にご利用者様にひっかかったり、つかまれたりする危険があるからです。
ご利用者様が違和感を抱くような個性的なデザインではなく、シンプルな服装を心掛けましょう。
お手入れがかんたんにできる
介護士の衣類は、毎日着用するものなので、お手入れがかんたんにできるものが良いです。
毎日洗濯しても耐久性があって、毛玉やシワになりにくい生地がおすすめです。
コットンなどの天然素材であると、シワができアイロンをかけないといけない状態になります。速乾性があり、洗濯後すぐに乾く化学繊維を使っているものを選びましょう。
靴は疲れにくいものを選ぶ
介護士は、業務時間の歩行数が多いため、たくさん歩いても疲れにくい靴が最適です。
事業所によって靴まで指定されていないところもあり、自由である場合もあります。ですが、靴を選ぶ際は適当に買うのではなく、必ず試着してから購入することをおすすめします。
筆者が介護士だった時には、自分の足にあったウォーキングやランニング用のスニーカーを選んでいました。クロックスやナースシューズも経験がありますが、1日に1万歩近く移動する場合もある介護士は靴が大変重要です。
長い歩行距離に向いているのはスニーカーだったので、ずっとスニーカーを愛用していました。
さらに注意する事は、つま先が隠れていて保護できるようなものを選ぶ事です。
車椅子やご利用者様と接触する危険が多いため、つま先が露出していると介護士自身が怪我をしてしまうことも考えられるからです。
介護士の季節別のおすすめな服装
介護士の服装を選ぶ場合には、季節別にコーディネートが異なります。
季節によって気温の変化はありますが、事業所内は高齢者の生活に合わせてエアコンを稼働させ、常時快適な室温に保たれている空間です。
しかし、介護士の業務は常時動いており活動量が多いため、汗をかきやすく基本的には厚着をする場面は少ないといえます。
そのような環境で快適に業務をこなせる服装を具体例として紹介します。
春のおすすめ服装
春は、気温の日内変動が激しい季節です。
晩は気温が下がり、日中になると汗ばむ陽気になったりもします。
服装は、気温に合わせて脱ぎ着しやすいようコーディネートするのがおすすめです。
【具体例】
上衣:薄い長そでのポロシャツやTシャツ
薄い長そでTシャツに半袖ポロシャツを重ね着
※夜勤では寒くなることもあるため、パーカーやカーディガンの準備がおすすめ
下衣:チノパンやスラックス、ジャージ
夏のおすすめ服装
夏は、エアコンが稼働しているとはいえ業務で動きっぱなしなので、常時汗をかく状態になります。
夜勤においても熱帯夜になる日も多くあるため、人によっては2セット準備し、着替えをする人もいます。
【具体例】
上衣:半袖のポロシャツやTシャツ
※汗をかいたときなど必要に応じて着替えの準備がおすすめ
下衣:チノパンやスラックス、ジャージ
秋のおすすめ服装
春と同様に朝晩の気温差がある季節ですが、近年は残暑が続き秋でも気温が高い日があります。
そのため、秋でも夏と同じく半袖のポロシャツやTシャツでも丁度いい日もあるので、その日その日で気温を確認しながら服装を決定しましょう。
【具体例】
上衣:長袖のポロシャツやTシャツ
※夜勤では一時的にエアコンを停止させる場合もあるため、トレーナーやパーカーなどの防寒着の準備がおすすめ
下衣:チノパンやスラックス、ジャージ
冬のおすすめ服装
冬は、事業所内に暖房をつけて室温を保っているため、業務をこなしていると汗ばむ事もあります。
そのため、過度な厚着は必要ありません。
特に施設の場合は基本的に室内業務なので、身軽になる薄手でじゅうぶんです。
しかし、朝晩など夜勤の時や、入浴介助後の寒いと感じる時などに必要な上着は用意しておきましょう。
【具体例】
上衣:長袖のポロシャツやTシャツ
※夜勤では一時的にエアコンを停止させる場合もあるため、トレーナーやパーカーなど防寒着の準備がおすすめ
下衣:チノパンやスラックス、ジャージ
介護士の場面別のおすすめな服装
介護士としての業務はさまざまな場面があり、適切な服装もあります。
本章では、入浴介助時と外出支援時についておすすめの服装を紹介します。
入浴介助時のおすすめ
多くの事業所は、入浴介助する際に専用の服装に着替えをしてから業務に入るのが一般的です。
入浴介助では、脱衣室や浴室内など高温多湿になっているため、汗をかきやすくなります。
また、浴槽内までご利用者様を誘導する場合に湯に浸かってしまうこともあるので、速乾性や通気性がある素材を使用している衣類がおすすめです。
【よくある例】
上衣:ポリエステル100%のTシャツ
下衣:ポリエステル100%の半ズボン
履物:滑りにくいサンダル
その他:入浴介助専用の防水エプロン
多くの事業所が上記の服装で入浴介助をしています。
事業所によっては、午前と午後の1日中入浴担当になる場合もあるので、上下2セットを準備すると安心でしょう。
注意点として、女性の介護士はTシャツが濡れることでインナーが透けてしまうことがあります。濡れてもインナーに影響がないTシャツを選択しましょう。
外出支援時のおすすめ
介護士は、買い物や通院などの外出支援や、施設に入所しているご利用者様のイベントとして外出レクリエーションを実施する場面があります。
事業所を代表して外出するため、服装や身だしなみは事業所の評判に関わります。
そのため、外出支援時には清潔感や華やかな印象を持つ服装をしましょう。
よれよれのポロシャツや毛玉だらけのジャージ、靴ではなくサンダルを履くなどといった、事業所のイメージを損なってしまうような服装は避けて下さい。
シワのない衛生的なポロシャツやスラックス、足もとは清潔感のあるスニーカーがおすすめです。
通勤時のおすすめ
介護職の通勤は、ただ移動するだけではなく、現場に入るモードに切り替える時間でもあります。通勤時におすすめなのが、動きやすさや着替えやすさを意識した「すぐに現場に入れる」通勤スタイルです。
脱ぎ履きしやすいスニーカーや、職場でそのまま羽織れるカーディガンなど、出勤から現場に出るまでの時間を短縮できる服装を意識すると良いでしょう。通勤の服装がある程度決まると、朝の準備もスムーズです。
また、介護職員は通勤時の荷物の量も多い場合があります。夜勤での食事や入浴介助中に摂取する水分など、意外にかさばったり重い物を持ち歩かなければなりません。動きやすい通勤着にして、荷物を持ち運びを楽にしてみましょう。通勤の疲労感が和らぎます。
こちらの記事では、通勤だけでなく、勤務中にも役立つアイテムを詳しく紹介しています。服装選びに悩んでいる方は、服だけでなく、持ち物も見直してみてください。通勤がより快適になり、業務効率アップにもつながります。
面接時のおすすめ
最後に、面接での服装です。
介護職の面接では、現場で働く際は動きやすい服装であるケースがほとんどですが、面接での服装はあなたの印象を大きく左右します。
清潔感や誠実さはもちろんのこと「TPOに合った服装がわかっているか」も評価の対象です。スーツの色やシワ、小物の選び方ひとつで印象が変わるため、細かな点まで気を配りましょう。
介護職は、施設内の職員やご利用者様だけでなく、ご家族や場合によっては外部機関とも関わります。
介護職員の服装や身だしなみで施設のイメージが決まるという意識をもち、面接でも職員の一員として恥ずかしくない服装を心掛けてみてください。きっと採用担当者に誠意が伝わります。
こちらの記事では、転職の面接における服装についても取り上げています。初めての面接を控えている方はもちろん、過去に服装で迷った経験のある方も、ぜひ一度目を通してみてください。
介護士が避けた方がよい4つの服装
次章では、介護現場にふさわしくない服装について説明します。
介護士は対人職種であるため、相手に不快な思いをさせないよう気を配る必要があります。
避けた方がいい服装について、以下の4つにまとめました。
- 暗い印象を与える
- 汚れやシワがある
- サイズが合っておらず違和感がある
- 露出度が高い
くわしくお伝えします。
暗い印象を与える
介護士は、お客様であるご利用者様に暗い印象を与えることは避けた方が良いです。
また、上下ともに黒色の服装はふさわしくありません。黒色は、喪服や死のイメージが連想されやすいためです。
そのため、高齢のご利用者様の気持ちに配慮した服装を心掛けましょう。
汚れやシワがある
介護士はご利用者様に直接触れることが多いので、汚れやシワが目立つ不衛生なイメージを持つ服装はNGです。
ご利用者様も清潔感のある服装をしている介護士に介助してほしいと思われる人の方が多いといえます。
1日着用した衣類は、必ず毎日洗濯をし、翌日には洗濯済みのきれいな服装で出勤しましょう。
サイズが合っておらず違和感がある
選択する服装は、小さくもなく大きくもなく、自分の身体に合っており動きやすいものが良いです。
両腕の上げ下げがしづらいほど小さいサイズだったり、余分な生地があるほどの大きいサイズなど着用時に違和感のあるものは避けましょう。
プライベートの服装ではなく、仕事で着用することをじゅうぶん考慮し、周囲からみて適切なサイズだと思われる衣類を選ぶよう気をつけましょう。
露出度が高い
介護現場において露出がある服装は、ふさわしくありません。
両肩が露出するノースリーブや、胸元が大きく開いているトップス、体のラインが目立つ服装は避けましょう。
露出度が高い服装をみて、ご利用者様やご家族様が不快に思うことがあるかもしれないので、注意が必要です。
また、露出度の高い服装が原因でセクハラを受けてしまう懸念もあります。
介護士の服装以外の身だしなみ注意点
介護士は、服装以外の部分の身だしなみについても制約がある職種でもあります。
以下では、ご利用者様が気持ち良くサービスを受けられるように介護士が配慮する必要があるものを紹介します。
- 強い香り
- 清潔感がない爪
- まとまっていない髪
- 不必要なアクセサリー
- 派手なメイク
- 長いひげ
強い香り
高齢のご利用者様の中には匂いに敏感な方もいらっしゃるため、強い香りには気を付けましょう。
汗の匂いや生乾き臭、過度な香水や過度な柔軟剤の使用は控え、喫煙者であればタバコの匂いにも注意をして下さい。
強い香りは、ご利用者様の気分を害する可能性もあるため、じゅうぶん配慮しましょう。
清潔感がない爪
介護士の手先は、清潔感があり衛生的でなくてはいけません。
長く伸びている爪やネイルチップは、ご利用者様の身体を傷つけてしまう可能性があるため、ふさわしくありません。また、爪の間が黒くなっているなど、汚れがある場合は改善しましょう。
手先がきれいだと好印象を与えられます。業務開始の前に自分で確認してから始業するようにしましょう。
まとめていない髪
長くまとまっていない髪は、ご利用者様に掛かってしまったり、気になって何度も髪を触ると業務の妨げになります。
前髪が顔に掛かるとご利用者様に表情を伝えられなかったり、長い髪を下ろしていると衣類などにひっかかり抜けやすくなります。
ご利用者様に集中して介助をおこなうために、長い髪はゴムで結んだり、ピンで留めたりと介助中に気にならないようにセットしておきましょう。
不必要なアクセサリー
ネックレス、腕時計、指輪、ピアスやイヤリングなどのアクセサリーについては、NGとしている事業所がほとんどです。
理由は、アクセサリーがご利用者に接触して怪我をさせてしまう危険があるからです。
ただ、結婚指輪については許可されている事業所もあるようですので、入社時に確認するといいでしょう。
派手なメイク
赤いリップやつけまつげなどの、派手なメイクも避けた方が良いです。
濃いメイクはご利用者様に嫌悪されたり、汗をかいてメイク崩れをすることもあります。
女性がメイクすることは、社会人としてのマナーといわれています。そのため、汗をかいて落ちてしまうからといってノーメイクで出勤するのではなく、限りなくナチュラルなメイクを目指すことをおすすめします。
長いひげ
男性は、無精ひげが伸びないように清潔にしておきましょう。
女性のメイクと同様、ご利用者様に近距離で接するため、髭が伸びていると不潔な印象を持たれかねません。出来ればひげは完全に処理することをおすすめします。
介護士の服装は業務のしやすさとご利用者様への配慮が優先!
本記事では、「介護士にふさわしいおすすめの服装」について紹介させて頂きました。
事業形態別や季節別、場面別などその都度適切な服装があります。私服なのかユニフォームなのかによっても気を付けるポイントに違いがあるため、事業所ごとの規定にのっとった服装をしましょう。
大切なのは、業務に集中できることと、ご利用者様が気持ち良くサービスを受けられるよう配慮した服装にすることです。
本記事の内容を参考に、自分なりの服装選びをしてみてください。
この記事を書いたのは・・・

小玉 有紀/Webライター
保有資格:介護福祉士/介護支援専門員/介護事務士
福祉系専門学校を卒業したのち、老健で介護福祉士として6年勤務。生活相談員を経験したのち、ケアマネージャーとして5年経験。現在は育児のかたわらライターとして活動中。