介護職は通勤距離が長いと大変?通いやすい職場で元気に働くには

介護の仕事を選ぶとき、意外に大事なのが通勤距離です。職場と自宅が遠いと、朝は準備でバタバタ、夜勤明けで帰宅するころにはヘトヘトになってしまいます。

通勤だけで疲労困憊になっていては、介護業務に支障が出るばかりか、プライベートの時間も楽しめなくなるでしょう。

本記事では、無理のない通勤距離の目安や自宅から近い職場を選ぶメリットを解説しています。通勤のストレスを減らしたい介護職員の方は、最後まで読んでみてください。

交通手段ごとの通勤距離の目安

通勤スタイルは人それぞれですが、どのように移動するかで通いやすい距離は変わります。
本章では、交通手段ごとに「どれくらいの距離なら無理なく通えるのか」を見ていきましょう。

徒歩

徒歩で通勤する場合は、片道2〜3kmが通いやすいです。15分~30分なので、ちょうど良い運動にもなります。交通費もかからないため、家計に優しいのもメリットです。

ただし、夏の暑さや冬の寒さ、雨や雪など、気温や天候の影響を受けやすいのはデメリットといえます。また、夜勤明けで疲れているときは、近くでも「歩くのがきつい」と感じるでしょう。

シフトによっては、夜や早朝の出退勤となるため、防犯にも注意が必要です。安全なルートを選び、ドライバーや他の歩行者が気付きやすいよう、明るい色を使った服装を心がけてみてください。

筆者は基本的にマイカー通勤でしたが、雪が積もり、急遽徒歩での通勤に切り替えた経験があります。車なら10分程度の距離なのに、歩くと2時間もかかってしまいました。
積雪の影響もありますが、徒歩通勤は近くの職場が一番だと感じた出来事でした。

自転車

自転車を使うのであれば、片道5〜10km程度が良いでしょう。平坦な道の場合、時間にして15分~30分です。

徒歩と同じく、運動不足を解消できる点が魅力ですが、急な坂道が多い地域の場合は少しきついと感じるかもしれません。また、悪天候の日は視界が悪くなるため、より安全面に配慮する必要があります。

小雨程度であれば雨合羽でも対策できますが、雨風が強い日は公共交通機関やマイカーに切り替えたほうが安心です。

最近は電動アシスト自転車が普及しており、坂道や長距離でも楽に自転車で移動できるようになっています。ヘルメットを着用し交通ルールを守れば、事故リスクを抑えられ快適に通勤できるでしょう。

バイク・自動車

バイクで通勤する場合は、10~20km程度が良いでしょう。バイクの種類にもよりますが、おおむね30分程度におさまる距離です。
その日の交通量に影響を受けますが、自動車よりも維持費がかからず、自転車よりも早く職場に到着できるのがメリットです。

自動車であれば、30㎞を超える距離でも通勤できます。ただし、朝夕の通勤ラッシュや道路工事の影響を受けるため、思わぬ渋滞に巻き込まれる恐れもあります。
時間に余裕をもったスケジュールで、安全運転を心がけましょう。

電車・バス

電車やバスは、片道20〜50kmの通勤も可能です。自分で運転する負担がなく、定期券を活用して交通費を抑えられるのもメリットです。
しかし、乗り換え回数が多かったり、朝夕のラッシュに遭ったりすると、出勤前にへとへとになるケースもあるでしょう。

運行ダイヤによって、深夜や早朝には利用できない場合もあるため、シフトに合わせて利用できるか事前に時刻表で確かめておきましょう。

通勤時間の平均値は?

総務省が実施した「令和3年社会生活基本調査」によると、「通勤・通学」の平均時間は31分でした。
徒歩なら2~3km、自転車なら約5~8km程度の距離です。

ただし、地域やインフラ状況によって通勤事情はさまざまです。都市部なら電車やバスの本数が多く、高速道路や幹線道路も整備されています。しかし、地方部では公共交通機関の便が限られており、マイカー通勤が主流だったり、徒歩や自転車通勤が多い地域もあります。

介護職は、早番や夜勤など出勤時間に波があるため、通勤にかかる時間を基準に転職先を探すのもおすすめです。

通勤距離は転職理由になる?

通勤距離は、じゅうぶんな転職理由になります。
公益財団法人介護労働安定センターの「介護労働者の就業実態と就業意識調査」によると、現在の勤務先を選んだ理由に通勤の便利さを挙げた人は50.3%です。

引用:令和5年度介護労働実態調査「介護労働者の就業実態と就業意識調査」|公益財団法人介護労働安定センター

男女別に見ても、転職先を決めるときに通勤距離を検討する人が多いとわかります。
介護施設は24時間体制の運営が多いため、不規則なシフトに対応しなければなりません。早出の日は早朝、深夜勤の場合は真夜中に出勤するケースもあります。
安全面から見ても、できるだけ近い職場を選びたいと考えるのは当たり前のことです。

同じ施設で長く働くには、通勤距離の短さも大切な条件といえます。ハローワークの求人やGoogleマップの検索結果、厚労省の「介護サービス情報公表システム」のデータから、通いやすい施設を探してみましょう。

通勤距離が短い職場を選ぶ5つのメリット

家から近い職場を選ぶメリットは5つあります。

  • 準備に慌てなくてすむ
  • 家族との時間が増える
  • しっかり休養がとれる
  • 災害時でも歩いて帰れる
  • 趣味に使える時間が増える

1つずつ解説していきます。

準備に慌てなくてすむ

通勤距離が短いと、朝の支度に余裕ができます。特に、子育て中の方にとっては、子どもの身支度や食事の準備、送り迎えなど、何かと時間がかかるシーンが多いものです。職場が近ければ、少し準備が遅れても遅刻を免れやすく、焦りも少ないでしょう。

通勤時間を短縮できる分、朝食をしっかり食べたり、身だしなみを整えたりと、準備に使える時間が増えます。出勤前にバタバタするとストレスが溜まり、その日一日のパフォーマンスにも悪影響を及ぼすかもしれません。

家から近い職場は、落ち着いて準備する時間と、心のゆとりを得られるのがメリットです。

家族との時間が増える

家族とのコミュニケーションをとる時間が増えるのも、近い職場の大きなメリットといえます。

介護の仕事はシフト制で、家族と生活リズムが合わないケースも珍しくありません。
「最近、家族とじっくり話せていないな」と感じる介護職員もいるでしょう。

職場が近いと帰宅する時間が早まり、家族みんなで食事をとったり、子どもと触れ合ったりする時間が増えます。仕事とプライベートのバランスを整える意味でも、職場選びは通勤距離も視野に入れてみましょう。

しっかり休養がとれる

通勤距離が短いと、そのぶん早く帰宅してゆっくりできます。介護職は、心も体も疲れやすい仕事です。休めるときにしっかり休んでコンディションを整える必要があります。

家から職場が近いと、夜勤明けにすぐ自宅でリラックスできますし、早出の朝も少し長く眠れます。じゅうぶんな休息をとれば心身に元気が戻り、頭がスッキリします。仕事の効率が上がり、ご利用者様のケアにも集中できるでしょう。

介護職として長く働くためには、自分の体と心を労わる意識が大切です。

災害時でも歩いて帰れる

職場が自宅の近くにあると、災害時でも徒歩で帰れるメリットがあります。

大きな地震や台風が発生すると、交通機関が止まるため、職場と自宅が遠い人は帰宅が難しくなるでしょう。しかし、近ければ歩いて自宅まで戻り、家族の安否確認も可能です。

また、災害の影響で夜勤が増えるなど大幅なシフト変更があっても、通勤の負担が軽くて済みます。

災害時は神経が過敏になり、身も心も疲弊します。通勤の距離が短ければ、いくらか疲労を抑えられ、業務への影響も小さくなるでしょう。

趣味に使える時間が増える

趣味や好きなことに使う時間が増えるのも、大きなメリットです。

通勤距離が短ければ、そのぶん自由に使える時間が増えます。好きなことに打ち込んだり、新しいスキルを身につけたりと、楽しいと感じられることに取り組めるでしょう。

介護職は体力勝負のイメージが強い一方、心のリフレッシュも大切です。自宅から近い職場を選べば、自分が好きなことを思い切り楽しむ時間ができ、仕事とプライベートのメリハリが生まれます。

【筆者の体験談】感染症のときも通勤距離が影響

災害と並んで、職場と家が近いとメリットを感じるのが、感染症が蔓延したときです。
筆者はデイサービスで勤務していたころ、同じ法人の介護施設で感染症が広がり、応援要員として駆け付けた経験があります。

感染対策で、筆者は割り当てられた宿泊施設から通勤していましたが、家族がいる介護職員は自宅から通勤していました。ほとんどが通勤距離が長いうえ、勤務がかなり変則的で大変そうだったのを覚えています。

「せめてもう少し家から近いと、疲れもとれるんだけど…」と、遠くから応援に来ていた職員が言ったのを覚えています。

まとめ

通勤距離が長いと、体力が削られて疲労が溜まります。また、出勤前の準備に慌ててしまったり、退勤後はプライベートの時間を楽しむゆとりがなく、仕事のモチベーションにも影響するでしょう。

自宅から近い職場を選ぶと、心身を休める時間や家族とコミュニケーションをとる時間が増えます。また、趣味や習い事を楽しめるため、リフレッシュ効果も期待できるでしょう。

通勤に時間がかからない職場をさがしたいときは、ハローワークや厚労省の「介護サービス情報公表システム」で近くの介護施設を探すのがおすすめです。

もし「通勤距離が長くて職場探しをする余裕がない」という人は、転職支援サービスを活用してみましょう。

介護転職のミカタ」では、経験豊かなコンサルタントが、忙しい介護職員の転職を手厚くサポート。通勤距離を短くしたいというご希望に沿った求人をご紹介し、採用まで伴走します。

無料で相談可能なので、お気軽にお問い合わせください。

この記事を書いたのは・・・

佐藤 恵美/Webライター

保有資格:介護福祉士/社会福祉士
回復期リハビリ病棟で7年勤務したのち、社会福祉士を取得し、
生活相談員を経験。現在はフリーのWebライターとして活動中。