
「介護職の職務経歴書ってどう書けばいいの?」「自己PRや業務内容って、どこまでくわしく書くべき?」と悩んでいませんか。
本記事では、職務経歴書の基本から、採用担当者に伝わる書き方のコツ、OK・NG例文までくわしく解説します。
これまでの経験をアピールし、採用につなげるための職務経歴書を作りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の内容
職務経歴書とは?履歴書との違いと提出を求められる理由
そもそも、職務経歴書とはどのようなものかを見ていきましょう。なぜ採用に影響するかも解説していきます。
履歴書と職務経歴書の違いとは
職務経歴書は、経験してきた仕事の内容について細かく記載するための書類です。
履歴書は基本情報や学歴・職歴、資格などをまとめたもので、プロフィールシートの役割を担います。一方、職務経歴書は「どのような仕事に携わったか」「働くうえでの強みは何か」をアピールする資料です。
介護職の求人で職務経歴書を求められた場合は、どのような施設・医療機関で、どういった業務に携わったかをわかりやすく記載しましょう。未経験の方は、これまでの仕事で培ったスキルが「介護職にどう活かせるか」を考えてみるのがおすすめです。
介護職の場合、人との関わり方が面接の合否を左右するケースが多くみられます。職務経歴書には、自己PR欄も設けられています。履歴書だけでは伝えきれない、あなたらしさを面接官に伝えていきましょう。
介護業界で職務経歴書が重視される理由
介護業界では「即戦力かどうか」「人柄や適性が職場に合っているか」などが重視されます。
介護の現場は人員不足の職場が多く、採用担当者は「できればすぐに慣れてくれる人が欲しい」と思っているからです。
そのため、過去の業務経験を伝える職務経歴書は、採用側にとって大切な判断材料となります。
しかし、無資格であっても問題ありません。例えば「入浴介助の補助をしながら、ご利用者様の不安を和らげた」「レクリエーションの企画を通じて、ご利用者様の笑顔を引き出した」といった経験があれば、じゅうぶん強みになります。
介護の現場はチームワークが求められるため、経歴だけでなく、働く姿勢や工夫、コミュニケーション力が評価されやすいです。介護現場の経験自体がなかったとしても、これまでの仕事で周りと協力した実績や評価をアピールできれば好印象を得られるでしょう。
採用担当が見ているポイント3つ
1.継続できそうか
介護の現場は、離職率の高さを課題とする職場も少なくありません。そのため、職務経歴書には、取得したい資格や将来のキャリアプランを記載するなど、長く働けそうな根拠を盛り込むと良いでしょう。
「家庭と両立しやすい勤務体制に惹かれた」など、自分の生活とマッチしている理由を書くのも効果的です。根拠とセットで長く働ける理由を伝えましょう。
2.どんな人柄か
採用担当者は、あなたの人柄も見極めようとしています。介護の仕事は、スキル以上に人柄を重視する職場も多いです。そのため、職務経歴書でも「仕事にどう向き合う人か」「どのような業務に向いているか」を書くのをおすすめします。
【例】
- 相手の立場に立って接するように心がけた
- 小さな変化にも気付けるよう観察している
- 困っている同僚に自分から声をかけるようにしていた
職務経歴書には、強みや仕事の価値観について書く自己PR欄があります。ただ業務内容を書くのではなく、あなたの人柄についてわかるよう具体的に書いてみましょう。
3.経歴と応募理由に一貫性があるか
これまでの経歴と、応募した理由に「食い違いや違和感がないか」も見られています。採用担当者は、熱意のある人を採用したいと考えているからです。
過去の経験と応募した理由、応募先の特色に一貫性がなければ「適当に応募したのでは?」と感じられ、あなたの意思が伝わりません。応募理由に説得力をもたせるなら、これまでの経験と応募理由をつなげて伝える意識が必要です。
職務経歴書の作成準備3ステップ
ここでは、職務経歴書を書く前に踏むべき3ステップを紹介します。
- これまでの経験を棚卸しする
- 強みや得意なことを言語化する
- 応募先の求める人物像と照らし合わせる
順番に見ていきましょう。
1.これまでの経験を棚卸しする
まず、これまでの経験を振り返りましょう。介護業界での職歴に限らず、アルバイトや他職種の経験も、介護の仕事をするうえで大きな武器です。
たとえば、接客業で培ったコミュニケーション力や、子育て経験で得た気配りなども、介護職員としての強みになります。「自分にはアピールできる経験がない」と感じる人も、これまでの仕事でどういった働き方をしてきたのかを思い出してみてください。介護の仕事で役立つものがきっとあります。
2.強みや得意なことを言語化する
経験の棚卸しをしたら、自分の強みや得意なことを明確にしていきましょう。介護職で求められるのは、資格や技術だけではありません。相手の気持ちに寄り添う姿勢や、計画性の高さも立派な強みです。自分のスキルや特性を文章に落とし込み、職務経歴書の説得力を高めていきましょう。
3.応募先の求める人物像と照らし合わせる
最後に、自分の強みが応募先の施設や法人にマッチしているかも確認します。ホームページや求人票などで「求める人物像」や「施設の理念・特色」をリサーチするのがおすすめです。
「認知症ケアに力を入れている」「地域密着型で家族との連携を重視している」など、職場の特徴を踏まえ、自分の経験とからめてアピールしましょう。
職務経歴書は、自己PRの書き方も大切です。
こちらの記事では、採用担当者に好印象をもってもらうための自己PRについてくわしく解説しています。よければ参考にしてみてください。
職務経歴書の形式と作成方法
ここで、職務経歴書の形式や作成する方法について解説していきます。
編年体式とキャリア式から選ぶ
職務経歴書には「編年体式」と「キャリア式」の2種類があります。これまでの経歴を順に説明したい場合は編年体式、スキルや実績をアピールしたい場合はキャリア式がおすすめです。
見本を参考に、自分に合った形式を選んでみてください。
【編年体式】

【キャリア式】

一見介護職に関係ないようなことでも、実は実務に役立つケースはたくさんあります。
これまでに経験したり習得したりしたことは、積極的に書いておきましょう。
手書きで作るかパソコンで作るかを決める
職務経歴書は、市販の用紙に手書きする方法と、パソコンで作る方法があります。
パソコンの場合は、WordやGoogleドキュメントで1から作っても良いですし、無料テンプレートを使うのも時短になるのでおすすめです。丁寧さや読みやすさが大切なので、自分に合った方法を選びましょう。
筆者は最初、職務経歴書や履歴書をボールペンで書いていましたが、書き間違いがあると1から書き直しになるためパソコン派になりました。
「介護転職のミカタ」では、無料テンプレートをご用意しています。ぜひ職務経歴書の作成にお役立てください。
A4サイズ1~2枚にまとめる
職務経歴書は、A4サイズで1~2枚に収めるのがおすすめです。
文字の量が多過ぎると、読み手に負担がかかります。
また、短過ぎると「経験が乏しい」「意欲が感じられない」ととらえられる可能性があります。
見出しや箇条書きを活用しながら、読みやすく、伝えたい内容が正しく伝わるよう工夫しましょう。
【例文つき】各項目の書き方とアピールのコツ
ここからは、順を追って職務経歴書の書き方について見ていきましょう。
以下は、キャリア形式の職務経歴書の一例です。

テンプレートによって若干書式に違いはありますが、書くべき内容はほぼ同じです。
この図を見ながら各項目について解説していきます。効果的なアピール例文もまとめていますので、テンプレートを見ながら書いてみてください。
①日付・氏名
日付は、書類の提出日を記入します。和暦・西暦のどちらでもOKですが、和暦のケースが多いです。いずれにしても、必ず履歴書との統一が鉄則です。
氏名は、フルネームを読みやすい文字で書きます。連絡先(電話番号やメールアドレス)は、採用の可否連絡で使われるため、必ず記入しておきましょう。
②職務要約
職務要約は、これまでのキャリアを3〜5行で簡潔にまとめる部分です。経験年数や担当した業務、得意な分野などを伝えましょう。
未経験の場合は、介護に関心をもった経緯や、これまでの経験を介護職にどう活かしたいかを書くと好印象です。
③職務経歴
職務経歴は、勤務先名や勤務した期間、業務内容を記載します。上の例のように、箇条書きを用いると読みやすいです。
文章の部分は、以下のOK例文とNG例文を読んでみてください。
【OK例文】
要介護3〜5の高齢者に対して、日常生活全般の支援を担当。食事・入浴・排せつ介助のほか、認知症ケアや事故防止対応にも従事。記録業務やケアカンファレンスへの参加、多職種との連携を通じて、チームケアの意識を高めた。
【NG例文】
特養で介護業務に従事。食事介助などをおこなう。
職務経歴は、あなたがどのような職場でどのような業務に関わっていたかをくわしく書きましょう。NG例文のように、業務内容がおおまかに書かれていると、あなたのスキルがまったくわからず、採用担当者は「この人を採用して大丈夫かな」と不安を感じます。
抽象的な書き方では評価されにくいため、担当業務の範囲や工夫したことを積極的に盛り込むのがおすすめです。
④自己PR
自己PRは、あなたの人柄や仕事への姿勢、スキルなどを自由に伝えられる大切な項目です。
【OK例文】
未経験・無資格から介護職としてのキャリアをスタートし、特別養護老人ホームで約5年間勤務してまいりました。ご利用者様をサポートする中で「もっと深く学びたい」という思いが芽生え、昨年、介護福祉士の資格を取得しました。
現場では、ご利用者様の声や表情に気を配り、安心して過ごしていただけるよう心を込めて接しています。急変時や夜勤においても冷静に対応し、丁寧な記録と報告で職員間の情報共有に努めてまいりました。
今後も学び続ける姿勢を忘れず、質の高いケアを提供していきたいと考えています。
【NG文例】
経験が少ないため、アピールできる点はありませんが、頑張って成長したいと思っております。
介護職に関連しそうな経験や資格があればもれなく記載しましょう。さらに「介護職に魅力を感じる理由」や「人との関わりで大切にしていること」など、あなたらしさを盛り込んでいきましょう。
筆者は、事務職から看護補助者として介護業務に携わりました。面接で職務経歴書を求められたときはかなり自己PRに悩んだのを覚えています。
事務職で培った計画的な仕事ぶりや、介護職としてのキャリアプランを中心に書いたところ、好印象をもっていただき採用に至りました。人を支える仕事をするうえで、自分の中に活かせる強みがないか探してみてください。
「どうしても自己PRが書けない……」という人はこちらの記事を参考にしてみてください。
キャリア別や施設別に、効果的な自己PRの例文を紹介しています。
書類提出前に確認すべき3つのポイント
職務経歴書や履歴書を応募先に提出する前に、以下の3つを確認しましょう。
- 誤字脱字や記載漏れがないか
- 履歴書に書いた志望動機との一貫性はあるか
- 持参時や郵送する際のマナーを把握しているか
1つずつ解説していきます。
誤字脱字や記載漏れがないか
どんなに内容が良くても、誤字脱字や記載漏れがあると印象は大きく下がります。介護の仕事は丁寧な仕事が求められるため、書類の誤字脱字があるとマイナスポイントです。
提出前には必ず見直しをおこない、誤字脱字、記載漏れがないかをチェックしましょう。可能であれば、第三者に読んでもらうのもおすすめです。自分では気付けなかったミスが見つかり、提出前に修正できます。
履歴書に書いた志望動機との一貫性はあるか
履歴書と職務経歴書の志望動機に一貫性があるかもチェックしましょう。志望理由に矛盾があると「本気度が低い」と感じさせてしまうからです。
【NG例】
履歴書の志望動機 :高齢者との関わりにやりがいを感じている
職務経歴書の志望動機:訪問介護や障害福祉にも関心がある
介護職への意欲は感じられても、採用担当者からすれば「本当にこの仕事を続けたいのか?」と疑問を持たれる可能性があります。
一貫性のある内容を心がけ、応募先で働きたい気持ちをアピールしましょう。
持参時や郵送する際のマナーを把握しているか
職務経歴書や履歴書は、提出時のマナーも大切です。持参する場合はクリアファイルに入れ、封筒は折らずに提出しましょう。郵送の場合は送付状を添えて応募する旨を丁寧に伝えます。
提出の仕方によっても印象が変わるため、書類の取り扱いにはじゅうぶんな配慮が大切です。
介護職の職務経歴書でよくある質問
最後に、職務経歴書に関する質問にお答えしていきます。
転職回数が多いです。イメージダウンを防ぐにはどうすればいいですか?
転職回数の多さは、必ずしもマイナスに働くわけではありません。伝えるべきは、職場を変えた理由に説得力があるかどうかです。
職務経歴書には転職理由をくわしく書く必要はありませんが、面接ではほぼ確実に尋ねられるでしょう。そのとき、前の職場の不満を話すのはNGです。
「新しい分野に挑戦したかった」「家庭の事情でやむを得なかった」など、前向きな理由を伝えるのをおすすめします。
ブランク期間はどう伝えればいいですか?
ブランク期間がある場合は、その間にどのようなことをしていたかを補足しましょう。介護職から長く離れていたとしても、理由を書けばOKです。
たとえば「家族の介護をしていた」「子育てに専念していた」「資格取得のために勉強していた」など、介護職に関係する経験や前向きな取り組みがあれば強いアピールになります。ブランク期間中でも、就職への意志を感じさせる伝え方を心がけましょう。
正社員の経験がないと不利?
正社員経験がなくても問題ありません。仕事の内容が具体的に書かれていれば、じゅうぶん評価されます。
介護業界では雇用形態よりも「どんな姿勢で仕事に取り組んでいたか」「どんな立ち位置で貢献していたか」が重視される傾向です。勤務年数や担当業務、周囲の人々との関わり方などを伝えましょう。
自己PRは履歴書と同じでいい?
履歴書の書式によっては、自己PR欄が設けられています。職務経歴書にも自己PRを書きますが、双方の内容が似ていても問題はありません。
ただし、職務経歴書ではより具体的に掘り下げて書きましょう。履歴書に書ききれなかったエピソードや、仕事を通じて得たスキル、業務の工夫などを加えると、より厚みのあるアピールができます。
まとめ
職務経歴書は、これまでの経験を伝える大切な書類です。介護職の経験があれば前職での業務内容を具体的に書きましょう。
未経験の人は、別の仕事でどういった点に気を付けて働いていたか、介護職に結び付けて考えてみてください。観察力やコミュニケーション力、対応力など、介護職に活かせるスキルはたくさんあります。
職場によって求める人物像は異なります。できれば、応募先の施設がどういった人材を採用したいのか調べてみましょう。ホームページでは、経営理念や採用ページからつかめるケースが多いです。
とはいえ、なかなかひとりで調べるのは時間がかかります。応募書類の作成も、慣れていなければ書き方に悩むかもしれません。「介護転職のミカタ」では、あなたの経験や思いがしっかり伝わるよう、履歴書や職務経歴書の作成を始め、ぴったりの職場探しをサポートしています。ひとりで悩まず、いつでもご相談ください。
この記事を書いたのは・・・

佐藤 恵美/Webライター
保有資格:介護福祉士/社会福祉士
回復期リハビリ病棟で7年勤務したのち、社会福祉士を取得し、
生活相談員を経験。現在はフリーのWebライターとして活動中。