
介護職としてもう1度働いてみたいと思っているけど、復帰することに不安を感じていませんか。
前職を退職した原因はその人それぞれであり、ブランクはあるけどもう1度復帰したい理由もさまざまです。
そのため、復帰に対して前向きで積極的な人もいれば、不安で二の足を踏んでいる人もいるでしょう。
本記事は、介護職としてはブランクがあるけど、復帰を検討している方向けに、再就職のための必要な情報や不安の解消法を紹介しています。
不安の解消や復帰前の準備ができれば、マイペースな就職活動ができ、新しい職場環境でスムーズな復帰ができるのではないでしょうか。
ブランク明けで介護業界に復帰した筆者が、わかりやすく解説しますので、ぜひご一読ください。
この記事の内容
介護職はブランクがあっても復帰できる??
介護職は、ブランクがあっても復帰することが可能です。
理由は、以下のようにさまざまあります。
- 人手不足で雇用の需要が高い
- 教育・研修制度などでサポート体制がある
- 資格は継続して有効
- 柔軟な働き方が可能
どの理由についても、ブランクがある人の就職活動を後押しする内容です。
介護職でブランクがあっても、復帰を目指す人の就職活動にはメリットが多いことから、ブランク明けでも働けるといえます。
筆者の場合は、紹介会社を利用し就職活動を行いました。
家事・育児の両立に不安を感じていたので、条件をお伝えし筆者にあう事業所を見つけてもらうことができ、すぐに入職することができました。
人手不足が続いており、即戦力になる人を探していた事業所であったため、筆者が経験者ですぐに実践できると伝えると担当者の方に喜ばれた記憶があります。
ブランク明けの不安とその解消方法
ブランクがあると、復帰することに対する不安を持つ人もいるでしょう。
安心して復帰することができるよう、4つに分けて分かりやすく解説いたします。
- 介護技術や制度の変化
- 体力低下による体調不良
- 家事育児と仕事との両立
- 新しい職場での人間関係
順番にみていきましょう。
介護技術や制度の変化
介護業界は、介護技術や介護保険制度について、定期的に変化をしています。
ブランクがあると知識や制度の変化には対応できていないため、最新の情報は身についていない状態です。
しかし、それは仕方のないことなので、復帰する前までにしっかりと最新情報を身につけておくことに注力しましょう。
【技術面の不安解消法】 ・介護系の無料オンライン講座や動画を視聴して、新しいスキルとして身につけておく ・介護事業所に実際に見学に行ったり・ボランティア体験に行き、最新の知識や技術を習得する ・介護福祉士会や地域包括支援センターなどが主催する「ブランク復帰者向けの現場復帰支援セミナー」に参加してみる 【制度面の不安解消法】 ・厚生労働省などの公式情報をチェックする ・雑誌やSNSなどで最新情報を獲得する |
どの不安解消法も自分で動くことで、実践できる内容なので、ぜひ試してみてください。
体力低下による体調不良
介護現場で働くのは、体力が必要になるため、復帰する時には自分の体力面で不安を感じている人も多いでしょう。
ブランク時にどういった仕事をしていたかや、どういった日常生活を送っていたかによって、介護職だった時よりも、体力が落ちていることもあります。
そのため、復帰する前の準備として、体力を向上させたり、体調を整えることは大切です。
【解消法】 ・復帰日までに体調の自己管理をしっかりとする。 ・日常生活から活動量を向上させ、体力をつけるよう努める。 ・あらかじめ、体力に不安があることを上司に伝えておく。 |
体力は、すぐに改善できるものではないので、無理せず早いうちから、体力作りに取りかかることをおすすめします。
家事・介護・育児と仕事との両立
介護職から離れる理由の1つに、家事・介護・育児があります。
ライフワークバランスが上手くコントロールできないため、仕事を1度辞めざるを得ず、ブランクがうまれてしまうことも少なくありません。
家事・介護・育児と仕事の両立に関しては、働き方で十分調整できる場合もあります。
自分のライフスタイルに合わせた、勤務形態で働きたいことをしっかりと面接官に伝えていきましょう。
【解消法】 ・自分のライフスタイルを理解してもらえるよう面接時に話しておく。 (例) 子どもが体調不良の場合はお休みや早退をさせて頂くかもしれません。」や「定期的に親の病院受診に付き添わないといけませんので、お休みを頂けますでしょうか?」などと、前もって確認と了承を得るようにしましょう。 筆者も、「子どもの急な体調不良や行事によるお休みを頂くかもしれませんが、よろしいでしょうか?」と面接時にお伝えしていたことで、子どもの体調不良の際も速やかに帰宅することができました。 |
他人のライフスタイルを理解してもらうのは難しいことですが、雇用された際には「できる限り出勤します」という心持ちでいることをアピールするといいでしょう。
筆者は、子供の幼稚園などが平日にあることもあり、出勤日が少なくなってしまう時には、シフトの希望を提出する時点で、休んでも問題ないか管理者に必ず確認するようにしています。
自分の予定をできるだけ早めに伝えることで、勤務表の調整をしてもらえる可能性が高くなります。
新しい職場での人間関係
社会に復帰する際に、大多数の人が感じる不安の1つが「新しい職場での人間関係」です。
※引用:令和5年度「介護労働実態調査」結果の概要について|公益社団法人 介護労働安定センター
上記のデータから読み取れるように、介護の仕事を辞める理由で最も多いのが、職場の人間関係となっています。ブランク明けで人間関係に悩みたくない人は、面接を受ける事業所の見学をすることをおすすめします。
見学の際に、職員同士の雰囲気や接する対応などを、注意深く見極め、少しでも違和感を感じたなら、再度検討をしましょう。
人間関係について知りたい方はこちらで詳しく解説していますので参考にしてください。
【解消法】 ・職場選びを慎重にすることが大切。 ・施設の見学や面談で上司や職場の雰囲気を直接感じて判断する。 ・口コミ・SNSでの評判を確認する。 ・小規模・アットホームな事業所を選ぶ場合では、と職員が少ないため1人1人と丁寧な人間関係を築ける。 ・大規模な職場を選ぶ場合では、職員数が多いため人間関係に悩んだら異動も検討できる。 ・派遣社員からはじめてみると合わなければ職場を変更できると思えば気が楽。 |
職場選びは、自分の目で見たり、感じたりして、復帰したいと思えるような事業所に決めましょう。
介護職でブランク明けの方におすすめの職場
ブランク明けの介護職の方に、おすすめの職場を紹介します。
おすすめの職場とあわせて、代表的な事業形態も例としてお伝えします。
- 日勤帯のみで正社員の職場
- パートやアルバイトでも可能な職場
- ご利用者様が少人数の職場
1つずつみていきましょう。
日勤のみで正社員の職場
ブランク明けの方におすすめなのは、日勤帯のみの職場です。
介護職でも、日勤帯のみ(夜勤なし)で働ける職場は意外と多くあります。
- デイサービス(通所介護)・デイケア(通所リハビリ)
- ホームヘルパー(訪問介護)
- ショートステイ(短期入居)の日勤帯
- 特別養護老人ホーム・有料老人ホームの日勤帯
通所や訪問事業に関しては、主に日勤帯の勤務となります。
また、ショートステイや各種施設に関しても、日勤帯のみの契約で雇用されれば、夜勤はしなくても就職は可能となります。
筆者が現役の介護職員だった頃(約20年前)は、夜勤に就かないと正社員にはなれないことが多く、介護職員として収入を得ようと思ったら、夜勤はつきものでした。
ですが、近年介護業界の人手不足や働き方の多様性により、事業所側が認めれば日勤帯のみの勤務でも正社員に就きやすくなっています。
ブランクがあることに不安を感じている人は、まず日勤帯の勤務に就き、既存の介護職員に頼れる状況の中で安心して働ける職場がおすすめです。
パートやアルバイトでも可能な職場
家事・介護・育児と仕事の両立に不安を感じている人には、まずパートやアルバイトから復帰してみてもいいでしょう。
パートやアルバイトは、自分の希望の時間数で働くことができるため、プライベートの時間も確保しやすいです。
正社員で復帰してしまうと、拘束時間が増え、プライベートの時間が少なくなってしまうことで、家事・介護・育児に余裕がなくなってストレスを抱える原因になりかねません。
自分のためにも、少し時間に余裕を持てるパートやアルバイトで復帰するところから検討してみてください。
たとえば、下記のような施設がおすすめです。
- デイサービス(通所介護)・デイケア(通所リハビリ)
- ホームヘルパー(訪問介護)
- グループホーム
- 小規模多機能型居宅介護
- 病院
- その他施設
ご利用者様が少人数の職場
ブランク明けで体力面に不安を感じている人は、ご利用者様の人数が少なく家庭的な事業所で復帰するのがおすすめです。
ブランク明けで、規模が大きい事業所に復帰してしまうと、業務量が多かったり、ご利用者様の顔と名前を覚えるのに時間が掛かってしまいます。
筆者もブランク明けで復帰した事業所は、小規模の施設でした。
しばらく、社会から離れて家事育児に集中していたため、社会に復帰しても以前のように働けるのかと心配でした。そのため、転職エージェントに小規模の施設を希望し、紹介して頂きました。
実際にパート職で復帰してみると、無理することなく、自分のペースで新しい職場環境に慣れていくことができました。
ブランク明けでは、体力面にくわえて記憶力や対応力に不安もでてくる人もいるでしょう。
ですが、対応するべきご利用者様が少人数であれば、自分の許容量にも余裕がでます。
下記のような施設を検討してみましょう。
- グループホーム
- 小規模多機能型居宅介護
- 地域密着型小規模多機能型居宅介護
- 定員の少ないデイサービス(通所介護)デイケア(通所リハビリ)
【ブランク別】介護職の面接時に使える5つの解答例
ブランク明けに働きやすい職場に復帰するためには、面接を受ける必要があります。
そういった面接を受ける際には、「前職を辞めた理由は?」「なぜ復帰しようと思ったのか?」などブランクに関する質問をされることがあります。
そういった際に大切なのは、筋の通った志望動機や復帰に対しての積極性を面接官に伝えることです。
本章では、面接時の質問内容に対する解答例を紹介します。
また、ブランクの理由別にくわしく解説していますので、ぜひ自分なりの回答を見つけるため参考にしてみてください。
- 結婚や出産などのライフスタイルの変化によるブランク
- 家族の介護によるブランク
- 異業種への転職によるブランク
- 自身の体調不良によるブランク
- 以前の職場に不満があったための退職によるブランク
順番にみていきましょう。
【ブランク①】結婚や出産などのライフスタイルの変化
結婚・出産・育児は自然なライフイベントであるため、正直に伝えても大丈夫です。
「もう1度介護現場に戻りたい」という介護職への意欲や、育児との両立ではあるが、出来る限り一生懸命働くことをアピールできれば効果的です。
【解答例】 「出産と育児のために、1度介護職から離れました。子供が成長してきたことで、また介護業界で働きたいという思いが強くなり、この度御社を志望しました。 介護職から離れている間も、介護に関するニュースや新しい制度に関しては、積極的に情報収集をしていました。 家庭と仕事が両立できる働き方を模索しつつ、ご利用者様に対して家族のように寄り添ったケアに努めたいと思っています。」 |
【ブランク②】家族の介護
家族の介護のために退職したことは、復帰の際に問題とはならないため、正直に伝えても問題ないでしょう。自分は辞めたくなかったが致し方なかったと、本当のことを誠実に伝えましょう。
面接官に伝える際のポイントは、「再び現場に戻りたい理由」や「ブランク中に得る事ができた学び」です。
家族の介護に携わったことは、ご利用者様のご家族様が持つ視点を獲得できているといえます。
家族の介護はその後のキャリアのために、大きな学びになったことをしっかりと伝えましょう。
【解答例】 「母の介護が必要になったことから、1度やむを得ず退職をしました。 それまでご利用者様に寄り添う介護を心掛けていましたが、母の介護をすることで家族からの視点も持つことができました。 また、在宅でおこなう介護の難しさや、家族に対するメンタルケアの必要性を感じました。 母の介護をする上で、とても頼りになったのが訪問ヘルパーさんの存在でした。訪問ヘルパーさんは、私の相談にのってくれたり新しいケアの方法を教えてくれたりと、親身になってくれました。自分もそのヘルパーさんのように、ご家族様の立場に立って想いを共有できるようになっていきたいです。 |
【ブランク③】異業種への転職
介護業界だけではなく、違う業界も経験してみたいと退職したけど、また介護に戻りたいと考える人もいるのではないでしょうか。
1度異業種への転職をしている人に対しては、面接官は「また、違う職種に興味が湧き、退職するかもしれない。」などと、感じることもあるかもしれません。
そういった面接官の不安は解消しておく必要があります。
異業種への転職によるブランクがある人が、面接官の不安を解消するためにアピールすることは、以下の3つです。
- 異業種での経験が活かせそうであれば、アピールする
- 異業種への転職の理由を前向きに伝える
- もう1度、介護業界を選ぶ理由をはっきりと伝える
上記の3つをポイントにして、面接の準備をすると面接官に積極性が伝わり、介護職へ復帰したい意欲が伝わるでしょう。
【解答例】 「以前は介護職として勤務していましたが、他の業界を経験して自分の視野を広げたいと思い、転職をしました。 前職で学んだことは、チーム内でのコミュニケーションの向上が、よりよい結果を生み出せるということです。異業種でもやりがいはありましたが、やはり自分は「人と関わる仕事が好き」ということがはっきりとわかったので、もう1度介護業界に戻りたいと思いました。」 |
【ブランク④】自身の体調不良
介護職は、シフト勤務であるため、しっかりと体調管理をしないと、自身の体調不良が原因で退職せざるを得なくなってしまいます。
自身の体調不良が原因で退職をする場合は、まずしっかりと体調を整えてから復帰活動をしましょう。自身の体調が整い、自信がついたら復帰の準備をはじめます。
体調不良でやめたことは正直に伝え、現在は、体調に問題なく就労可能であることもあわせて申し出ておきましょう。
【解答例】 「前職では介護職として働いていましたが、体調を崩してしまい仕事を続けることが難しいと判断し、やむを得ず退職しました。 医師の治療と自身の生活習慣の見直しによって現在は体調も安定し、再び介護の現場で働けるまでに回復しています。御社が、〇〇を大切にしている点や再就職のための研修制度が充実している点に魅力を感じ、ぜひこちらで働いてみたいと応募しました。」 |
【ブランク⑤】以前の職場に不満があったための退職
介護職は好きだけど、職場に不満があって退職に至るケースもあります。
その場合は、退職理由をネガティブな理由として、解答するのではなく、ポジティブな理由に置き換えて伝えるといいです。
面接官には、退職した理由を「前向き、かつ建設的」に伝えることが重要です。
直接的な悪口や職場批判は避け、「学び」「気づき」「改善したい意欲」などにフォーカスした受け答えをしましょう。
不満を伝える時は、「自分の価値観や理想と合わなかった」という表現で留めておくといいです。
【解答例】 「前職では、人員体制や業務の進め方などで改善が難しい状況が続き、自分が理想とする介護が十分にできないと感じるようになりました。 悩みましたが、1度退職し介護業界から離れることによって、自分が追求する介護観を考えてみることにしました。 介護職から離れてみて、やっぱり自分は介護の仕事が好きだと、改めて確認することができたので、再度介護の仕事をしたいと思い、応募いたしました。」 |
ブランク明けの介護職についてのよくある質問
本章では、ブランク明けの介護職についてのよくある質問に解答していきます。
復職前にやっておくべき準備は?
ブランク明けで復職する際には、不安を解消するため、前もって準備しておきたいものです。
事前準備でおすすめなのは、最新の介護スキルや制度改正を勉強しておくことです。
介護業界は、情報システムやテクノロジーを利用した、業務の効率化や自動化が進んでいます。
また、介護保険法については、5年おきに改正されています。
介護現場は数年のブランクがあるだけでも、少しずつ変化をしている介護常識への理解が不足しがちです。
介護現場の変化に追いつくために、復帰前には最新の介護技術や制度について自分なりに勉強しておくことがおすすめです。
- 介護情報を発信しているSNS
- 書籍や資格取得の教本
- ハローワークの再就職支援講習
- 現役の介護職の人に介護現場の近況を聞く
- 政府や行政の動向などを紹介する情報番組や新聞
上記のように復帰前にやれることはやっておくと復帰後の業務がスムーズになります。
復職するにあたって対象となる給付金制度はあるか?
介護職への復職を希望する人向けに、厚生労働省が担当となり地方自治体と連携し、は給付金の制度を準備しています。
- 再就職準備金貸付事業
- 介護分野就職支援金貸付事業
上記の2つの事業は、介護職への復職を目指す人向けに、就職に必要な経費を無利子で貸付ける事業です。
一定の条件を満たすことで、全額免除となるため、介護職への新たな1歩を踏み出すための経済的支援となります。
まとめ|ブランク明けの介護職は即戦力
ブランクがある介護職は、事前準備や研修などを利用することで、じゅうぶんに働くことができます。人手不足の影響で求人数が多くあることや、経験者を求める事業所もあるからです。
ブランクがあっても、面接時に介護職に就きたい意欲があることや、ブランク中に獲得したスキルなどをアピールすることで、復帰は叶います。
介護職は、1度経験があればブランクがあっても、十分に働けるため、事業所によってはブランクがあるという認識ではなく、経験者という認識で求められることもたくさんあります。
なぜなら、再研修は必要になるかも知れませんが、未経験者を雇用するよりははるかに即戦力になれるからです。
ブランクがあるからといって、過度に心配せず、1度復帰について気楽に考えてみるといいかもしれません。介護転職のミカタは、ブランクがある人にもおすすめな求人を用意しています。
もし、「また介護職に戻ってみたい」と悩んでいるなら、1度相談してみてはいかがでしょうか。
サービスは無料なので、まずはお気軽にご連絡ください。