【経験談あり】介護の3Kとは?業務改善や職場の選び方も解説

「介護の仕事を始めたいけどきついって本当なの?」「介護の3Kはネガティブなことばかりで不安になる」と思っている人もいるのではないでしょうか。

せっかく介護の仕事に興味を持っても、噂に対して不安になり、新たな道に進むことを躊躇してしまえばもったいのないことです。

本記事では、介護の3Kとは何を指すのか、また介護現場の実際について筆者の経験を踏まえ解説していきます。

記事を読めば、介護に対する漠然とした不安が消え、よい職場で思いのまま仕事ができる具体的な方法がわかります。

介護の3Kとは?

ときどき介護の3Kという言葉を、SNSなどで目にすることがあります。

介護のネガティブな部分3つの頭文字が「K」から始まることから「介護の3K」と呼ばれるようになりました。

ネガティブな「3K」とは、具体的にどういった意味を示す言葉なのでしょうか。

ここからは、介護の3Kの具体的な意味を紹介していきます。

汚い

介護の3Kの一つ目のKは、「汚い」です。

介護現場は汚いと思っている人も一定数いるようで、3Kの中に含まれるようになりました。

例えば、次のような場面が汚いと思われているようです。

  • 排泄介助の際に汚物を扱う行為
  • 口腔ケア等、他者の唾液に触れる行為
  • 食べこぼしのあるご利用者様への食事介助

全て介護の仕事には、必要不可欠な業務内容になります。

体が不自由なご利用者様に対し、介助を行うため、コミュニケーションを取るだけでなく、汚物を処理したり、口腔ケアをしたりする機会もあります。

これは子育てにも共通する部分であるともいえますので、許容できるかは人により異なるでしょう。

しかし、介助時に、介護職員自身の洋服まで汚れることはありません。

排泄介助時や口腔ケア時などに、きちんと衛生管理として手袋やマスク、場合によってはエプロンを装着していれば問題なく衛生を保てます。

介護の仕事が「汚い」かどうかは、各職員の衛生管理への意識の問題であるため、一概に介護の仕事が不衛生であるとはいえないでしょう。

きつい

介護の仕事はきついと思われていることから、3Kの一部として表現されています。

きついイメージを持たれる理由は、次のとおりです。

  • 業務量が多い
  • 人手不足により職員の負担が重い
  • ご利用者様にさまざまな人がいてコミュニケーションが大変
  • 責任が重い
  • 給料が少ない

このような理由から、きついと思われている傾向にあります。

しかし、実際のところは職場により環境は異なります。

そのため、「介護で働きたいけどきつい思いをしたくない」と感じたら、きちんとした職場選びが重要なのです。

危険

介護現場は危険と思われることもあるようです。

具体的には以下のような理由です。

  • 感染症が蔓延しやすい
  • ご利用者様が菌を保有していた場合、それに触れる可能性がある
  • 介助中の怪我のリスクがある

確かに介護の仕事はご利用者様との距離が近いため、感染症に罹るリスクが全くないとはいえません。また、怪我のリスクも少なからずあります。

しかし、リスクはあるものの、しっかりと予防や対策をしていくことで、回避できる可能性が上がります。

介護の仕事中、リスクに対しての不安があれば、日頃から消毒などの感染症対策や正しい方法での介助などを意識しておくことが大切です。

3Kだけではなく5Kと言われることも?

介護の仕事は、職場環境が悪いイメージがつきやすいことから3Kだけでなく、介護の5Kと言われることもあります。

ここからは、介護の5Kとは、何が追加されるのか具体的に解説していきます。

暗い

介護の5Kのひとつは、「暗い」です。

介護現場は、業務中外に出る機会があまりなく、閉鎖的な空間であることから世間には「暗い」というイメージがついているようです。

筆者は介護現場で10年以上働いていましたが、職場が暗いと思ったことはありませんでした。
この「暗い」は、職場により異なるのかもしれません。

職場が暗いと感じたら、明るい話題を毎日振ったり、フロアに花を添えてみたりするなど雰囲気を変える工夫が必要でしょう。

くさい

介護の5K、最後のひとつは「くさい」です。
介護現場では毎日、排泄介助を実施することが多く、処理後の臭いがなかなかとれないこともあります。

そのため、くさいといったイメージがついてしまっているようです。

しかし、排泄介助後や定期的に換気を実施するため、いつまでも臭いがとれないといったことは少ないでしょう。

世間では誤解されている臭いについては、定期的に換気や掃除を実施することで、解決できる問題でもあります。

介護3K・5Kへの対策

実際に介護現場で働くようになってからは、3K・5Kを避けることができないのでしょうか。
結論から申しますと、避けることはできます。。
自分の工夫次第で、3K・5Kを回避することは可能です。

ここからは、介護の3K・5Kへの対策を紹介していきます。

衛生面に配慮し、菌を私生活に持ち込まないようにする

3Kのひとつ「危険」は、感染症への感染などへのリスクを意味します。
それを回避するためには、衛生面への配慮が大切です。

例えば、勤務中と勤務前後の洋服を変える、介助のたびに手洗いうがいをするなど、菌を保有しないように意識することが重要です。

日頃から衛生管理をきちんと行えば、感染へのリスクは抑えられます。

仕事の負担や悩みは、早めに同僚や上司に相談する

仕事の負担や悩みを感じたら、早めに同僚や上司に相談することがおすすめです。

負担や悩みを感じているのに我慢をしてしまうと、根本的な解決ができず、介護の仕事に対して嫌悪感を持ってしまう可能性があります。

また、同僚や上司は、あなたが負担に思っていることに気づいてない可能性もありますので、きちんと悩みを共有するようにしましょう。

介護の仕事に嫌悪感を持つことなく、問題を共有して解決策を導き出せることが理想的です。

職場の雰囲気が明るくなるような提案を積極的に行う

職場の雰囲気が暗いと感じたら、明るくなるような提案をしていけるとよいでしょう。
雰囲気は皆で作り上げるものであるため、誰かが動かなければなかなか変わらないからです。
また、職場を明るくするためには、次のようなアクションがおすすめです。

  • イベントやレクリエーションを積極的に提案する
  • 感謝を伝え合う習慣をつくる
  • 明るい雰囲気づくりにリンクしそうな内容の講義をしてくれる外部講師を招く
  • 花や飾り付けなどでフロアの雰囲気を明るくする

暗いと感じたときには、雰囲気を改善したい気持ちに共感する同僚や上司に相談し、他者も巻き込みながら実施していくと成功率は上がります。

一人で悩まず、積極的に他の人にも相談して巻き込んでいけることが理想的です。

3K・5Kがそもそもないような職場選びをする

介護の仕事は、全て同じもののように思われがちですが、実際にはさまざまな種類があります。
そのため、特に避けたい3K・5Kを感じないような職場に就職することも可能です。

例えば、介護量が比較的少ない住宅型有料老人ホームやケアハウスなどを選べば、介助量が多いことでのきつさを避けることができます。

ただし、介護サービス種別だけでは一概に介護量は図れないため、就職前の事前の調査が重要になります。

就職先の調査方法は、本記事の最後の章で具体的に解説していますので、ぜひチェックしてみてください。

【経験談】介護の3K・5Kって実際はどうなの?

介護現場で働いていた筆者の経験では、3Kや5Kを感じることは確かにありました。
特に、感染への「危険」や人手不足による「きつい」などは感じたことがあります。

筆者はユニット型の特別養護老人ホームに勤務していましたが、10名のご利用者様を数名の職員でお世話する人員配置だったために、フロア内で少人数が密になって業務を行うような感覚がありました。

そのため、感染症の蔓延や人手不足に関しては、特にネガティブに考えてしまうことも。
しかし、危険への不安はポジティブに考えれば、感染症対策への意識づけになります。

それに気づいた後は、感染症リスクが怖いと思うからこそ、消毒や手洗いうがいなど、徹底した管理を行っていました。

また、人手不足については上司に相談し、シフト設定による人員配置の見直しをしてもらいました。
例えば、人が少なくなる朝と夕方にヘルプ職員を増やしてもらうなどです。

人手不足であっても、どの時間帯に特に手薄になるのかを把握しておくことで、上司にも具体的な提案がしやすくなります。

3K・5Kで表現されるような介護の課題は、工夫次第で解決することが可能です。
また、介護の仕事はネガティブな部分だけでなく、知られていない多くのポジティブな面が存在します。

筆者も共感する介護の新3Kについては、次の章で詳しく解説していきます。

介護の新3Kとは

介護の3Kは、ネガティブな言葉ばかりが浸透している傾向があります。
一方で、介護のよい部分を示す新3Kも存在します。

ここからは、介護の新3Kについて解説していきます。

価値のある

介護の新3Kの一つ目は、価値のある仕事です。
現代の高齢化社会において介護の仕事は、社会的意義があるものと言われています。

介護の仕事をネガティブな3Kとイメージする人もいる一方で、価値のある仕事という認識を持つ人も多くいます。

社会の役に立つ仕事として、重宝され始めているのが介護なのです。

感謝される

介護の仕事は、感謝をされやすいです。

実際に介護現場で仕事をしている人は、すでに実感しているかもしれませんが、介護の仕事をしていると多くの「ありがとう」の言葉をいただきます。

ご利用者様やご家族、または職員同士でもたくさんのありがとうが飛び交います。
そのため、介護は感謝される仕事として認識している人も多いです。

感動できる

最後に、介護は感動できる仕事です。
介護現場で働いていると多くのドラマがあります。

急変や看取りにより、別れという悲しみもある一方で、感動するシーンも多いのが特徴です。
例えば、次のようなシーンです。

  • 認知症のご利用者様の記憶が一瞬蘇ったとき
  • 言葉少ないご利用者様が笑ってくれたとき
  • ご利用者様が嬉しそうに涙を流されたとき

筆者は、長い間介護現場で多くのご利用者様と関わってきましたが、上記以外にもさまざまなシーンからたくさんの感動をいただきました。

筆者の心に残るエピソードは、ご家族が涙を流して喜んでくれた瞬間でした。
施設への面会が少なくなっていたご家族に、ご利用者様の誕生日会を提案したのです。

そのご利用者様は自施設に転居され、それからなんとなく施設への足が遠のいていたとご家族は仰っていました。

しかし、職員からの提案に「うちのおばあちゃんを大切に思ってくれてありがとう」ととても喜んでいただけました。

人とのつながりによる感動をとおして、人間的に成長できるのが介護の仕事です。
それを実感した出来事で、今でもときどき思い出すことがあります。

現在実施されている介護の業務改善

昨今、介護業界での人手不足は社会的な問題として認知されるようになりました。
その影響もあり介護業界では、国を巻き込んださまざまな業務改善が実施されています。
具体的には、次のとおりです。

  • AI搭載
  • 介護職員への処遇改善の実施
  • クールビズ
  • その他、各職場の働き方改革や福利厚生の実施

介護職員への処遇改善加算が始まったり、AI搭載がしやすいように補助金制度が設定されたりと介護職員のための処遇改革は国全体で行われています。

また、各職場による待遇の改善などが実施されていることも多く、今後さらに介護職員にとって働きやすい環境となる職場が増えていくのではないかと予想されます。

後悔しない介護の職場選びのポイントは?

介護のネガティブな3Kを避けるためには、職場選びが大切です。
ここからは、後悔しないための介護の職場選びのポイントを解説していきます。

協力し合えるような人間関係かチェックする

3Kや5Kを思わせるような職場で後悔しないためには、人間関係のチェックがポイントになります。
特に、協力し合えるような関係が理想的です。
具体的にチェックする方法は、次のとおりです。

  • 口コミを調査する
  • SNSやブログをチェックする
  • 求人からスタッフの属性を確認する

就職前の職場の人間関係は、外からはなかなか見えないものです。
しかし、最近ではネットの普及もあり、さまざまな手段で雰囲気を把握することもできます。

ただし、元職員からの口コミについては、主観的な意見である可能性が高いため、鵜呑みにはせず参考程度にしておくようにしましょう。

業務負担は重すぎないか人員配置を確認する

職場の業務負担の重さを就職前に図ることは難しいですが、職員数や人員配置である程度、分析できる可能性があります。

例えば、厚生労働省の介護サービス情報公開システムで職場の職員数を確認することが可能です。
利用者数に対し、職員数が多いほど、業務負担が軽度である可能性が高くなります。

しかし、あくまでも推察程度でしかなく、実際に職員数が多く感じても業務負担が重いこともありますので、口コミなども合わせてチェックすることをおすすめします。

自分の希望に合っているか仕事内容を調べる

自分に合っている介護事業所であるかの確認も大切です。
なぜなら、ひとことで介護の仕事といっても、さまざまな種類のサービスや働き方があるためです。
例えば、次のようなことを確認しましょう。

  • 介護サービス種別
  • 希望の働き方
  • 業務内容

就職前に上記のことを意識して、調べることがおすすめです。
自分の希望に合った働き方ができれば、介護の仕事をきついと思うこともなくなります。

まとめ

介護の3K・5Kと聞くと不安になり、介護の仕事を始めることを躊躇してしまうかもしれません。
しかし、実際にはネガティブな面だけでなくポジティブな部分も多く存在するのが、介護の仕事です。

また、世間で囁かれている介護3K・5Kについては、自分の工夫次第で十分に回避可能です。
介護の3K・5Kに関する噂に惑わされず、興味があればぜひ介護の世界に飛び込んでみてください。

この記事を書いたのは・・・

中村 亜美/Webライター

保有資格:介護福祉士
特別養護老人ホームでユニットリーダーとして11年程勤務。
その後はフリーライターとして活動中。在宅介護者や介護事業者、介護職員向けのコラム・取材記事を執筆している。