女性介護士として働くメリットは?|職場選びのコツも解説

「介護士として働いてみたいけど、実際どうなの?」「家の事情で長く働けないかも……」と悩みを抱えていませんか?

結婚や子育てでライフスタイルが変わりやすい女性としては、やはり家庭との両立がしやすい仕事を選びたいですよね。

女性が介護士として働くメリットは、実はたくさんあります。
本記事では、女性が介護士として働くメリットやより良い職場選びについて詳しく解説しています。

介護士に向いている人の特徴についてもまとめましたので、よければ参考にしてみてください。

介護職の現状は厳しい?

近年、少子高齢化の進行によって、介護の需要は右肩上がりに増加しています。それに伴い介護職の求人も増えていますが、業務の効率化や職員の負担分散は依然として大きな課題です。

しかし、求人の増加に伴い多様な雇用形態に対応する事業所も増えており、出産や子育てなどでライフスタイルが変わる女性にとって働きやすい業界ともいえます。

介護の担い手が増えないため、多くの事業所で人手不足が慢性化しているのが現状です。

公益財団法人介護労働安定センターの「令和6年度 介護労働実態調査」によると、介護職員は69.1%、訪問介護員は83.4%の事業所が不足感をもっているデータが出ています。

引用:「令和6年度「介護労働実態調査」結果の概要について」|公益財団法人介護労働安定センター

また、賃金に関しても厳しさを感じる要因です。
世間のイメージほど介護職の賃金は安くありません。しかし「業務量や責任の重さ、心身の負担の割に賃金が安いのでは」と感じる声もあります。

介護職員の収入について詳しく知りたい人は「介護職員の平均年収は?年収アップの6つの心得を解説」も読んでみてください。

女性が介護職で得られるメリット

女性が介護士として働くメリットは以下の3つです。

・柔軟な働き方ができる
・家庭との両立がしやすい
・資格取得でキャリアアップを目指せる

詳しく見ていきましょう。

柔軟な働き方ができる

介護職は、柔軟に働きやすいのがメリットです。正社員だけでなく、パートやアルバイトなど、多様な雇用形態が選べます。短時間勤務を受け入れている職場も多く、ライフスタイルに合わせて働く時間や曜日を調整しやすい傾向です。

たとえば、子どもの保育園のお迎えがある、または介護を必要とする家族がいるといった状況の人でも、時間の融通がきき、長く働ける職場が見つかりやすい傾向です。

筆者の同僚も、子育て中のときは「急な学校行事にも対応してもらえるから助かる」と話していました。

同僚は2児の母で、パートタイムの半日勤務でした。勤務態度は真面目で機転が利き、職場でも頼りになる存在だったと覚えています。もともとはフルタイムで働いていましたが、子どもが生まれ、体調や子育ての関係で雇用形態を午前中のみのパートに切り替えた経緯がありました。

この職場は働く職員が子育て経験のある人が多く、それぞれ子どもの学校行事や急な通院があったとき、互いに勤務調整して助け合っていたのが印象に残っています。忙しい日に急に休むことがあっても、誰もが「お互い様だから」という考えを持っていました。

筆者が現場を離れた今でも、同僚は子育てに仕事に邁進する毎日を送っています。

時間の融通が利く点は、家庭と仕事の両立を目指す女性にとって大きなメリットといえます。介護業界は、長時間働くのが難しい女性でも、豊富な求人から職場を選べる業界です。

家庭との両立がしやすい

介護業界は、女性の比率が高い職場が多いため、子どもの用事や急な病気での通院など、家庭の事情に理解がある傾向です。

同僚も子育て経験者であるケースが多く、お互いに助け合う風土が根付いている事業所も少なくありません。子どもの発熱で急な休みが必要になった際も、理解してもらいやすい環境だと、安心して働けますよね。

周囲に子育てと仕事を両立している女性が多い職場は、精神的な負担が少なく、長く働ける可能性が高いです。家庭との両立を経験している女性が多く、共感性の高い環境は、女性介護士として働き続けるためにも無視できないポイントです。

資格取得でキャリアアップを目指せる

介護職は、無資格・未経験からでも始められるのが魅力ですが、キャリアアップが叶いやすいメリットもあります。

資格を取得すれば、介護士としての専門性が高まり、昇進や給与アップを目指せます。また、視野が広がりケアマネジャーや相談援助職などの他職種への転身も夢ではありません。

【キャリアアップの例】
介護職員初任者研修
介護福祉士実務者研修
介護福祉士
介護支援専門員(ケアマネジャー)

あくまでも一例ですが、資格を取るごとに介護技術や知識が蓄積され、できることがどんどん増えていきます。力仕事が多いのは事実ですが、力に自信が無かったり、体格が小柄だったりと不安要素がある人も、正しい介護技術を獲得すれば女性介護士として活躍できます。

介護士は、これから長期的なキャリアを築きたい人におすすめです。

介護職に向いている女性の特徴

女性介護士に向く人の特徴は以下のとおりです。

・傾聴力がある人
・報連相ができる人
・気配りができる人
・観察力に優れている人
・感情のコントロールができる人

順番に見ていきましょう。

傾聴力がある人

介護の仕事では、ご利用者様の話に耳を傾ける傾聴力が不可欠です。

ご利用者様の中には、体調や気持ちをうまく伝えられない人がいます。過去の出来事や現在の不安など、言葉にしづらい思いを抱える人も少なくありません。

声にならない言葉の裏にある気持ちを汲み取り、真摯に耳を傾け続けると、次第に信頼関係ができてきます。

筆者の祖母が介護施設に入所していた時、フロア担当の女性介護士さんがいつも優しく話を聞いてくれていたそうです。ご利用者様の中には、住み慣れた自宅から施設での暮らしになり、孤独感を抱く人がいます。そのときに寄り添って声に耳を傾けてくれる人がいると、大きな支えになるでしょう。

相手の心に寄り添い、丁寧に関れる人は、介護士の資質があります。

報連相ができる人

報告・連絡・相談ができる女性も介護士に向いています。迅速な情報共有はご利用者様の安全を守り、適切なケアを提供するために不可欠だからです。

ご利用者様の表情や動き、話し方など「何だかいつもと違う」と感じたら、すぐに他の介護職員や看護師、ケアマネジャーと共有し、観察しなければなりません。もし報連相が滞れば、重大な事故につながる可能性もあります。

「これくらいなら気にしなくてもいいか」と感じるようなことも、周りの職員と共有し、ご利用者様の心身を守る意識がある人は介護職向きです。

気配りができる人

介護の仕事は、ご利用者様の生活全般をサポートするため、気配りができる人も向いています。個別的なケアには、ご利用者様個人を深く理解し、より良く支援するための取り組みが必要です。一人ひとりに気配りできなければ、本当の個別ケアには結びつきません。

たとえば、食事の介助一つとっても、その日の体調や気分に合わせて声かけを変えたり、盛り付けを工夫したりするだけで、ご利用者様の満足度は大きく変わるものです。

介護される側の気持ちになって「どうすれば快適に過ごせるか」「何を求めているのか」を常に考えられる人は、介護士として大きなやりがいを感じられます。

観察力に優れている人

介護職では、小さな変化に気づく「観察力」も重要です。ご利用者様の中には、認知面の低下や疾患により、言葉での訴えが難しい人も少なくありません。小さなサインをキャッチできる観察力がある人は、介護士として活躍できます。

例えば、食欲が落ちている、表情が暗い、いつもより動きが少ないなど、小さな関わりの中でも異変に気付ければ、早期対応でご利用者様の急変や状態の悪化を見抜ける可能性が高まります。

ただし、異常に気付くには普段からご利用者様の観察が不可欠です。日常を知っているからこそ、非日常 に気付けます

日ごろから周りの変化に敏感な人は、介護の現場で大いに力を発揮し、活躍できるでしょう。

感情のコントロールができる人

自分の感情をコントロールできるのも、介護士に向く人の特徴です。介護の仕事は、他者の感情に引きずられずに業務を進め、ご利用者様が安心して生活できるようサポートする必要があります。

介護の仕事では、命に関わる場面に立ち会ったり、感情的になるご利用者様・ご家族様と接したりと、心に負荷がかかる場合があります。時にはご利用者様やご家族様の感情に飲み込まれ、冷静さを欠きそうになる場合もあるでしょう。

しかし、それでは適切な介護には結びつきません。プロとしての落ち着いた振る舞いは、ご利用者様やご家族様からの信頼を得るためにも不可欠です。自分の感情をうまく扱い、冷静に対応できる人であれば女性介護士としての資質はじゅうぶんあります。

女性介護士が抱えやすい不安とは

女性が介護士として働くうえで、不安を感じやすい点は以下が挙げられます。

・体力面
・年齢によるハードル
・人間関係や職場の雰囲気

1つずつ解説していきます。

体力面

介護の仕事は、ご利用者様の移乗(ベッドから車椅子への移動など)や入浴介助など、身体的な負担が大きい業務も含まれます。そのため、未経験の人は体力的にきつい可能性が高いです。

力仕事に慣れていない方や、自分の体調に不安がある人は「介護職はできないかも」と不安になるかもしれません。しかし、最近ではリフトなどの福祉用具を積極的に導入している施設も多く、介助のときは複数人体制にするなど、職員の負担軽減に努めている職場も増えています。

応募する求人を選ぶ際は、こうした支援体制があるかどうかも重要な判断基準です。無理なく長く働くためにも、身体的負担の少ない職場を選びましょう。

年齢によるハードル

介護職への転職を考えている女性の中には「この年齢で採用されるのか?」という不安を抱えている人もいるでしょう。しかし結論から言えば、女性介護士の場合、年齢が採用の大きなネックになるケースは比較的少ないです。

介護業界は慢性的な人手不足であり、経験豊富なベテラン介護士だけでなく、人生経験豊かな中高年の新人も歓迎される傾向にあります。子育て経験や、これまでの社会経験で培われたコミュニケーション能力や気配りといったスキルは、介護の現場で高評価です。

介護の仕事は人命に関わるものと理解し、OJT(On-the-Job Training)や研修制度が充実しているかどうかで、求人を比較検討してみてください。未経験でもしっかり教えてもらえる環境であれば、年齢に関係なく自信を持ってスタートできます。

人間関係や職場の雰囲気

職場の人間関係や雰囲気は、多くの人が不安に思うところでしょう。

介護の仕事における人間関係の良し悪しは、離職理由の上位に挙げられるほどです。「令和6年度介護労働実態調査」では、人間関係を理由に離職した人が24.7%にものぼります。

引用:「令和6年度介護労働実態調査」|公益財団法人介護労働安定センター

介護の仕事はチームで働くため、職員同士の連携がうまくいかないとストレスになります。特に、これまで家庭と子育てに専念してきた人の場合、新しい職場での人間関係に不安を感じるのは当然です。

採用のミスマッチを防ぐには、事前に職場見学させてもらい、職員同士の雰囲気や利用者さんへの接し方などを直接見るのがおすすめです。また。転職エージェントも利用してみると良いでしょう。転職エージェントは各職場の内部情報に詳しく、人間関係についても情報を提供してくれる場合があります。

実際に働く前に、できる限り職場の情報を集めましょう。後悔しない職場選びにつながります。

未経験の女性介護士におすすめの職場3選

これから女性介護士を目指す人におすすめの職場は以下の3つです。

・訪問介護
・デイサービス
・グループホーム

順番に見ていきましょう。

訪問介護

訪問介護は、ご利用者様のご自宅に訪問し、食事・入浴・排泄介助などの身体介護や、掃除・洗濯・買い物などの生活援助を提供します。

訪問介護の魅力は、これまで培ってきた家事スキルを活かせる点にあります。毎日当たり前にやっていることが、ご利用者様の暮らしをより良くするサポートに直結し、大きなやりがいを感じるでしょう。

また、ご利用者様と1対1でじっくり関われるため、深く寄り添ったケアを提供したいと考える人には特におすすめです。ご利用者様やご家族様から感謝の言葉を直接もらえる機会も多いため「人の役に立っている」と強く実感できます。

デイサービス

デイサービスは、ご利用者様がレクリエーションや入浴、食事などのサービスを受ける通いの介護事業所です。

デイサービスは日中のみの勤務であるため「夜は家族との時間を大切にしたい」と考える人にとって、働きやすい職場といえるでしょう。また、レクリエーションや生活支援の割合が大きく、施設によっては身体介護の負担が軽めなのも魅力です。

ご利用者様と一緒に体を動かしたり、頭を使ってゲームしたりする機会も多く、明るい雰囲気の中で働きたい人におすすめします。

グループホーム

グループホームは、認知症の方が少人数で共同生活を送る施設です。家庭的な雰囲気が特徴で、ご利用者様に合わせたきめ細やかなケアを提供できます。落ち着いた環境で、ご利用者様と深い関わりを持ちたいと考える人におすすめです。

訪問介護と同様に、ご利用者様と一緒に食事の準備をしたり、洗濯物を畳んだりと、家事スキルを活かせる場面が多いのがメリットです。これまでの生活で培った経験が、そのまま仕事の役に立つというのは、大きな自信につながるでしょう。

女性介護士が働きやすい職場を選ぶ基準

ここで、働きやすい職場選びの基準を見ていきましょう。

・教育体制で選ぶ
・シフトや休日制度で選ぶ
・定着率や人間関係で選ぶ

1つずつ解説していきます。

教育体制で選ぶ

未経験から介護職を始める女性にとって、充実した教育体制は職場選びの重要な基準です。介護の仕事は、無資格・未経験でも挑戦しやすいという側面があります。だからこそ、基礎から学べる環境が不可欠です。

例えば、入職後に OJTがあるか、定期的に研修が開かれているか、メンター制度などの気軽に相談にできる仕組みがあるかなどを確認しましょう。最初のうちは分からないことや不安なことも多いため、質問しやすい雰囲気も大切です。

シフトや休日制度で選ぶ

家庭と仕事の両立を考える女性にとって、シフトや休日の柔軟性は職場選びで見逃せないポイントです。固定休の有無や、連休の取りやすさ、夜勤の有無や回数など、家庭の都合に合わせて調整しやすい職場であれば長く働けます。

例えば、子どもの学校行事や家族の通院など、事前にわかっている予定に配慮してもらえるか、急な体調不良の際に休みが取りやすいかなども確認しましょう。面接や見学の際に、シフト例や有給休暇の取得状況などを尋ねてみる手もあります。

こうした事情が聞きづらい人には、転職エージェントなど第三者に介入してもらい、情報を集めるのがおすすめです。無理なく続けられる働き方は、自分や家族の生活の質にも影響します。妥協せず、疑問点は確認していきましょう。

定着率や人間関係で選ぶ

職場の定着率の低さは、職員の満足度も低い傾向です。定着力が低い理由が人間関係であるケースも少なくありません。シフトによって、日々関わる職員の顔ぶれは変わります。誰とでも協力し合える雰囲気や人間関係は、介護職の職場選びにおいて重要なポイントです。

求人情報だけでは分からない職場の雰囲気や人間関係を知るためには、職場見学が有効です。実際に働いている職員の表情や、レクリエーションの様子、ご利用者様との会話などを観察し、職場の雰囲気を肌で感じられるでしょう。

また、転職エージェントであれば、内部情報や過去の転職者の声が聞ける場合があるので活用してみましょう。良好な人間関係の職場は精神的なストレスも少なく、仕事へのモチベーションも維持できます。

転職活動の進め方

介護職の転職活動は、まず求人情報を徹底的に確認することから始まります。給与面だけでなく、業務内容、シフト、福利厚生などを細かくチェックしましょう。

未経験で介護職を始める場合は、研修制度やフォロー体制が充実している求人を優先するのがおすすめです。安心してスキルを身につけられる職場であれば、長く働き続けられる可能性が高いです。

面接では、これまでの職務経験や家事・育児で培ってきたコミュニケーション能力や気配りといったスキルを具体的にアピールしましょう。また、介護職への強い志望動機と、新しいことを学ぶ意欲を示すことが、採用担当者に良い印象を与えます。

もし転職活動の進め方に不安を感じる場合は、「介護転職のミカタ」のような専門の転職エージェントに相談するのも良いでしょう。あなたの希望に合った求人を紹介してくれるだけでなく、履歴書作成のアドバイスや面接対策、給与交渉まで幅広くサポートしてくれます。

プロの力を借り、よりスムーズに理想の職場を見つけてください。

まとめ

介護職は、高齢化社会においてますます需要が高まる、やりがいのある仕事です。

体力面や人間関係、年齢による不安を感じる人も多いでしょう。しかし、女性が持つ柔軟性や気配り、傾聴力といった強みを活かせる場面が多く、働き方次第では家庭との両立も可能です。

未経験からでも始めやすい職場や働きやすい職場を選ぶ基準を参考に、あなたにぴったりの職場を見つけて、女性介護士としてのキャリアをスタートさせましょう。

介護転職のミカタ」では、女性介護士をめざす人に向けて無料相談を行っています。初めての介護職に挑戦する人に、求人の紹介や転職のアドバイスもしていますので、お気軽に相談してみてください。

この記事を書いたのは・・・

佐藤 恵美/Webライター

保有資格:介護福祉士/社会福祉士
回復期リハビリ病棟で7年勤務したのち、社会福祉士を取得し、
生活相談員を経験。現在はフリーのWebライターとして活動中。