介護職のシフトを作成するコツは?効率的な作成方法を解説

介護現場は、24時間体制のシフト勤務で業務をしています。
そのシフト作成は、複雑で時間的にも負担の掛かる代物です。

「シフト作成って、どこから手をつけたらいいの?」
「シフト作成って、もう少し効率が上がらないかな」
「業務時間内に終わらせたい」

シフト作成する担当者の中には、こんな悩みを抱えている人も少なくないでしょう。

本記事では、介護現場におけるシフト作成の実情や、シフト作成のコツなどを紹介しています。
初めてシフトの作成業務をされる方にもわかりやすく解説していますので、ぜひ最後までご覧下さい。

介護現場のシフト作成とは

介護現場のシフト作成とは、介護事業所などで働く介護職員の勤務日や勤務時間を計画的に割り振ることをいいます。

シフト作成は、役職者が担当することが多いです。
介護主任やフロアリーダー、ユニットリーダーなど、各グループをまとめる職員が担当しています。

介護現場の中でも介護施設に関しては、24時間体制を求められるため、職員のシフト管理が運営面において非常に重要となっています。

シフト作成の6つのコツ

本章では、シフトを作成する時のコツを6つ紹介します。

  • 個々のシフトの流れに注意する
  • 介護職のスキルを把握する
  • ルールを周知する
  • 職員同士の人間関係に配慮する
  • 職員との良質な関係性を構築する
  • シフト作成のソフトを利用する

1つずつみていきます。

個々のシフトの流れに注意する

シフト作成は全体の人員配置に気を配ることはもちろんですが、個々の職員のシフトの流れに無理がないよう配慮することが大切です。

例えば、筆者の勤務していた事業所では、早番→(日勤)→遅番→夜勤→夜勤明け→休みと翌日の勤務帯に配慮しシフトを作成してくれていました。

始業時間を徐々に後ろ倒しにしていくことで、体調面に問題が発症しづらくなります。

この順序が逆になってしまうと、始業時間がだんだん早くなり、体力的に無理がくるシフトの流れになってしまいます。

シフト作成の担当者は、1人1人の職員の体調面を考慮し、流れに無理のないよう作成することが大切です。

介護職のスキルを把握する

介護職員は、それぞれの経歴や資格の有無、経験してきた事業所などによってスキルにバラツキがあります。

そのため、シフトを作成する場合は、職員それぞれのスキルを把握し、全体的な介護の質を一定に保てるよう注意しましょう。

筆者が新卒で勤務していた老人保健施設では、新卒の1年目にはベテランの役職者やリーダーなどとシフトを組むことが多くありました。

業務に不安がある職員が、安心して勤務できるメリットにもなるため、介護職員のスキルには注意するといいでしょう。

ルールを周知する

シフト作成にあたっては、必ず職員に対して統一したルールをもうけることで作成のしやすさが増します。

例えば、以下が例です。

  • 希望休は1人2日まで
  • 希望休の提出は〇日まで
  • 会議に出席するため、〇日は出勤希望
  • 勤務変更は、上司の許可を得てからおこなう
  • 有給休暇は他の職員と同日にならないよう当人同士で話し合う

上記のようなルールは、事業所それぞれに存在しているため、それを職員全体に周知することで、スムーズにシフト作成に着手できます。

職員同士の人間関係に配慮する

介護業界で働く職員の年齢は幅広く、必ずしも年齢で先輩後輩が見極められるわけではありません。
そういったさまざまな職員間では、職員同士が相容れず、人間関係のトラブルも発生する可能性があります。

シフト作成をするにあたって、職員間で発生している人間関係への配慮も1つの作成材料となります。

介護現場では早番と日勤、遅番と夜勤など、2人で業務にあたる場面も多いため、ご利用者様に迷惑が掛かるような人員配置は避けた方がいいといえます。

職員との良質な関係性を構築する

シフト作成の過程では、行き詰まってしまい、どうしても作成が進まない場合もあります。
そういった場合、職員に少々無理なシフトの流れを依頼しなければならない機会も出てきます。

シフト作成の担当者は、お願いを受け入れてくれるような職員との良質な関係性を構築することをおすすめします。

日頃から、シフト作成において多少融通をきかせてくれるような関係構築に努めていきましょう。

シフト作成のソフトを利用する

シフト作成をソフトに頼るという手段もあります。
無料で使えるシフト作成ソフトなどがあるため、シフト作成に困ったら、利用も検討してみることをおすすめします。

ただでさえ、余分な業務である上に時間の負担が掛かることを考えたら、シフトを作成してくれるソフトは有効活用してみてもいいかもしれません。

シフト作成の手順

シフトの作成の手順を以下4項目で紹介します。

①職員の希望収集公休や有給休暇などの希望を募る夜勤回数や雇用契約上の勤務条件を確認
②基礎シフトの作成仮シフトを組む必要人員を配置する休み希望を反映し、公平に勤務を割り振る
③バランスの調整夜勤回数や週末勤務などの偏りを確認し公平性を担保経験の浅い職員やベテラン職員などの組み合わせでケアの安全性を確保
④管理者等による確認管理者や上長による確認

このようにシフト作成には一般的な手順がありますが、作成者それぞれに作成のコツを持ち合わせていることもあります。

筆者の場合は、シフト作成のスタートは、夜勤と希望休から埋めていく方法をとっていました。

夜勤は職員の労働条件により、回数に制限があったり、夜勤はまったくやりませんなど、それぞれの職員に守らなければいけない優先事項があります。

希望休もしっかりとシフトに反映させなければいけないので、先に埋めておきます。
また、同様の理由で、アルバイトやパートタイマーのシフトも先に埋めておくといいです。

ここからスタートをすれば、後は早番・日勤・遅番と全体のバランスをみながら埋めていくと効率が上がるので、スムーズな作成ができていました。

勤務形態

前述で紹介したように介護現場では24時間体制が基本となるため、さまざまな勤務形態があります。

特に介護施設に関しては、早番・遅番・日勤・夜勤・準夜勤・夜勤明けなどが複雑に混ざり合うため、シフト作成が困難に感じます。

1日1日の人員配置に抜けがないよう配慮しながら作成するという、まるでパズルのような作業になります。

事業所種別

介護現場とひとまとめに言っても、事業所種別によってシフト作成の難易度も異なります。
大きく分けて「在宅系サービス」と「施設系サービス」の2つがあり、それぞれに特徴があります。

在宅系サービスとは、訪問介護・デイサービスといった日中のみの事業所です。
日中のみの事業所であれば、夜勤や夜勤明けの勤務形態はないため、比較的作成しやすいでしょう。

前章で紹介した介護施設といわれる施設系サービスでは、さまざまな勤務形態があるため、作成が難しくなります。

施設系サービスでは、老人保健施設などの看護職員やリハビリテーションの職員など介護職員以外の職員のシフトの作成も合わせておこなう場合もあります。

そういった場合には、さらに複雑になるため作成に時間を要します。

シフト作成の4つの課題

介護現場のシフト作成において課題もあります。
以下、4つの課題について解説します。

  • 業務時間で作成する時間がとれない
  • 多様な雇用形態があり組みづらい
  • 施設運営においての不規則な人員配置
  • 急な欠勤に対するシフト変更

1つずつみていきます。

業務時間で作成する時間がとれない

慢性的な人手不足にある介護現場では、介護以外の業務を勤務時間内におこなう余裕がない事業所も多くあります。

そのため、シフト作成は業務時間内におこなえず、時間外労働になってしまっていることが課題です。

さらに、一気に作成を終わらせることは、時間的負担が掛かるため、何日かをかけて作成することも多々あります。

また、希望休の提出期限が守られず、対象の職員に声かけをする手間などが発生することもあります。
筆者の場合、作成に時間が掛かる理由として、施設特有の夏休みや年末年始による特別休暇などがある月には、作成に4~5日を要することがありました。

特別休暇は、施設によって日数や取得方法がさまざまあるため、一概にはいえませんが、各職員が希望する日数が公休に追加されるかたちです。

各々の職員のシフトに縛りが増え自由度が減るため、時間が掛かってしまいます。
反対に、施設のイベントなどがなく作成の自由度が高い時は、1~2日で出来上がることもありました。

多様な雇用形態があり組みづらい

介護現場では、人手不足を解消するため、雇用条件の多様化が進んでいます。

筆者の勤務していた約20年前の介護施設では、正社員には必ず夜勤業務が割り当てられていました。

ですが、現在の介護施設では管理者の采配で、夜勤業務をしなくても正社員になれるという雇用条件も存在しています。

さらに、デイサービスでも送迎車の運転はしません、〇時~〇時の週〇日の非常勤雇用を希望しますなど、雇用条件を緩和することで人員を確保しようとする動きがあります。

ですが、シフトを作成する側にとっては、さらに複雑化されるため、負担が掛かる要素となってしまいます。

施設運営においての不規則な人員配置

施設運営においては、月に何度かイベントなどがあり、その日においては人員を厚くする必要があります。

そういった場合のシフトは、イレギュラーな人員配置が必要になるため、前後の日の人員調整をおこなうといった作業が必要になります。

イベントで、事故などトラブルが起きないようシフトも余裕をもって組むことが大切です。

急な欠勤に対するシフト変更

シフトは1度作成したら終わりではなく、運用中にも急な欠勤に対応をすることもあります。

職員の体調不良による欠勤などで、シフトに穴が空くと、別の職員に勤務に入ってもらわないといけません。
その際の対応は、事業所それぞれに異なります。

欠勤する本人が別の職員を探し依頼する場合や、勤務先に欠勤の連絡をすると役職者が別の職員を調整してくれる場合があります。

ですが、どちらも再度調整をしたり、関係のない職員のシフトもいじらなくてはいけないことも多いため、負担は大きく感じるでしょう。

介護のシフトは自分なりのコツを確立することがおすすめ

シフト作成は、業務時間内におこなえず、骨が折れる業務です。
ですが、作成のコツやルールを活用し、負担が掛からないよう工夫することも可能です。

ご利用者様に迷惑が掛からない人員配置のシフトを作成するためには、自分なりの作成方法を確立してみるといいでしょう。

「介護転職のミカタ」では、シフト作成をおこなう役職者やリーダーの求人も扱っているため、1度チェックしてみてください。

この記事を書いたのは・・・

小玉 有紀/Webライター

保有資格:介護福祉士/介護支援専門員/介護事務士
福祉系専門学校を卒業したのち、老健で介護福祉士として6年勤務。生活相談員を経験したのち、ケアマネージャーとして5年経験。現在は育児のかたわらライターとして活動中。