「介護の仕事を始めたけど、先輩に話しかけるタイミングがわからない」
「みんなと協力して楽しく働きたいけど、どうすれば職場になじめるんだろう」
介護の現場で、こうした悩みを抱えている人もいるでしょう。
毎日ご利用者様のケアや雑務に追われていると、なかなか先輩や同僚の輪に入れず、孤独を感じることも多いですよね。
この記事では、新人介護職員によくある人間関係の悩みと、無理なく関係を築いていくためのコツをご紹介します。
「自分はダメだ」と自信を失う前に、現状を整理して心が軽くなるヒントを見つけましょう。
この記事の内容
介護職の新人が人間関係で感じる悩み
新人介護職員が人間関係で感じる主な悩みは以下のとおりです。
- 先輩が新人に厳しい
- 他の同期と比べられる
- 先輩達の仲が悪い
- 先輩の言うことがバラバラ
- 職場全体の空気が悪い
1つずつ見ていきましょう。
先輩が新人に厳しい
人間関係の悩みとして、新人の介護職員に対する先輩の厳しさが挙げられます。
右も左もわからない新人にとって、経験豊富な先輩の指導は不可欠です。しかし、中には指導が厳しすぎたり、感情的に叱責したりする先輩もいます。
- 前にも教えたよね?
- 自分で考えて動いて
- そんなこともわからないの?
まだ業務の流れさえつかめていない時期に、強い口調で言われると委縮してしまいますよね。
「次は怒られないようにしないと……」と顔色ばかり気にして、本来できるはずの動きができない人もいるでしょう。
他の同期と比べられる
同期入職の職員と比較されるのも、介護現場の新人が抱える悩みの1つです。
動きが多い介護現場では細やかな気配りができたり、小さなことに気付く観察力が求められています。こうしたスキルが高い同期がいると、どうしても比べられてしまうものです。
- ◯◯さんはもうここまでできるようになったのに……
- △△さんはよく気が付くけど、あなたはマイペースだね
- ◯△さんはハキハキしているけど、あなたは大人しいね
性格や業務のスピードを比べられるのはつらいですよね。
心の中で「もっと頑張らなきゃ」と焦っているときに比較されると、自己肯定感が大きく下がってモチベーションが保てません。
先輩達の仲が悪い
派閥問題や先輩同士の不仲も、新人介護職員を悩ませる要因です。
職場の人間関係が複雑だと、新人はどちらの顔を立てればいいのかわからず、板挟みになる可能性があります。
- 休憩室で他の職員の悪口を聞かされる
- 先輩同士の空気がピリピリしていて質問できない
- A先輩と仲良くしていると、B先輩から冷たくされる
自分とは関係のないところで人間関係のトラブルに巻き込まれ、気疲れしてしまうケースは多いです。
先輩の言うことがバラバラ
教えてくれる先輩が変わると、業務の進め方が違い戸惑う場合もあります。
介護施設は24時間体制です。そのため、シフトによって指導担当の先輩が変わることも珍しくありません。
「昨日A先輩から教わったことを実行すると、B先輩に叱られてしまった」といった経験はないでしょうか。
先輩は、それぞれに自分のやり方を確立させています。
「ご利用者さまのため」という基本は同じですが、時間の使い方やご利用者様との関わり方は少しずつ異なり、指導内容にも違いが出るのです。
筆者も入職間もないころ、ベテランの先輩数名から業務を教えていただきました。
移乗介助ひとつとっても、それぞれに気を付ける点や介助する度合いが違い、何が正解かわからず混乱したのを覚えています。
職場全体の空気が悪い
職場全体の雰囲気が重く、コミュニケーションがうまくいかないのも悩みの種となるでしょう。
介護現場は、介護職員のほかにも医療職やリハビリ職、相談職などさまざまな職種の職員がチームとして働いています。それぞれの専門性を活かして協力し、ご利用者様の暮らしを支えなければなりません。
コミュニケーションが不足した職場は常に空気が重く、慣れない新人職員は「話しかけづらい」と悩むケースも多いです。このあと、人間関係の悩みへのアプローチ法も解説するので、このまま記事を読んでみてください。
新人介護職員が良好な人間関係を築くコツ
ここでは、新人の介護職員が人間関係を築くコツを見ていきましょう。
【良好な人間関係を築くコツ】
- まずは元気な挨拶から
- 指示待ちではなく自分から動く
- 小さな事でも質問する
- 周りの意見を取り入れて実践する
- 「聴く」コミュニケーションを心がける
- ご利用者様にも積極的に関わる
1つずつ解説していきます。
まずは元気な挨拶から
出勤したら、まず明るい声で挨拶してみましょう。
内向的な性格の人は、忙しそうな先輩に声をかけるのをためらって、声が小さくなったり、タイミングを逃してしまったりするかもしれません。
しかし、挨拶がないと「あの子は愛想がない」「何を考えているかわからない」と受け取られる可能性もあります。
「挨拶は自分からするもの」と決めてしまいましょう。会う人の目を見て明るいトーンで挨拶すれば、相手は気持ち良く返してくれます。
もし挨拶をして無視されたとしても、落ち込む必要はありません。現場が忙しくて聞こえていない、あるいは相手の気分の問題であることがほとんどです。
「自分はやるべきことをやっている」と割り切って、気にせず続けましょう。
指示待ちではなく自分から動く
先輩から声をかけるのを待つのではなく、自分からできることを探して動きましょう。
新人のうちは「何も教えてもらっていないから動きづらい」と感じるのは当然のことです。しかし、先輩から見ると「やる気があるの?」と思われる可能性があります。
人手不足の職場であれば、新人教育にじゅうぶんな時間を割けないかもしれません。
「きちんと教えてあげたいけど、今は忙しいから後で教えよう」と、先輩が単独で業務を進めるケースもあります。
- ご利用者様の話し相手になる
- 無資格でもできる雑用を引き受ける
- 「何かできることはありますか?」と声をかける
自分から動こうとする姿勢を見せるだけで、先輩からの評価は高まり、態度も柔らかくなります。
小さな事でも質問する
新人のうちは、初歩的なことがわからないのは当然です。怖がらず、どんな小さなことも質問しましょう。介護現場は、ご利用者様の命と生活を預かる場所だからです。
経験が浅い状態で「たぶんこうだろう」と自己判断すると、転倒や誤嚥などの重大な事故につながりかねません。
いつも忙しそうに走り回っている先輩には、質問するのも勇気がいりますよね。
しかし、疑問はすぐに解消するのがおすすめです。質の高いケアを目指して質問する姿勢は、先輩職員からの信頼獲得にもつながります。
「今、お時間よろしいでしょうか?」とワンクッション置いて、わからないことは必ず質問しましょう。
周りの意見を取り入れて実践する
教えてもらったことを素直に実践するのも、人間関係の構築に効果的です。
「教えたことをちゃんとやってくれている」と感じれば、先輩はあなたの指導にやりがいを感じ、さらに細かく仕事について教えてくれます。
先輩から業務について教わったら、以下の順序で実践してみてください。
- 教わったことはその場でメモして復唱する
- 記憶が新しいうちにやってみる
- 教えてくれた先輩に見てもらう
どんな仕事も、新人のうちは反復練習が大切です。教わったその時にメモし、できればすぐに実践してみましょう。
先輩からのフィードバックを得ながら何度も繰り返せば、仕事への意欲を認められ、人間関係がスムーズなものになっていきます。
筆者は無資格未経験だったころ、ベッドメイキングすらできませんでした。
寝心地を良くするだけでなく、褥瘡のリスク低減につながると教わり、何度も何度も先輩と練習したのを覚えています。
最初はクールだった先輩ですが、ベッドメイキングを何度か教えていただくうちに優しく接してくれるようになりました。一日でも早く仕事を覚えたい気持ちが伝わったのだと感じています。
「聴く」コミュニケーションを心がける
自分から話すのが苦手な人は「聴く力」を武器にしましょう。相手の話に耳を傾ける姿勢は、介護職員同士の関係性にも良い影響をもたらします。
介護の基本姿勢である「傾聴」「受容」「共感」は、ご利用者様だけでなく、職員間の人間関係にも使えます。
「そうなんですね、大変でしたね」と共感したり、相手の意見を否定せず黙って聴いたりするだけでもかまいません。休憩時間や空き時間に軽い雑談でお互いを知るのも、良い人間関係をつくるコツです。
過度な私語はもちろんNGですが、より良い人間関係を築くためには適度なコミュニケーションが欠かせません。
相手の話に耳を傾けるだけで「この人は話しやすい」と感じてもらえます。心理的ハードルが下がると会話が増え、お互いの理解が深まるでしょう。
ご利用者様にも積極的に関わる
ご利用者様との関わりも大切にしましょう。
介護の目的は、ご利用者様への良質なケア提供です。あなたがご利用者様に対して笑顔で優しく接し、信頼関係を築いている姿を見れば、周りは「いい新人さんが入ってくれた」と評価してくれます。
【筆者の体験談】
実は、介護の仕事を始めたときは右も左も分からず、先輩に叱られることも多かったです。
ベテランさんのように、スピーディーかつ丁寧なケアができるようになるのか、自信がありませんでした。
そんな中でも「自分にできることをしよう」と思い、認知症のご利用者様とお話したり、一緒に音楽を聴いたりしていました。
すると、これまでは怒りっぽく叫ぶことの多かったご利用者様が次第に落ち着きを取り戻し、私との会話にも毎回応じてくださるようになったのです。
介護技術の面ではまだまだでしたが「難しいご利用者様とコミュニケーションをとるのが上手」と評価され、気付くと人間関係がとても良いものに変わっていました。
真面目にご利用者様と向き合う姿は、きっと誰かが見ていてくれます。
人間関係で傷ついたり悩んだりするかもしれませんが、毎日丁寧に仕事に取り組み、職場の人だけでなくご利用者様との時間も大切にしてみてください。
人間関係のストレスを発散する手段を見つける
ストレス発散の方法を見つけるのもおすすめです。
「怒られたらどうしよう」「あの先輩に会いたくない」と不安を抱えて仕事をしていると、体が萎縮し、普段ならしないようなミスにつながる可能性があります。
1つのミスが先輩の叱責を招き、新たなミスを生む悪循環に陥るかもしれません。
職場を出たら、仕事のことを忘れてリフレッシュする時間が必要です。以下の記事も参考に、自分に合ったストレス発散方法を見つけてみてください。
解決しない場合は転職を検討する
対策しても人間関係の悩みが消えない場合は、転職も考えてみましょう。
「新人なのにこんなに早く転職していいの?」と考えるかもしれませんが、自分を責める必要はありません。
公益財団法人介護労働安定センターの「令和6年度 介護労働実態調査」によると、「現在の職場を辞めずに働き続けることに役立っている職場の取り組み」として、「人間関係が良好な職場づくり」を挙げた人は47.2%にのぼります。

※引用:令和6年度「介護労働実態調査」:結果の概要|公益財団法人介護労働安定センター
また、直前の仕事を辞めた理由として「職場の人間関係に問題があったため」が上位です。

※引用:令和6年度「 介護労働実態調査」:結果の概要|公益財団法人介護労働安定センター
介護職において、人間関係の良し悪しは働きやすさに直結します。もし今の職場で人間関係に悩んでいるのであれば、あなたが悪いのではなく、職場との相性が悪い可能性もあります。心と体の健康を維持するためにも、限界を迎える前に別の職場も検討してみましょう。
「介護転職のミカタ」では、あなたが希望する条件や働き方に合った職場を紹介してくれます。サービスはすべて無料なので、まずはキャリアコンサルタントに相談してみてください。
新人介護職の人間関係でよくある質問
最後に、人間関係に悩む新人介護職員が感じる疑問についてお答えします。
先輩が冷たい……話しかけない方がいいですか?
先輩の態度が冷たいと感じる場合も、報告・連絡・相談は必須です。
話しかけるのをためらって自己判断で業務を進めると、ミスや事故につながる可能性もあります。
「ご利用者様の体調について報告があります」「食事介助の方法について質問してもよろしいでしょうか」など、必要なコミュニケーションは必ずとりましょう。
介護職はおばさんが厳しいのですか?
新人のたどたどしい動きに対して厳しく指導する人もいるでしょう。
長く現場を支えてきた人は、自分の介護観や仕事の進め方に誇りを持っている人もいます。
そのため、つい指導に熱が入り、きつい言葉になってしまう人がいるのは事実です。
しかし、厳しさの裏側には「より良いケアを提供したい」という思いが隠れている場合もあります。
「近くで先輩の技術を学びたい」と意欲を示せば、面倒見よく教えてくれる人もたくさんいるので安心してください。
介護職に向いていない人の特徴は?
以下のような特徴がある方は、介護職で苦労しやすいと言われています。
- 学ぶ意欲が低い
- 人と話すのが苦手
- 細かい点に気付きにくい
- 嫌なことを引きずってしまう
- チームで動くより単独行動が好き
この特徴に当てはまっていても、介護職に不向きというわけではありません。
コミュニケーションスキルや気持ちの切り替え方は、経験を積めば少しずつ身につきます。
新人のうちは「今はまだ慣れていないだけ」と考えて、焦らず成長していきましょう。
まとめ
新人のうちは、忙しい先輩に質問しづらかったり職場の空気になじめなかったりと、気を遣うことも多々あります。
しかし、介護の仕事に真摯に向き合う姿勢が良好な人間関係を作ります。明るい挨拶をしたり、自ら率先してできることに取り組む前向きさがあれば、先輩の介護職員から「素敵な新人さんだな」と好印象をもってもらえます。
話すのが苦手な人も、聞き役に徹したり、教わったことを忘れないうちに反復練習するなどして仕事への意欲を示すようにしましょう。誠実な仕事ぶりは、きっと先輩や同僚に伝わります。
もし、何をしても改善されない場合は、転職も検討してみましょう。
「介護転職のミカタ」では、介護業界に特化したコンサルタントから転職活動についてのアドバイスが得られます。サービスは無料ですので、気軽に問い合わせてより良い職場選びに役立ててください。
この記事を書いたのは・・・

佐藤 恵美/Webライター
保有資格:介護福祉士/社会福祉士
回復期リハビリ病棟で7年勤務したのち、社会福祉士を取得し、
生活相談員を経験。現在はフリーのWebライターとして活動中。
