
本記事では定期巡回の仕事内容や働いた場合の給与等をわかりやすく解説をしていきます。
「定期巡回」について調べると、少し難しい言いまわしが多く、分かりづらいと思う人も多いと思います。
そんな方の為に簡単にわかりやすく解説していきます。

この記事の内容
そもそも定期巡回とは?
定期巡回とは正式には「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」と呼びます。(以下定期巡回と呼ぶ)
定期巡回サービスが出来た背景としては、高齢化に伴い訪問介護等のサービスは増えていく一方で、要介護の高齢者に対して24時間365日対応できるサービスは不足していたことがあげられます。
また、医療依存度の高いご利用者様に対しても24時間365日看護師等が十分なサポートのできるサービスが必要だったこともあげられます。
訪問介護が1960年代に始まったサービスなことに比べて、定期巡回は2012年から始まったサービスのため、比較的新しいサービスと言えます。
4つのサービスから見る定期巡回の仕事内容
定期巡回は、4つのサービスに分かれています。
それぞれ所有資格や経験によって仕事内容が異なるため、くわしく解説していきます。

定期巡回サービス
主に訪問介護職員がおこないます。
訪問介護職員は、ご利用者様のご自宅に直接訪問し、必要な介助・生活支援をおこないます。
介助の内容としては排泄介助、入浴介助、食事介助、服薬介助などです。
生活支援は買い出し、血圧の計測、簡単なリハビリなどを幅広くおこないます。
訪問回数はご利用者様によりますが、1日平均2〜4回、多いと6回訪問することもあります。
ただ、1回の訪問時間が10分~20分程度と短いため、複数回訪問することが可能です。
また、夜間帯等の緊急時に対応することもあります。
随時対応サービス
365日24時間、ご利用者様などから連絡を受け、オペレーターが対応します。
オペレーターとは、ご利用者様からの緊急連絡に対応する職種です。
24時間365日対応するため、夜間帯でも対応します。
事業所によっては定期巡回サービスと随時訪問サービスを兼務している場合もあります。
訪問をするべきかしないべきか、看護師が訪問するべきか等、判断力や責任の伴う仕事のため、医師、保険士、介護福祉士、介護支援専門員、社会福祉士、1年以上の経験があるサービス提供責任者、准看護師、看護師の資格を持っていないとできない職種です。
随時訪問サービス
こちらは訪問介護職員・オペレーターがおこないます。
夜間帯や早朝など緊急で入るオペレーターからの要請に対して訪問し、必要な介助をおこなうサービスです。
こちらは、オペレーターが兼務することもあるため、緊急の連絡を受けたオペレーターがそのまま訪問することもあります。
訪問看護サービス
定期巡回の事業所には訪問看護事業所がある場合と無い場合があります。
訪問看護事業所がある場合は「一体型」と呼び、訪問看護事業所が無く緊急時は看護事業所と連携する場合は「連携型」と呼びます。
各事業所によって変わりますが、基本的には、医療依存度の高い方に対して定期的に看護師が訪問していくサービスです。
定期巡回サービスの1日の流れ
【日勤帯のスケジュール例】
9:00 | 出社 | ||
9:10 | 訪問先の確認 | ||
9:30 | 訪問開始 内容:血圧測定、ごみ捨て、食事介助、必要な声掛け、体位変換等の生活援助などの業務 | ||
11:30 | 事務作業 定期巡回が必要か、何回訪問するかなどを計画担当者と相談 | ||
12:30 | 訪問の状況に応じて休憩 | ||
13:30 | 訪問開始 内容:夜の買い物や身体介助などの業務 | ||
17:30 | 事務所に帰社 | ||
17:35 | 事務作業(締め作業や引継ぎなど) | ||
18:00 | 退勤 |
※同一のご利用者様に対して、3~4回訪問することもあります
※18:00~勤務の方は事業所によりますが、20:00~21:00までに訪問(就寝介助など)を終えオンコールの対応になります。
定期巡回と訪問介護の3つの違い
定期巡回と似ているサービスとして訪問介護というサービスがあります。
訪問介護と定期巡回には違いがありますのでこちらも分かりやすく3つに分けて解説をしていきます。
- 担当制の違い
- サービス利用時間の違い
- 対応時間の違い
1つずつ見ていきましょう。
1.担当制の違い
訪問介護の場合は、基本的には担当者は固定されています。(※事業所によっては担当者が複数人いることもあります。)
ですが、定期巡回の場合は特に担当は固定されておらず、1日複数回の訪問の中ですべて違う介護職員が介助をすることもあります。
2.サービスの利用時間の違い
訪問介護はご利用者様の希望に応じて時間を選択することができます。
事業所にもよりますが、時間ごとに利用時間によって料金が変わるため、20分以下〜2時間以上など長い時間のサービスも対応可能です。
※複数回訪問する際は、2時間空けることが好ましいとされています。
3.対応時間の違い
冒頭にお伝えしたように、定期巡回は夜間帯でも緊急時であれば訪問をします。
そのため、勤務する介護職員は夜勤対応があります。
訪問介護は日中の介助をおこなうため、夜間帯にも対応できる定期巡回とは大きな違いになります。
定期巡回はしんどい?
実際、介護経験者や資格を取得したばかりの介護未経験者にとって、定期巡回の仕事はしんどいのでしょうか。
結論としては人によります。
介護の仕事でも身体介助が得意な方や、料理やトイレ誘導、レクが得意な方がいるように、得意・不得意は人それぞれです。
定期巡回にも合う・合わないがあります。
メリット、デメリットを確認したうえで判断してみてください。
定期巡回で働くメリット
まずは、定期巡回で働くメリットから見ていきましょう。
- 幅広いご利用者様のケアができる
- 人間関係を良好に保ちやすい
- 小さな気遣いがやりがいに繋がる
1つずつ解説していきます。
幅広いご利用者様のケアができる
定期巡回のサービスを受けられるご利用者様は、要介護1~5までとなっています。
そのため幅広いご利用者様の対応ができるます。
要介護1~2の方はコミュニケーションを取れる方も多いため、生活支援を中心に学ぶことができます。
対して要介護3~5の方は、寝たきりのご利用者様や一、人で食事や排泄ができない方もいるため、身体介助を中心に学ぶことが出来ます。
幅広いご利用者様のケアを経験することで、早期にスキルが身につきやすい環境といえます。
人間関係を良好に保ちやすい
介護職員が退職する理由の1位は「人間関係」です。
長時間従業員と顔を合わせて仕事をしていると、人によってはやりづらさを感じたり、悪口を言われ悩むこともあるでしょう。
その点、定期巡回は訪問介護がベースになっているため、基本的にはご利用者様1対1のケアとなり、他の従業員と接する時間は大変短くなります。
そのため、施設で勤務した場合と比較すると、人間関係に悩まされることは少ないかもしれません。
小さな気遣いがやりがいに繋がる
定期巡回は同じご利用者様に対して複数回訪問をするため、細かい気遣いや気づきが非常に重要です。
「午前中○○さんの顔色が悪かったから、あとでまた行ってみよう」と自分のタイミングで訪問が出来たりするのも強みです。
その小さな気遣いから利用者の方に感謝の気持ちを頂く事もあります。
定期巡回で働くデメリット
次に、定期巡回で働いた場合のデメリットを見ていきましょう。
- 働き方・勤務時間
- ご利用者様一人ひとりにかけられる時間が限られる
- 移動に時間がかかる
一つずつ見ていきましょう。
働き方・勤務時間
定期巡回は24時間365日対応できるサービスなので働く方には夜勤があります。
過去に施設で勤務しており、夜勤経験がある方はあまり抵抗は無いと思いますが、夜勤の経験がない方は生活リズムが崩れてしまったり、友人と時間が合わなくなるなど、辛いと感じる部分があるかもしれません。
また、夜勤経験者でも、夜間の移動・訪問、オンコールの対応で大変が頻繁で、大変に思うこともあるかもしれません。
ご利用者様一人ひとりにかけられる時間が限られる
また、あくまでも「定期巡回」のため、ご利用者一人ひとりに対してかけてあげられる時間は短くなります。複数回訪問するため、通算すると長時間になることもありますが、訪問介護とは異なり担当制ではない為、毎回同じご利用者様を担当できるわけではありません。
そのため、少し物足りなさ等を感じてしまう方もいるかもしれません。
移動に時間がかかる
一日に複数回にわたってご利用者様宅を訪問するため、移動時間がもどかしく感じることがあるでしょう。
また、渋滞や工事などの規制による移動時間の遅滞がストレスになってしまう場合もあります。
もし移動をせず、腰を据えて同じ方に介護をしたいという方は入所施設での勤務がおすすめです。
定期巡回の仕事内容はわかったけど、どんな人が働けるの?
定期巡回の仕事内容については理解が深まったかと思います。
ただ、定期巡回で働くためには重要なことがまだあります。それは働くための要件です。
まずはじめに定期巡回は訪問介護のため、介護に関する資格を持っていないと働く事は出来ません。
定期巡回で介護職員として勤務ができる資格の例は、以下の通りです。
上記のような資格を持っていない場合は、そもそも訪問介護での就業はできないため、はまず資格を取得する必要があります。
また、夜間帯の電話対応などをおこなうオペレーター職は、責任もともなう為、介護福祉士や看護師など専門的に学んだ方しかなることができません。
定期巡回で働くための要件を満たしていない…どうすればいい?
資格を所有していない方は、まず介護職員初任者研修の資格を取得しましょう。
資格取得にかかる費用は、スクールによってもさまざまですが、平均5万円~10万円ほど掛かります。
条件を満たしていない方は、定期巡回以外で資格や経験をしたのちに定期巡回に転職をするのも良いでしょう。
訪問して介助を行うサービスに魅力を感じており、どうしても訪問介護を無資格でやりたい人は訪問入浴サービスがおすすめです。
訪問入浴サービスは、看護師が帯同するため無資格からでも勤務することができます。
定期巡回の給与はどれくらい?
定期巡回で介護職員として勤務するためには、有資格者である必要があり、夜勤勤務もあります。
夜勤手当が支給されるため、日勤帯のみで働く訪問介護職員と比較して給与は高くなっていますが、事業所や地域によって平均年収は変わります。
また、介護業界全体の平均年収が上がっていたりしますので今後定期巡回も含めて給与が上がっていく可能性はあるでしょう。
介護職の平均年収について知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。
まとめ
今回は定期巡回についてまとめました。
定期巡回はまだまだメジャーなサービスではありませんが、もともとご利用者様の希望に応じて出来たサービスです。そのためまだまだ需要は広がっていくと思います。
非常に伸びしろのある仕事ですので、本記事を読んで知識を深めてもらえたらと思います。
「介護転職のミカタ」は、定期巡回にチャレンジしたい人にぴったりの職場を探すお手伝いをいたします。
サービスはすべて無料なので、小さな疑問もお気軽にお問い合わせください。転職のスペシャリストが定期巡回への転職をサポートいたします。
この記事を書いたのは・・・

介護転職のミカタ編集長・O
保有資格:図書館司書
介護・保育・障害領域の人材紹介会社にて、キャリアアドバイザーを経験。
現在はマーケティングチームの係長&コラム編集長として活躍中