ユニットリーダーってどんな仕事をしているの?」
「ユニットリーダーになるために必要な資格は?」
本記事ではこのような悩みを抱えている方に対して、ユニットリーダーの仕事内容や必要資格などをユニットリーダー経験者が解説します。ほかにも、ユニットリーダーと一般職員の違いや、ユニットリーダーの体験談なども解説するので、ぜひ一読ください。
この記事の内容
ユニットリーダーとは?
ユニットリーダーとは、ユニット型の特別養護老人ホームでユニットの管理と運営をする役職者のことです。この章ではユニットリーダーを以下の内容で解説します。
- ユニットケアについて
- ユニットリーダーの役割
- ユニットリーダーに必要な資格は?
より深くユニットリーダーについて知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
ユニットケアについて
ユニットケアは、近年普及し始めた新しい介護のかたちです。ユニットは10人前後、1グループで構成されています。ユニットケアの目的は以下の3つです。
- オン・オフの時間確保
- ご利用者様のストレス軽減
- 他のご利用者様とのコミュニケーション環境の構築
個室があることで、従来型の特別養護老人ホームのように、常に誰かといる必要がなくなります。気が向いた時だけユニットのリビングに行き、他のご利用者様とコミュニケーションをとることができることは最大のメリットと言えるでしょう。
ユニットリーダーの役割
ユニットリーダーに求められる役割は以下の6つです。
- 上司のサポート
- 後輩育成に率先
- ユニットの課題解決に尽力
- ユニットメンバーの信頼構築
- より高度な介護技術を身につけて指導
- ユニットの業務改善に必要な介護スキルを率先して習得
ユニットリーダーは一般職員と違い、ユニット全体をみながら仕事に取り組む必要があります。そのため役割も一般職員に比べて多くなります。
ユニットリーダーに必要な資格は?
ユニットリーダーになる上で、必ず必要な資格はありません。ただし、ユニットリーダーとして取得できる資格はあります。
資格の名前は「ユニットリーダー研修」です。
資格名 | 主催団体 | 研修対象者 | |||
ユニットリーダー研修 | 各都道府県もしくは、各都道府県が委託した社会福祉法人、 公益法人、または一般社団法人 | ユニットケア施設に勤務している又は勤務する予定の職員であって、各ユニットにおいて指導的役割を担う者(ユニットケア施設及びユニットケアに関する基礎的知識を有する者が望ましい)。 なお、研修対象者の選定に当たっては、ユニットケア施設にユニットリーダー研修修了者が2名以上(2ユニット以下の場合は1名以上) 配置されるように配慮するものとする。 |
(「ユニットケア施設管理者研修」及び「ユニットリーダー研修」の実施について〔介護保険法〕|厚生労働省より引用)
ユニットリーダーの仕事内容とは?
ユニットリーダーの仕事は、一般職員より幅が広くなります。
どの職場でも行われる一般的な仕事内容は、以下の6つです。
- 家族との連絡
- 介護職員の指導
- 担当ユニットのシフト作成
- ご利用者様のケア見直し
- イベントなどの企画や運営
- 全体会議の出席
それぞれ体験談なども踏まえて解説していきます。
家族との連絡
ご利用者様の家族との連絡を行います。ご利用者様に何かあったときや、消耗品購入の許可をとる時などが主な連絡の理由です。ただし、ユニットリーダーが常に勤務しているわけではないため、職場によっては一般職員が判断して連絡するところもあります。
介護職員の指導
介護職員の指導もユニットリーダーの仕事です。主に行うのは以下の3つになります。
- 介護技術の指導
- 日常の仕事における指導
- 職員間のトラブル解決の指導
ユニットリーダーはユニット運営を任されているため、技術の向上も含めた全体的な指導が必要です。どの職場でも重宝される能力のため、身につけることをおすすめします。
担当ユニットのシフト作成
シフト作成は職員の希望休などを把握して、月毎の作成を行います。職場によって必要な人員配置をリーダーが把握して、必要な人員を1日毎に配置します。最終的に職員全員に勤務表として配布する仕事です。
ご利用者様のケア見直し
ご利用者様のケア見直しもユニットリーダーの仕事です。ただし、ユニットリーダー1人で決めるわけではありません。ユニットの職員と会議を行い、会議の中でユニット運営も含めて、問題なく実施できるかどうか議論して決定します。
イベント企画や運営の許可出し
イベント企画や運営の許可を出す際は、ご利用者様の身体状況や入室状況などを把握しているリーダーが最初の判断をします。そのあと、リーダー以上の役職者が判断をして実施されます。
全体会議への出席
ユニットを運営している責任者として、他の上司がいる全体会議にも出席します。ユニットはそれぞれコンセプトや、入居しているご利用者様が違います。
そのため全体会議で、各ユニットの目標や課題などを共有して、施設全体の状況を上司が把握し、施設全体の今後の方針を決めます。
ユニットリーダーと一般職員の違いは?
ユニットリーダーと一般職員の仕事内容の違いは以下の3つです。
- ユニット運営
- 問題解決能力が必要
- 状況に応じた対応力
本章ではその違いを、順番に解説します。
ユニット運営
ユニット全体の運営ができるのは、ユニットリーダーのみです。ユニット経費の使いどころや、ユニットをどのようなコンセプトで運営していくのかなどを、主体的に考えます。
問題解決能力が必要
ユニット運営は、様々な問題が起こります。対応に難のあるご利用者様の介助方法や、職員間のトラブルなど、問題は多岐にわたります。ユニットリーダーになると、この問題を解決する能力が重要です。
状況に応じた対応力
ユニット運営をしていると、さまざまな状況に応じた対応力が求められます。特によくあるトラブルは以下の3つです。
- 職員間の人間関係トラブル
- 夜勤中にご利用者様に何かあった
- 人員不足(職員の体調不良やケガなど)
上記のようなトラブルは、ユニットリーダーが率先して解決に導きます。
ユニットリーダーになるメリット5つ
ユニットリーダーをすることで、メリットも多くあります。メリットは以下の5つです。
- 手当がもらえる
- 履歴書に書ける
- 指導力が身につく
- キャリアアップにつながる
- ユニット運営のノウハウが身につく
ユニットリーダーになるか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
手当がもらえる
ユニットリーダーになると、役職手当がでます。手当の相場は5,000円から30,000円と幅広いです。職場によって大きく変化するので、確認することをおすすめします。
履歴書に書ける
ユニットリーダーは責任ある仕事です。そのため転職のとき履歴書に記入できますし、強みになります。役職を経験していると一定のスキルがあると認識されるため、他の職場でも重宝されます。
指導力が身につく
職員を指導するのは簡単なように見えて簡単ではありません。同じ内容を教えるとしても、職員によって伝わり方が違うからです。しっかりと教えたつもりでもできていなかったり、理解してもらえないこともあります。
そのためユニットリーダーは、職員によって教え方を変える柔軟な対応が必要とされます。
キャリアアップにつながる
たとえば、ユニット型の特別養護老人ホームでキャリアアップする場合、最初に就くのがユニットリーダーです。勤務している特熱養護老人ホームでキャリアを形成したいのであれば、ユニットリーダーになることをおすすめします。
ユニット運営のノウハウが身につく
ユニットリーダーになると、ユニット運営のノウハウが身につきます。1つの小さな組織のリーダーとして、職員に動いてもらったり、重要な決定を行ったりなど、一般職員では経験できないことです。
ユニット運営は簡単ではありませんが、身につけると今後の仕事に活かせる業務です。
ユニットリーダーになるデメリット3つ
ユニットリーダーになるデメリットは大きく分けて以下の3つです。
- 人間関係が大変
- 仕事量が増える
- プレッシャーを感じる
本章では、ユニットリーダーになるデメリットと、そのデメリットの裏にあるメリットも解説します。ユニットリーダーを目指す方はぜひ一読ください。
人間関係が大変
ユニットリーダーになると、人間関係が大きく変わります。今まで一般職員として関わっていた人たちと、上司と部下の関係になるからです。勤務態度が悪い職員や、ケアをできていない職員がいれば上司の立場で指導することもあります。
最初は大変かもしれませんが、職員とコミュニケーションをとるときの距離感や、指導の仕方を学ぶと、コミュニケーション力が鍛えられます。コミュニケーション力は、どの職場でも求められる力なので、ぜひ身につけましょう。
仕事量が増える
ユニットリーダーは日常業務以外に、ユニットを運営するために必要な業務も行います。
さらに、有事のときは率先して仕事にあたる必要があります。たとえば、職員の急な体調不良や、人員が不足しているときなどです。
大変ですが、このようなときに率先した姿を示すと、いざというときユニット職員が助けてくれます。また仕事を処理する能力値も上がるため、自分自身が成長するというメリットもあります。
プレッシャーを感じる
ユニットリーダーになると、重要な決定をすることが増えるため、プレッシャーを感じることもあるでしょう。しかし、このような経験はやりたくてもできるものではありません。
重要な決定を下すときは、それなりの理由と思考を必要とします。つまり、問題に対してしっかりと考えて結論を出していることになります。この能力は、どの職場でも主体的に物事を考えられる能力と言えるため、身につけて損はないでしょう。
ユニットリーダーの体験談
本章では、筆者がユニットリーダーとして経験した体験談を掲載します。ユニットリーダーをやるか悩んでいる方は、ぜひ一読ください。
ご家族からもらった感謝の言葉
私が勤務している特別養護老人ホームに入所したAさんのご家族から感謝されたときの話です。Aさんの娘さんは歯科医で、いつも空いた時間にAさんの様子を見にきてました。
その日は昼食の時間に来所してくださり、Aさんの食事介助をしていたときにこんな会話をしたのです。
「こちらに入所してから母(Aさん)がよく笑うようになったんです。在宅だと母は1人でいることが多かったので…。本当に皆さんにはいつもお世話になっています。ありがとうございます。」
わたしがユニットリーダーになってから決めた方針は、「ご利用者様と積極的にコミュニケーションをとること」でした。その功もあってか、感謝の言葉をいただいたときは、リーダーをやって良かったと思いました。
職員間の関係構築
職員間のトラブルは介護施設ではよくあります。わたしがユニットリーダーに就いて2ヶ月ほどたったある日、女性職員Aさんから男性職員Bさんの勤務態度についての話を聞きました。
フロアで見守りをしているときに、Bさんが居眠りをしていると言うのです。
そのためBさんと話をしたところ、仕事終わりに育児や家事に追われていて眠れない日が続いていると伺いました。
その事実をAさんや他の職員は知らなかったため、ユニットの中で密かに共有し、協力をお願いしました。するとBさんへの誤解が解けて、逆に職員間でフォローする風潮が生まれました。
結果的にユニットの雰囲気も良くなったのです。
まとめ
ユニットリーダーの仕事内容は大変なこともありますが、実践することでご自身が成長するための、1歩目を踏みだせる重要な役職です。
今後介護を続けていこうと思っている方や、ユニット型の特別養護老人ホームでキャリアを築いていこうと考えている方は、挑戦することをおすすめします。
この記事を書いたのは・・・
かきざき/Webライター
保有資格:介護福祉士/終活ガイド1級/エンディングノートセミナー講師/食品衛生責任者
介護福祉士として介護職を13年経験。ライター歴3年。
特養でのユニットリーダー経験や、珍しい定期巡回の経験を活かして記事執筆しています!