
「定期巡回の夜勤ってどんな仕事をするの?」
「日中の定期巡回と夜間の定期巡回って何が違うの?」
本記事ではこのような悩みを抱えている方のために、定期巡回における夜勤の仕事がどのようなものかを解説します。
経験を元に、夜に実施する定期巡回の1日の流れや仕事をするメリット・デメリットなどを解説していきます。興味のある方はぜひご覧ください。
この記事の内容
定期巡回の夜勤って何をするの?
訪問介護における夜勤の1つは、日中に行う定期巡回の夜間対応サービスです。サービスで主に行うのは以下の3つになります。
- 排泄介助
- 安否確認
- 起床介助
上記3つについて解説していきます。
排泄介助
定期巡回の夜勤で1番対応頻度の多いサービスです。夜間のサービスができるまで、夜中の排泄はご家族が対応していました。しかし、排泄介助を毎晩行うのは大変です。
そういった背景もあり、夜間の定期巡回サービスを利用する人が多くなりました。排泄介助は、ベッド上でのオムツ交換、トイレ誘導などが主な内容になります。サービスを利用することで、ご家族は夜間ゆっくり休むことができます。
安否確認
日中は一緒に過ごしているものの、住まいは別にしているご家族もいます。
安否確認は、別居していたり遠方に住んでいる方が、ご家族の安全を確認するために利用するサービスです。具体的には、訪問してご利用者様の生存確認をして退室します。
ご利用者様によっては外に出て徘徊する方もいるため、その心配がある方がサービスを利用される場合も多いです。
起床介助
明け方の起床時に利用するサービスです。起床介助は、以下の4つに分けられます。
- 起床の声かけ
- 更衣介助(着替え)
- トイレ誘導またはオムツ交換
- 朝食提供(食事介助)
全てのサービスを利用する訪問先もあれば、部分的なサービスで済む訪問先もあります。希望されたサービスを提供するため、手順書をチェックしてサービスを行います。
定期巡回における夜勤の1日のスケジュール
定期巡回の夜勤は、基本的に22時からの勤務が多いです。
本章では定期巡回夜勤の1日のスケジュールをまとめました。
時間 | スケジュール | |
22:00 ~ | 出勤して訪問先へ向かう | |
22:30 ~ 23:00 | 1軒目の訪問先でサービス提供 | |
23:00 ~ 23:30 | 2軒目の訪問先へ向かう | |
23:30 ~ 0:00 | 2軒目の訪問先でサービス提供 | |
0:00 ~ 1:00 | 3軒目の訪問先へ向かう | |
1:00 ~ 2:00 | 3軒目の訪問先でサービス提供 | |
2:00 ~ 3:00 | 1時間休憩 | |
3:15 ~ 4:00 | 4軒目の訪問先でサービス提供 | |
4:00 ~ 5:00 | 5軒目の訪問先へ向かう | |
5:00 ~ 6:00 | 5軒目の訪問先でサービス提供 | |
6:00 ~ 7:00 | 会社へ戻る | |
~ 7:00 | 帰社後、記録をまとめて退勤 |
上記は一般的な勤務時間例です。勤務先によって勤務時間が異なる場合があるため、事前に確認することをおすすめします。
定期巡回の夜勤で必要な資格とは?
定期巡回の夜勤をする上で必要な資格は以下の6つです。
- 介護福祉士
- 介護福祉士実務者研修
- 介護職員初任者研修
- 介護職員基礎研修(2012年廃止)
- 訪問介護員養成研修1級課程(ホームヘルパー1級)(2013年廃止)
- 訪問介護員養成研修2級課程(ホームヘルパー2級)(2013年廃止)
日中の訪問介護や定期巡回と同様、介護職員初任者研修以上の資格があれば従事できます。
ただし勤務先によっては保有資格の指定があるところも存在します。勤務先に確認することをおすすめします。
定期巡回の夜勤で働くメリット
定期巡回の夜勤は、訪問介護でありながら夜勤ができる特殊な仕事です。この仕事に従事するメリットは4つあります。
- 給与が上がる
- 希少性が出る
- 訪問介護業界で重宝される
- 臨機応変に対応する力が養える
筆者が実際に夜の定期巡回を経験して感じたメリットを紹介します。
給与が上がる
定期巡回の夜勤は、手当がもらえます。夜勤手当は会社ごとに額が変動します。具体的には約3,000〜10,000円と開きがあります。
また、基本給を多くする代わりに、夜勤手当を少なく設定しているところもあります。気になる方は求人票を確認したり、面接時に確認してから勤務するようにしましょう。
訪問介護業界で重宝される
定期巡回の夜勤経験者は多くありません。
筆者は10年以上介護士をしていますが、定期巡回を経験したという人に会うことは少ないです。定期巡回で夜勤を経験した人はさらに数が少ないと考えられます。
定期巡回や訪問介護で夜勤を経験した人は少ないため、定期巡回を運営している企業からすれば重宝されるでしょう。
臨機応変に対応する力が養える
定期巡回の夜勤は、日中と違い誰かに助けてもらうことはむずかしいです。
理由は、複数の職員が勤務していないためです。勤務先によっては他の職員を配置していて、助けを期待できるところもあるかもしれませんが、ほとんどの場合夜間の人員配置は1人です。
筆者は、介助時のトラブルがあっても全て1人で対応していました。
ただ、その経験があったおかげで、別の施設で勤務するときも臨機応変な対応ができています。介護現場では咄嗟の対応も多いため、柔軟な対応力は大切なスキルと言えるでしょう。
定期巡回の夜勤をするデメリット
定期巡回の夜勤はデメリットもあります。デメリットは以下の3つです。
- 体力的・精神的につらい可能性がある
- 緊急コールも対応しなければいけない
- どの現場も1人で対応しなければいけない
夜間の勤務は日中とは違う大変さがあります。1つずつ解説していきます。
体力的・精神的につらい可能性がある
日中の仕事と違い、定期巡回の夜勤は体力的につらい可能性があります。
日中実施している仕事とほぼ同等の仕事内容を夜間に1人で行うからです。経験上、通常の業務と比べて体力的、精神的につらい場面が多くありました。
深夜にご利用者様のご自宅に向かうため、普段と違う景色に見えたり、真っ暗な家の中に入るという恐怖心もありました。ご家族様も寝ているため、音を立てないように介護する必要もあります。そのため、慣れるまでは精神的にも体力的にもつらい可能性があります。
緊急コールも対応しなければいけない
筆者が勤務していた職場は、夜間の稼働職員は1人だけでした。
そのため、緊急コールで、一度も行ったことのないご利用者様のご自宅へ伺うことがよくありました。また、訪問先でトラブルがあったとしても、基本的には1人で対応しなければいけません。
最初は、全て1人で対応しなければいけないというプレッシャーがあるため、きついと感じるかもしれません。しかし、なれていくと手順なども理解でき、対応力も身につきます。この対応力は別の職場でも役に立つため、ぜひ身につけてほしいと思います。
どの現場も1人で対応しなければいけない
これは定期巡回の夜勤に限らず、訪問介護は全て1人での対応です。ただし、夜間は日中以上に助けてもらえません。理由は他の介護職員が稼働していないからです。オペレーターはいますが、あくまでコールを受け取る役割のため現場に来ることはありません。
わからない訪問先があったときは、普段行きなれている人から情報を聞いておいて訪問します。訪問先の特徴や、ご利用者様の様子など気になるところを確認しておきましょう。
定期巡回の夜勤であった体験談
本章では、定期巡回の夜勤で経験した体験談を紹介します。本記事を読んで働いてみたいと思った方や、実際の経験談が気になる方は一読ください。
警察署にご利用者様を迎えに行った話
私が勤務した会社では、夜勤の職員は1人でした。そのため、シフトで決まっている訪問先以外にも、コールがあれば訪問することがあります。この時は、日中に訪問しているご利用者様を、警察に迎えにいくという緊急コールでした。
今まで訪問先へ向かうことはありましたが、警察へ伺うのは初めてでした。警察に保護された理由を聞くと、ご利用者様が夜間に徘徊していたことが原因でした。さらに手に持っていたカバンに、タオルに包まれた包丁が入っていたそうです。
迎えに行ったとき、ご利用者様は怯えた表情で待っていました。誰かに危害を加えたわけではありませんが、危険物を持っていたこともあり警察が保護したとのことでした。その後、ご利用者様に外に出た理由をお聞きしましたが明確な理由はわかりませんでした。
その後、ご自宅までお送りして退室しました。
このような体験ができることも、定期巡回の夜勤ならではかもしれません。
夜の家は昼間と雰囲気が違う
定期巡回の夜勤は、日中の訪問先にも行きます。夜のご自宅は昼間と雰囲気が違い、場所によっては恐怖すら覚えます。ご家族が寝静まっているなか、訪問して介助をするため日中より緊張感も高まります。
とある訪問先では、ご先祖様の写真が上部に並んでいる部屋で介助をしました。そのご自宅は由緒ある家という雰囲気だったため、家も古風だったのを覚えています。それぞれご自宅によって環境が違うため、懐中電灯を持っていくなど対策をするのがおすすめです。
まとめ
定期巡回の夜勤は日中の勤務と違い、個人の介護スキルと対応力が強く求められます。そのため、初心者が従事するのは難しいと言えるでしょう。ある程度、訪問介護で経験を積んでから転職することをおすすめします。
他にも、別の施設などで夜勤を経験してから転職するのもいいかもしれません。色々な業態で介護して、そのなかで定期巡回の夜勤を選ぶのもいいでしょう。介護の仕事は経験値がスキルになるので、いろいろ経験して判断することをおすすめします。
この記事を書いたのは・・・

かきざき/Webライター
保有資格:介護福祉士/終活ガイド1級/エンディングノートセミナー講師/食品衛生責任者
介護福祉士として介護職を13年経験。ライター歴3年。
特養でのユニットリーダー経験や、珍しい定期巡回の経験を活かして記事執筆しています!