
介護職で一人夜勤に不安を抱いている方は多いのではないでしょうか?
- 一人夜勤の仕事内容は?
- 一人夜勤は違法じゃないの?
- 一人夜勤をする際の注意点は?
上記のような疑問を持っている方もいるでしょう。
本記事では、一人夜勤の仕事内容や注意点、メリットやデメリットを、実際に一人夜勤をしている現役介護職が解説します。
一人夜勤をする際に工夫していることも紹介しているので、これから一人夜勤をする方はぜひ参考にしてください。
この記事の内容
介護職の一人夜勤とは?
介護施設では、夜間もご利用者様の生活を守るために職員が勤務しています。
「一人夜勤」は、夜間に職員一人で業務を担当する働き方です。一人夜勤以外にも、2〜3人の介護職で対応する複数夜勤もあります。
本章では、一人夜勤の仕事内容や違法となるケースについて詳しく解説するのでご覧ください。
一人夜勤の仕事内容
介護施設の一人夜勤では、主に以下の業務を担当します。
- 巡回・見守り
- 排泄介助・体位交換
- 夕食介助・朝食準備
- 記録業務
- 緊急対応
ご利用者様に体調不良や急変等がなければ、基本的に巡回や見守り、排泄介助などの仕事がメインです。仕事量は施設によって異なりますが、筆者が働く施設の仕事量は一人でも十分対応可能です。
以下の表では、看護小規模多機能型居宅介護で働く筆者の一人夜勤のスケジュールを紹介しています。
時間 | 仕事内容 | |
16:00 | 出勤・申し送り | |
16:30 | 翌日の薬セット・夕食の準備 | |
17:30 | 夕食(食事介助・服薬介助) | |
18:30 | 口腔ケア・排泄介助・就寝介助 | |
20:00 | 眠前薬の服薬介助 | |
22:00 | 巡回・排泄介助・体位交換 | |
0:00 | 記録業務・翌朝の準備・洗濯等(雑務) | |
1:00 | 巡回・体位交換 | |
2:00 | 仮眠 | |
5:00 | 巡回・排泄介助・体位交換 | |
6:30 | 起床介助・バイタル測定 | |
7:30 | 朝食準備・食事介助 | |
8:30 | 記録業務・申し送り | |
9:00 | 退勤 |
転倒や急な体調不良などの緊急事態が発生した場合、必要に応じて救急車を呼び、家族や管理者へ連絡したりするため、瞬間的に大きな負担を感じる場合があります。
一人夜勤は、突発的なトラブルにも迅速に対応しなければいけないため、冷静な判断力と対応力が求められるでしょう。
一人夜勤が違法になるケース
一人夜勤はすべての施設で認められるわけではなく、状況によっては違法となるケースがあります。たとえば、以下の場合は一人夜勤が違法になるかもしれません。
- 配置基準を満たしていない
- 業務負担が過剰で安全管理が不十分
- 休憩が十分に取れない
- 夜勤手当が適切に支給されていない
- 職員の健康に配慮されていない
厚生労働省によると、特別養護老人ホームの夜勤の人員基準は、ご利用者様の人数に応じて以下のように定められています。
ご利用者様の人数 | 夜勤の人員基準 |
25人以下 | 1人以上 |
26人以上60人以下 | 2人以上 |
61人以上80人以下 | 3人以上 |
81人以下100人以上 | 4人以上 |
そのほか、十分に休憩が取れる勤務スケジュールや一人で行えるよう業務量の管理などを怠ると、労働基準法に違反する恐れがあります。
なお筆者が働いていた特別養護老人ホームの夜勤は、90名のご利用者様を5人の介護職員で対応していました。
介護職の一人夜勤のメリット
介護職の一人夜勤のメリットは、以下の3つです。
- 自分のペースで仕事を進めやすい
- イレギュラーがなければ休憩を多く取れる
- 人間関係に悩まされない
それぞれ具体的な内容を見ていきましょう。
自分のペースで仕事を進めやすい
一人夜勤の大きなメリットは、他の職員と連携する必要がなく、自分のペースで仕事を進めやすい点です。たとえば、巡回のタイミングや記録業務の時間など、自分のやりやすいように仕事を組み合わせられます。
ただし、さまざまな場面で一人で判断することが必要なため、適切な対応力が求められます。
慣れるまでは大変に感じるかもしれませんが、一通り仕事を覚え自分のペースで仕事を進められるようになると、働きやすくなるでしょう。
イレギュラーがなければ休憩を多く取れる
一人夜勤は、ご利用者様の状態が落ち着いており、イレギュラーな業務がなければ自分のタイミングで休憩を取れます。
介護夜勤の主な仕事は、巡回や見守り、排泄介助のため、突発的な事故やご利用者様の急変がない場合、そのほかの時間は比較的自由に過ごせます。
一人夜勤を10年以上経験している筆者も、ご利用者様が落ち着いている日は、十分に休憩を取れるため体力的不安を軽減できています。日によっては日勤よりも負担が少ないと感じることもあるでしょう。
人間関係に悩まされない
介護業界では、多くの職員が「人間関係」を理由に退職しています。一人夜勤の場合は、他の職員とかかわることがほとんどないため、人間関係に悩まされないメリットがあります。
日勤では、必ず複数の職員が一緒に働くため、意見のぶつかり合いや他の職員に対する不満などが生じやすい傾向です。
ただし、夜勤ばかりだと職場での相談相手を作りにくく、孤独を感じることもあるでしょう。
介護職の一人夜勤のデメリット
介護職の一人夜勤のデメリットは、以下の3つです。
- すべての業務を一人で行うため負担が多い
- ハプニングがあると休憩を取れない可能性がある
- 一人であるという不安感が常にある
それぞれ具体的な内容を確認しましょう。
すべての業務を一人で行うため負担が多い
介護施設の夜勤は、巡回や見守り、排泄介助など単純作業がメインですが、すべての業務を一人で行うことに負担を感じる場合もあります。日勤のように他の職員と仕事を分担できないため、一人あたりの業務量が多くなるのは仕方ありません。
ただし、休憩を十分に取れないほど業務負担が大きい場合は、仕事量を適切に管理されていない可能性があるため、勤務スケジュールや仕事量の見直しが必要です。
筆者の職場では、毎月職員ミーティングを行い、夜勤の仕事量について定期的に見直す機会を設けています。
ハプニングがあると休憩を取れない可能性がある
一人夜勤のメリットとして、業務が落ち着いていれば休憩を多く取れますが、その反面、ハプニングがあると休憩時間を確保できない可能性があります。
たとえば、夜間ご利用者が急変し医療機関との連携やご家族への連絡等、緊急対応が必要になると、休憩する暇はありません。実際に筆者も、ご利用者様が転倒し救急車を呼んだ際は、休憩を十分に取れず、気づいたら夜が明けていました。
ハプニングなく通常業務にもかかわらず、休憩が取れない場合は、仕事量やスケジュールに問題があるかもしれないため、夜勤の勤務スケジュールを見直すことが大切です。
一人であるという不安感が常にある
一人夜勤では、何かトラブルが起きた際にすぐに助けを求められる相手がいないため、常に緊張感を持って働く必要があります。一人夜勤に慣れていないと、自分しかいないという状況で、不安感やプレッシャーにつながる恐れもあるでしょう。
ご利用者様が転倒や急変などで緊急事態が必要になった場合、一人で判断し行動しなければいけないことに不安を感じる方もいます。
不安感は経験とともに徐々に薄れていく可能性が高いため、少しずつ経験を積み重ねれば、一人夜勤でもストレスなくできるようになるでしょう。
介護職が一人夜勤をする際の注意点
介護職が一人夜勤をする際は、以下の点に注意しましょう。
- 緊急時の対応方法を確認する
- 余裕を持ったスケジュールで仕事を進める
- 休めるときにしっかり休む
ストレスなく一人夜勤をする上で重要なポイントなので、一人夜勤をする方はぜひ参考にしてください。
緊急時の対応方法を確認する
一人夜勤では、ご利用者様の急変や転倒などの緊急事態が発生しても、自分一人で迅速に対応しなければなりません。そのため、事前に緊急時の対応マニュアルを確認し、いざというときに適切な判断ができるよう準備しておくことが重要です。
たとえば、緊急時の連絡体制を把握しておき、上司や家族、救急車など適切な順序で報告することが必要です。
はじめて一人夜勤をする際は、事前に緊急時の対応をシミュレーションしておくと、実際の場面でも落ち着いて対応できるでしょう。
介護夜勤の緊急時の対応については、以下の記事で詳しく解説しています。落ち着いて対処するための方法を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
余裕を持ったスケジュールで仕事を進める
一人夜勤では、すべての業務を一人で行う必要があるため、スケジュール管理がとても重要になります。余裕を持ったスケジュールを立てて、計画的に業務を進めることで、焦らずに対応できるようにしましょう。
たとえば、巡回の時間や排泄介助のタイミングは、あらかじめ決められた時間より少し早めに行うことで、予期せぬ事態に備えて時間に余裕を持てます。
また、記録業務や翌日の物品準備などの夜勤業務を効率よく進めておくことで、ご利用者様への介助を余裕を持って行えるでしょう。
休めるときにしっかり休む
一人夜勤では、勤務中に休憩を確保できないこともあります。長時間勤務の夜勤で休憩が取れないと疲労が溜まり、判断力が低下し、思わぬ事故につながる恐れがあります。
そのため、仕事が落ち着いているときは、できるだけ身体を休め体力を温存させておきましょう。
まとまった時間で休憩が取れなくても、業務の合間に短時間でも座ったり横になったりして休むことで、体の疲れは取れます。筆者の職場も決められた時間に休憩を取るわけではなく、落ち着いている時間を使って自分で休憩時間を確保しています。
現役介護職が一人夜勤をする際に工夫していること
現役の介護職である筆者が、一人夜勤をする際に工夫している3つのことを紹介します。
- 自分が仕事しやすいよう段取りをする
- 落ち着いている日は十分に仮眠を取る
- 空いた時間で昼間できない仕事をする
一人夜勤をする方に参考になる内容なので、ぜひ参考にしてください。
自分が仕事しやすいよう段取りをする
一人夜勤ではすべての業務を一人で行うため、自分が仕事しやすいよう効率よく段取りを決めることが重要です。
基本的に巡回や排泄時間はある程度決まっていますが、記録業務や翌日の物品準備、洗濯等は夜勤職員の裁量に委ねられています。そのため、早めにできる業務は事前に行うことが、余裕を持って夜勤を進めるポイントです。
夜勤は長いように感じますが時間は限られているため、効率的に業務を進めないと時間に余裕がなくなります。筆者も雑務を後回しにしたことで、朝方焦って業務をした経験があります。
落ち着いている日は十分に仮眠を取る
一人夜勤では長時間の勤務が続くため、できるだけ体を休めることが大切です。とくに、ご利用者様の状態が安定しており、業務が落ち着いている日は、横になり仮眠を取ることをおすすめします。
業務スケジュール上では、休憩時間は1時間に定められている職場もありますが、長時間の夜勤で1時間の休憩ではキツいのが正直なところです。
そのため、落ち着いている日は自己判断で仮眠時間を確保し、体をしっかり休めましょう。ただし、熟睡してご利用者様の対応に支障が出ないよう、ナースコールはすぐに対応できるようにしておくことが重要です。
空いた時間で昼間できない仕事をする
一人夜勤では、基本的にご利用者様は寝ており、職員同士の連携も必要ありません。そのため、空いた時間を活用して勉強会の資料作成やご利用者様のサマリー確認など、昼間できない仕事を進めることが可能です。
筆者の場合は、介護職とケアマネを兼務しているため、夜勤の時間を活用し、アセスメントやモニタリングなどのケアマネ業務をしています。
夜勤中に昼間できない仕事をすることで、残業時間を削減できるため、職場全体の業務効率化も期待できます。
介護職の一人夜勤に関するよくある質問
介護職の一人夜勤に関するよくある質問は、以下の3つです。
- 一人夜勤はきついですか?
- 一人夜勤をするならどの介護施設がおすすめですか?
- 一人夜勤はいきなり一人でやらされますか?
それぞれわかりやすく回答しているので、ぜひ参考にしてください。
一人夜勤はきついですか?
一人夜勤は、施設の環境やご利用者様の状態によって負担が異なります。比較的安定したご利用者様が多い施設では、業務が落ち着いている時間もあり、負担は少ないかもしれません。
しかし、要介護度が高い利用者が多い施設では、頻繁な介助やナースコール対応が必要となり、体力的にも精神的にも負担が大きくなります。
あくまで筆者の個人的見解ですが、特養や老健のような大規模な施設は業務負担も大きくキツいと感じました(大規模な施設は複数人の夜勤ですが1フロアを一人で対応します)
一方で、グループホームや小規模多機能型居宅介護などのような小規模の施設は、ご利用者様の人数も少なく大規模な施設に比べると負担は軽い印象です。
一人夜勤をするならどの介護施設がおすすめですか?
筆者の経験上、小規模な施設のほうが業務量は少ないように感じます。ただ、大規模な施設の場合、フロアごとに分かれた一人夜勤のため、何かあれば他のフロア職員に助けを求めることができる安心感があります。
そのため、一人夜勤をする施設を選ぶ際は、施設形態や規模よりも夜勤の勤務体制や緊急時のサポートが整っているなどの点に注目しましょう。
夜勤の勤務状況は実際に働かないとわからないため、面接時に夜勤の様子を聞いたり、エージェントを活用し、夜勤に関して情報収集するのがおすすめです。
一人夜勤はいきなり一人でやらされますか?
基本的に、一人夜勤を初めて担当する際はいきなり一人で任されることはありません。多くの施設では、一定期間の同行研修があり、先輩職員と一緒に業務の流れを学びながら慣れていく形が一般的です。
研修を通して一人で夜勤できると判断されれば、本格的に一人での夜勤が始まります。筆者の施設では、最低3回ほど同行研修をして、一人夜勤が可能かどうか判断しています。
ただし、施設によっては研修期間が短かったり、十分な指導がないまま一人夜勤を任されるケースもあるため、不安な場合は正直に上司に伝えましょう。筆者の場合、経験者ということもあり、中途入社した職場で指導なく夜勤をした経験はありますが、稀なケースと言えるでしょう。
まとめ
介護職の一人夜勤は、一人ですべての仕事をしなければいけないため、負担に感じることもあります。しかし、自分のやりやすいように業務スケジュールを決められるため、一人で仕事をするのが好きな人には向いている働き方です。
一人夜勤をする場合、どのような施設で働くかは非常に重要です。緊急時の体制や仮眠室の設置などが整っている施設がいいでしょう。
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この記事を書いたのは・・・

津島 武志/Webライター
保有資格:介護福祉士/介護支援専門員/社会福祉士
業界17年目の現役介護職兼ケアマネージャー。
さまざまな介護系メディアでWebライターとしても活動し、多くの検索上位記事を執筆。
介護職以外に転職メディア「介護士の転職コンパス」や自身のライフスタイルや介護系コンテンツを発信するYouTubeチャンネル「かいご職TV」等を運営。