主任ケアマネジャーの年収は高い?収入アップの方法もあわせて紹介

主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)の年収は、介護支援専門員の年収と比べてどのくらい違うのか、興味を持ったことはありませんか。

主任ケアマネジャーは、介護支援専門員と比べ、高いスキルや豊富な経験を兼ね備えた介護保険制度のスペシャリストです。

本記事では、主任ケアマネジャーの年収や、なり方、収入アップの方法や、就職時のメリットなどをくわしく解説しています。
この記事を読み終えたら、自分には主任ケアマネジャーの受講資格があるのか考えてみたり、転職するのもいいかもと、感じているかもしれません。
主任ケアマネジャーについての基本的な情報を知る事が出来れば、面倒な研修や決して安くない受講料についての不安感はなくなるでしょう。

主任ケアマネジャーの取得を真剣に考えている筆者が、希少性の高い主任ケアマネジャーを目指すに当たって、くわしく紹介します。
ぜひ、ご一読ください。

主任ケアマネジャーとは

主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)とは、介護支援専門員(ケアマネジャー)の上位資格です。
資格の認定などを管轄するのは、都道府県です。

主任ケアマネジャーは、介護支援専門員のまとめ役となり、下記のような幅広い業務内容をこなす必要があります。

  • ケアマネジャーの教育や指導・相談対応
  • 地域包括ケアシステムの構築
  • ケアプランの作成支援
  • 困難事例の対応

上記以外にも、ご利用者様や介護支援専門員のために、多岐にわたる支援業務を担当します。

主任ケアマネジャーが活躍する職場は、以下のようにさまざまです。

  • 地域包括支援センター
  • 居宅支援事業所
  • 介護老人福祉施設(特養)
  • 介護医療院
  • 小規模多機能型居宅支援事業所

上記のそれぞれの事業所種別で、業務内容は少しずつ異なります。

さらに主任ケアマネジャーは、地域の介護支援専門員を教育する役割もあるため、事業所での業務以外にも特別な業務を引き受けることがあります。
外部に赴き、勉強会などの講師をしたり、地域のイベントなどで、事業所間の情報共有に一役買ったりと、重要な役割も担っています。

主任ケアマネジャーの年収相場

主任ケアマネジャーの年収相場は、介護支援専門員と比較してどの程度の差があるのかを紹介します。

上記は主任介護支援専門員の資格を有している場合と、そうでない場合の年収を比較した表です。
大半の年収範囲では、主任介護支援専門員の資格を有している場合の方が、高年収になっています。

このデータから読み取れることは、主任介護支援専門員の資格を保有している場合の年収の方が、広い範囲で介護支援専門員を上回っているということです。
介護支援専門員の年収範囲は250~400万円であるのに対し、主任ケアマネジャーの年収範囲は、300~450万円となっています。

以上のことから、主任ケアマネジャーは介護支援専門員よりも年収はやや高い傾向にありますが、大きく年収が異なるわけではなく、数パーセント程度の年収差があるといえます。

主任ケアマネジャーになるための要件

主任ケアマネジャーは介護支援専門員とは異なり、試験に合格して研修を受けることで取得できる資格ではありません。
主任ケアマネジャーは、要件を満たし、都道府県で定められた講習を受講すれば取得できる資格です。

ただし、受講要件については、都道府県によって少しずつ異なる部分もあり、やや複雑です。
本章では、現役介護支援専門員の筆者が登録している愛知県を例にご紹介します。
愛知県で主任ケアマネジャーの資格を取得する際に、必要な受講要件は、共通要件個別要件の2つあります。

1つずつみていきましょう。

共通要件

共通要件は、受講者すべての人がクリアしなければいけない要件です。

①利用者の自立支援に資するケアマネジメントが実践できていると認められる者
②「介護支援専門員専門研修実施要項」に基づく専門研修研修課程Ⅰ及び専門研修課程Ⅱまたは「介護支援専門更新研修実施要綱」の3の⑶に基づく実務経験者に対する介護支援専門員更新研修を修了した者

※引用:令和6年度主任介護支援専門員研修受講のご案内|公益財団法人愛知県シルバーサービス振興会

上記を簡単に説明します。

  • 介護支援専門員として従事している、または従事した経験がある
  • 更新研修を受講し、有効期限が残っている
  • 過去に自身が担当したケースについてケアプランに関する書類を一式提出できる

共通要件として、まずは上記の点を確認する必要があります。

個別要件

個別要件については、5つのうちいずれか1つの要件が当てはまれば受講資格があると見なされます。

①専任(常勤・専従)の介護支援専門員として従事した期間が通算して5年(60ヶ月)以上である者
②ケアマネジメントリーダー養成研修を修了した者又は日本ケアマネジメント学会が認定する認定ケアマネジャーであって、専任(常勤・専従)の介護支援専門員として従事した期間が通算3年(36ヶ月)以上である者
③地域包括支援センターに、主任ケアマネジャーに準ずる者として配置されている者
④地域包括支援センター又は在宅介護センターでの経験を有し、新たに地域包括支援センターで主任介護支援専門員として配置が予定されている人者であって、専任・兼任を問わず介護支援専門員として従事した期間が通算5年(60ヶ月)以上であり、市町村長が推薦する者
⑤県又は県が指定する研修期間が実施する介護支援専門員を対象とした研修において、講師を務めた経験を有し、又は現に講師を務めているも斧で合って、専任・兼任を問わず介護支援専門員として従事した期間が通算で5年(60ヶ月)以上である者

※参照:令和6年度主任介護支援専門員研修受講のご案内|公益財団法人愛知県シルバーサービス振興会

上記の個別要件については、自分がどれに当てはまるかをしっかりと確認しましょう。分からない場合は、管轄の窓口に相談してみてください。

研修カリキュラム

研修のカリキュラムは、全12日間で合計70時間となります。

1~3日目オンラインでの講義
4~12日目集合研修にて事例検討会やワークショップ

カリキュラムの流れについては、介護支援専門員の更新研修などと同様ですが、内容については、主任ケアマネジャーの業務に特化し、スキルアップできる内容になっています。

介護支援専門員に対する指導や監督する際の方法、個別事例を通した介護支援専門員に対する支援展開など、より実践的な指導内容となっています。

主任ケアマネジャーが年収アップできる4つの方法

主任ケアマネジャーは、ケアマネジャーの上位資格であることから、一般的に介護支援専門員より年収が高い傾向になります。
その中でも、さらに年収アップが見込める方法を4つ紹介します。

  • 管理職に就く
  • 希望に沿う職場に転職する
  • 独立する
  • 介護現場とWワークする

1つずつみていきましょう。

管理職に就く

主任ケアマネジャーの就職先として、特に多く募集があるのが、居宅介護支援事業所です。
居宅介護支援事業所に配属される主任ケアマネジャーは、管理者になる打診を受ける可能性が高いです。
なぜなら、2027年4月から、居宅介護支援事業所の管理者については、主任ケアマネジャーである必要があるからです。

2025年の現在は、経過措置中であり、事業所が管理者に主任ケアマネジャーを配置するための準備期間となっています。
そのため、主任ケアマネジャーで年収アップしたいと考える方は、この機会に管理者にチャレンジしてみてもいいかもしれません。

管理者になれば、管理職手当・役職手当などが支給され、年収アップが期待できるでしょう。

希望に沿う職場に転職する

主任ケアマネジャーとして年収をアップしたいのであれば、思い切って自分の希望に沿う事業所に転職することを考えても良いでしょう。

主任ケアマネジャーとして転職先を決める際、急な業務依頼や、休日出勤などの詳細を確認する必要があります。

主任ケアマネジャーは、困難事例などを担当する場合があるため、さまざまな急用で呼び出しが掛かったり、昼夜問わずにご利用者様やご家族様から連絡が入ることもあります。
そういった場合の対応は自分でしなければならないのか、担当の介護支援専門員に任せることになるのか、自分の管轄範囲をしっかりと把握し、納得してから転職に踏み切ることをおすすめします。

独立する

主任ケアマネジャーは、介護支援専門員として高いスキルを持ち合わせているため、自身で居宅支援事業所を立ち上げてみるのも良いと思います。
ケアマネジャーの業務はご利用者様に対して担当制であるため、最低1人の介護支援専門員からでも居宅支援事業所を運営することは可能です。

さらに、自分の事業所なので、自分が理想とする業務ができます。
担当するご利用者様の人数によっては、年収が大きくアップする可能性も大いにあります。
興味がある方は、一度検討してみてはいかがでしょうか。

介護現場とWワークする

主任ケアマネジャーの業務は、主に日勤帯になります。
主任ケアマネジャーとして年収をアップする方法の1つに、夜間帯に勤務をする夜勤専門の介護職員と兼務する手段があります。

特に居宅の事業所で主任ケアマネジャーをしている人は、他の事業所で夜勤専従の介護職員として勤務をすれば収入になるため、年収が上がるといえます。

一般的に、夜勤専従の介護職員の場合、1ヶ月に何回夜勤をしたかという回数制で給与が支払われる事業所が多く、出勤回数を調整出来る場合が多いです。

主任ケアマネジャーとして配置されている事業所への申し出をする必要があったり、自身の体調管理を十分にする必要はありますが、無理なく兼務できるような環境であれば年収アップの手段として検討してみてもいいかもしれません。

主任ケアマネジャーになる3つのメリット

介護支援専門員から主任ケアマネジャーになることにはメリットがあります。

以下の3つのメリットについて紹介します。

  • キャリアアップができる
  • スキルが十分であることの証明になる
  • 需要が高い

1つずつみていきましょう。

キャリアアップができる

上記でも紹介したように、主任ケアマネジャーは、介護支援専門員の上位資格です。

主任ケアマネジャーは、地域で対応が難しい困難事例といわれる、介護サービスの提供に問題があったり、支払い能力に問題がある方などの担当を依頼されることがあります。
また、主任ケアマネジャーとして経験を積むと、役所などの行政から介護認定を受ける高齢者の方を直接紹介されることもあります。

行政から直接声が掛かることでご利用者様の人数が確保できるため、自身で居宅支援事業所を立ち上げて独立運営をすることも可能です。

さらに、その後も居宅支援事業所の運営を起点に、地域に密着した新規事業をはじめられる可能性もあり、自分自身のキャリアアップも見込めるでしょう。

スキルが十分であることの証明になる

主任ケアマネジャーになるためには、介護支援専門員として就業している期間の経験値が重要です。
そのため、一般的には「主任ケアマネジャーである」というだけで、通常の介護支援専門員よりも高いスキルを持っているという証明になります。

主任ケアマネジャーであるということは、自分が高いスキルを持ち合わせている人材であることを提示でき、相手に対して安心感や期待感を与えることができるのではないでしょうか。

需要が高い

事業所は、主任ケアマネジャーの全体数が少ないことから、優秀な主任ケアマネジャーを確保することが困難になっています。
主任ケアマネジャーの全体数が少ない理由としては、受講要件が比較的厳しいことや、更新研修に手間と費用がかかることに大きなデメリットを感じる人が多いからと考えられます。

主任ケアマネジャーの更新研修も、介護支援専門員の更新研修と同様に5年ごとに更新が必要です。
そのため、主任ケアマネジャーは、2つの更新研修を交互に受講しなければいけません。
この手間や費用が大きなデメリットとなり、全体数が伸び悩んでいるのではないかと思われます。

また、こちらの章でも説明したように、2027年4月から居宅介護支援事業所の管理者が主任ケアマネジャーであることが完全義務化されることも需要が高い理由になっています。

このようなことから、主任ケアマネジャーの人材確保をしたい事業所が多くあるため、需要度が高くなっているといえます。

主任ケアマネジャーについてよくある質問

本章では、主任ケアマネジャーについて、よく聞かれる質問と回答を紹介します。

主任ケアマネジャーの資格手当は?

主任ケアマネジャーの資格手当は、事業所の種別や規模によって大きく異なります。
月々5,000~25,000円と幅は大きいです。

しかし、主任ケアマネジャーの求人の多くが正社員を募集するものになっており、資格手当というよりも月々の基本給を高くする事で、対応している事業所も多くあります。

認定ケアマネと主任ケアマネジャーの違いは?

認定ケアマネジャーとは、日本ケアマネジメント学会が運営する介護支援専門員のスキルアップを目的とした民間資格のことです。
それに対して主任ケアマネジャーは、都道府県が担当している公的資格です。

認定ケアマネジャーは、一般的な介護支援専門員であり、主任ケアマネジャーは上位資格であるため、2つは異なる職種です。

主任ケアマネジャーの必要性は?

厚生労働省は、主任ケアマネジャーの役割や必要性について、「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」を通じて検討を進めています。

主任ケアマネジャーは、居宅介護支援事業所や地域包括支援センターにおいて、介護支援専門員への指導・育成、地域包括ケアシステムの構築支援など、専門性の高い役割を担っています。
そのため、職種の位置付けや研修制度、評価方法の明確化が求められています。

必要性が高いからこそ、社会に向けて主任ケアマネジャーという職種の役割の位置づけをしっかりと理解してもらう必要があるのではないでしょうか。

まとめ|主任ケアマネジャーの将来性について

主任ケアマネジャーは、今後の日本社会にとって重要な役割を担っています。
ですが、課題もあります。

介護保険制度上の正しい位置付けをすることや、研修制度の充実などを成長させ、主任ケアマネジャーの社会的ポジションを築くことで、日本の将来においての重要性を持つ職業になるのではないでしょうか。

主任ケアマネジャーは、社会的なポジションの確立が伴うことで、付随して年収アップが見込める職業です。

本記事を読了した現在介護支援専門員として勤務されている方は、日本の将来で必要性の高い主任ケアマネジャーに挑戦するメリットが理解できたのではないでしょうか。

これを機会に、主任ケアマネジャーにチャレンジしてみることをおすすめします。

介護転職のミカタでは、これから介護支援専門員として益々スキルアップやキャリアアップしたい方に寄り添ったサポートで、ご希望に沿った求人を紹介しています。

サービスはすべて無料なので、いつでも気軽に相談してみてください。

この記事を書いたのは・・・

小玉 有紀/Webライター

保有資格:介護福祉士/介護支援専門員/介護事務士
福祉系専門学校を卒業したのち、老健で介護福祉士として6年勤務。生活相談員を経験したのち、ケアマネージャーとして5年経験。現在は育児のかたわらライターとして活動中。