サ高住の主な仕事内容は安否確認と生活相談?実際の業務をプロが解説

介護の仕事は続けたいけど身体的な負担を減らしたい
サ高住は身体的な負担が少ないの?

サ高住は、サービス付き高齢者向け住宅の略称で、高齢者が住みやすいようにバリアフリーの設計になっている賃貸住宅です。60歳以上の高齢者や、60歳未満で要介護認定を受けている人が入居の対象の住まいです。自立している方が多く入居しているため、身体的な負担軽減のために転職を検討する方もいるでしょう。

本記事では、サ高住の仕事内容や1日のスケジュール、サ高住で働くメリットでメリットについて解説します。身体的負担の軽減を考えてサ高住への転職を検討している方はぜひ参考にしてください。

サ高住には一般型と介護型がある

サ高住は、高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)に規定されています。国土交通省と厚生労働省が共同で管轄しており、形態は一般型と介護型の2種類あります。

一般型サ高住・自立した生活が可能な高齢者や軽度の介護が必要な方が対象
・サ高住の約9割が一般型
・訪問介護やデイサービスなどの介護サービスが必要な場合は外部のサービスを利用する
介護型サ高住・要介護認定を受けている方を対象とした住まい
・有料老人ホームのような「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている
・スタッフが24時間在中し、介護サービスは施設内のスタッフが提供する
・食事、入浴、排泄などの介護サービスは施設内のスタッフが提供する


一般型と介護型では、提供するサービスが大きく異なるため、転職先を探す際は、どちらの形態のサ高住なのか、よく確認しましょう。

サ高住の介護職員の仕事内容

サ高住に求められている基本サービスは安否確認と生活相談ですが、実際の介護職員の仕事内容は施設によって大きく異なります。多くのサ高住では訪問介護やデイサービスを併設しており、介護職員はこれらのサービス提供も担当することが多いです。

ここでは、一般型のサ高住における基本的な仕事内容について解説します。

なお、介護型のサ高住や、併設される訪問介護事業所と兼務の場合の仕事内容は、有料老人ホームと類似しているため、下記記事を参照してください。

安否確認

サ高住には1日1回以上の安否確認が義務付けられています。安否確認の方法は施設によりさまざまですが、代表的な方法は以下の通りです。

  • 入居者の居室に直接訪問する
  • 共用スペースや食事時間を利用してコミュニケーションを取りながら状況把握する
  • 見守りセンサーなどの機器を活用する

サ高住の介護職員は、定期的に安否確認をすることで、健康確認をしたり、緊急時には医療機関へ連絡をつないだりする役割を担っています。

生活相談

生活相談は日常生活における困りごとの相談や、介護・医療サービスの利用に関する相談への対応のことです。
新たな介護サービスの利用相談や部屋の電球交換、スマホの使い方などの生活支援や、入居者だけではなく、家族からの相談にも対応する必要があります。他にも、買い物代行や掃除・洗濯などの家事援助をおこなうこともあります。

夜勤業務

一般型のサ高住では、夜勤の介護職員の配置は定められていません。しかし、約9割の施設がコール対応や緊急時のスムーズな対応のため、夜勤か宿直のスタッフを配置しているのが現状です。そのため、転職を考える際は、夜勤や宿直の有無や実際の仕事をよく確認する必要があります。

とはいえ、入居者は自立している方が大半のため、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの施設と比較すると、サ高住の夜勤の身体的負担は少ないでしょう。

その他の仕事内容

その他の仕事内容として、窓口での来客対応や電話対応、書類作成などがあります。また、共用スペースの清掃や施設内の衛生管理も重要な業務です。

多くのサ高住では、入居者の健康維持や交流促進を目的とした体操やゲーム、サークル活動などのレクリエーションも実施しており、企画から実施、後片付けまでを担当します。施設によっては食事提供の補助や洗濯支援といった生活支援サービスもおこなっています。さらに、介護サービス事業所や医療機関との連携も欠かせない業務となっています。

サ高住の人員配置基準

サ高住の人員配置基準も一般型と介護型で異なります。それぞれ見ていきましょう。

一般型

一般型の人員配置は細かく決められているわけではありませんが、以下のような「ケアの専門家」の配置が必要です。

  • 社会福祉法人・医療法人・指定居宅サービス事業所等の職員
  • 医師
  • 看護師
  • 介護福祉士
  • 社会福祉士
  • 介護支援専門員
  • 介護職員初任者研修課程修了者

これらいずれかの職種のスタッフが、少なくとも日中は建物内に常駐し、サービスを提供しています。

介護型

介護型のサ高住は特定施設入居者生活介護の指定を受けているため、介護付き有料老人ホームと同じ人員配置基準になります。法律で配置が定められている職種は以下の通りです。

  • 管理者
  • 看護師
  • 生活相談員
  • ケアマネジャー
  • 機能訓練指導員

介護型のサ高住では、施設のスタッフが介護サービスを提供するため、必要な人員を配置するよう義務付けられています。

サ高住(一般型)の1日のタイムスケジュール

一般型のサ高住で介護職員がどのように働いているのか、以下の1日のタイムスケジュール例をご参照ください。

時間仕事内容
9:00出勤、夜勤職員から申し送り、当日のスケジュール確認
10:00居室の清掃・見回り安否確認
11:00事務作業
12:00昼食の声かけ
13:00休憩
14:00生活相談などの入居者対応
15:00レクリエーション
16:00事務作業
17:00夕食の声かけ
18:00申し送り、退勤

日勤のスケジュールは、その施設がどこまでのその他のサービスを提供しているかによって異なります。デイサービスや訪問介護事業所を併設している場合、そちらの業務も同時におこなう場合もあるでしょう。

介護型のサ高住の1日の流れは、介護付き有料老人ホームに似ているため、こちらの記事をご参照ください。

サ高住で働く3つのメリット

サ高住で働く際のメリットは以下の3点です。

  1. 接遇スキルが向上する
  2. 入居者とコミュニケーションが取れる
  3. 身体的負担が少ない場合が多い

ひとつずつ見ていきましょう。

1.接遇スキルが向上する

サ高住で働くと、自然に接遇のスキルが向上します。理由は、日常の入居者との会話だけでなく、来客対応や電話応対などの機会が数多くあるからです。
入居者やご家族との丁寧なコミュニケーションを取るには接遇スキルが必要なため、仕事をしながら自然に身につけられるでしょう。

2.入居者とコミュニケーションが取れる

サ高住には自立度の高い入居者が多いため、会話を楽しみながら仕事をする機会が豊富にあります。日常的な関わりのなかで信頼関係を築き、レクリエーションや生活相談を通じて深いコミュニケーションを取ることが可能です。
入居者から直接感謝の言葉をもらえることも多く、やりがいを感じやすい環境と言えるでしょう。

3.身体的負担が少ない場合が多い

サ高住の入居者の多くは自立度が高く、介護度の低い方が中心です。主な業務は安否確認と生活相談であり、身体介護の機会は、他のサービス種別と比べると少ないでしょう。
一般型場合は、介護が必要な場合でも、外部の介護サービスを利用するため、腰痛などのリスクも低く、体力に不安がある方でも安心して働ける環境です。

サ高住で働く3つのデメリット

サ高住で働く際にはメリットだけでなく、以下のようなデメリットもあります。

  • 給与面での不安
  • 介護技術が身につきにくい
  • 施設により介護業務の負担に差がある

以下で詳しく解説します。

1.給与面での不安

介護職員の処遇改善が進んでいる最中ですが、一般型で介護業務のないサ高住の介護職員は介護職員等処遇改善加算の対象外です。これは、一般型のサ高住で提供するサービスが介護保険サービスでないため、介護報酬の請求自体がないことが理由です。
また、夜勤はあるものの宿直としてカウントしている場合もあり、手当が夜勤よりも少ないこともあります。そのため、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などから、身体的負担の軽減や入居者との関わりを増やしたいと思い転職する場合、給与が減ってしまう可能性があります。

2.介護技術が身につきにくい

一般型のサ高住の入居者は自立度の高い方が中心で介護技術をみがく機会が限られます
身体介護の機会が少なく、介護が必要な場合も外部サービスを利用するため、移乗や入浴介助などの技術を活かす機会がほとんどありません。そのため、介護技術をみがきたい方には物足りない可能性があります。
その場合は介護型のサ高住やその他の介護サービス事業所を選択した方がよい場合もあります。

3.施設により介護業務の負担に差がある

サ高住は施設によって運営方針が大きく異なるため、業務内容や負担にも差が生じます。介護をほとんど行わない施設もあれば、手厚い介護サービスを提供していたり、併設の訪問介護事業所やデイサービスと兼務となる施設もあり、事前の説明と実際の業務内容が異なることもあるでしょう。
たとえば、事務作業中心と思っていたのにデイサービスでの介護業務が多いなど、想定外の負担を感じることもあります。
そのため、入職前には施設見学や職場体験を活用し、具体的な業務内容や運営方針をしっかり確認することが重要です。

サ高住の仕事内容が向いている人の特徴3選

サ高住の仕事が向いているのは以下のような方です。

  1. 入居者との関わりを増やしたい人
  2. 接遇や事務経験を活かしたい人
  3. ワークライフバランスを重視したい人

ひとつずつ解説します。

1.入居者との関わりを増やしたい人

サ高住では、自立度の高い入居者が多いため、日常的な会話や相談を通じて深い信頼関係を築くことが可能です。
生活相談では入居者一人ひとりの暮らしをサポートし、レクリエーションを通じて楽しく交流する機会も豊富にあります。入居者としっかり向き合い、コミュニケーションを大切にしたい方に特におすすめの職場といえるでしょう。

2.接遇や事務経験を活かしたい人

サ高住では、来客対応や電話応対、各種書類の作成など、接遇スキルや事務能力を存分に活かせます。入居者やご家族への丁寧な対応はもちろん、記録管理やPC作業なども重要な業務となります。
そのため、接客業や事務職からの転職者も、これまでの経験を活かしながらスムーズに活躍できる環境と言えるでしょう。

3.ワークライフバランスを重視したい人

サ高住は介護度の低い入居者が中心で、夜勤も比較的身体的な負担が少ないでしょう。
そのため、体力面での不安がある方や、家庭との両立を目指す方にも働きやすい職場です。介護の仕事を続けながら、プライベートも大切にしたい方に適した環境といえます。

サ高住の仕事内容を理解して、自分に合った働き方を見つけよう

サ高住は、高齢者向けのバリアフリーの賃貸住宅で、安否確認と生活相談が基本サービスですが、実際の仕事内容は施設によって大きく異なります。
多くの施設で訪問介護やデイサービスを併設しており、介護業務も担当します。身体的負担は比較的軽く、入居者とのコミュニケーションも豊富です。
ただし、給与面での不安や施設による業務内容の差があるため、転職の際は施設の運営方針や具体的な仕事内容をしっかり確認することが大切です。自分に合った環境で長く働き続けるために、施設見学などを活用しましょう。

自分に合った職場を探すときには、転職支援サイトの活用が有効です。「介護転職のミカタ」では、専門のコンサルタントが施設探しから入職までのサポートをしてくれるため、安心して転職活動を進められます。サービス利用は無料なので、まずはお気軽にご相談ください。

この記事を書いたのは・・・

さとひろ/Webライター

保有資格:ケアマネジャー/社会福祉士/介護福祉士/公認心理師
介護業界で22年の経験をもつ、特別養護老人ホームの現役ケアマネジャー兼生活相談員。介護職員・ケアマネジャー・生活相談員としての経験をもとにわかりやすい記事を執筆します。