介護施設の外出レクおすすめ5選|注意点と流れも解説

介護施設で勤務していると、施設内で長い時間を過ごされているご入居者様から「たまには買い物に行きたい」「おいしいものが食べたい」などの声を聞くことも多いのではないでしょうか。

そのようなご入居者様に喜んでいただくために、外出レクリエーションは有効な方法です。

本記事では、10年以上介護施設に勤務してきた筆者の体験談をもとに、外出レクの実施方法や成功のポイントについてご紹介します。
外出レクリエーションの実施方法や行き先に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

介護施設の外出レクとは?

介護施設では、1人で外出が難しいご入居者様をさまざまな場所へお連れするレクリエーションがあります。

外出レクは多くのご入居者様に人気があり、施設生活における大きな楽しみのひとつとなっています。

外出レクで喜ばれるおすすめの行き先5選

本章では、介護施設で生活されるご入居者様に喜ばれる行き先を5つ紹介します。

  • 外食
  • 散歩
  • 季節ごとの花見
  • 買い物
  • 催し物やイベント

メリットや筆者の現場エピソードも交えながら、それぞれ紹介します。

外食

ご入居者様から特に人気がある外出レクのひとつが外食です。
施設で毎日3食を召し上がるご入居者様にとって、同じ環境での食事が続くと変化が少なく感じられることもあります。

そのため、外出して自分の好きな物を楽しめる機会は、特別な時間となります。

メリット

施設の食事環境では食欲が湧かず、摂取量が少なくなってしまうご入居者様も珍しくありません。

外出することで、普段とは異なる場所や雰囲気の中で食事を楽しめるようになり、食欲の向上につながることがあります。また、自分で食べたいものを選べる点も大きな魅力です。

外出レクによる外食は、ご入居者様の栄養摂取にも有効といえます。

現場エピソード

ご入居者様から人気の高い外食先に、回転寿司があります。
企画時に希望を伺うと、「寿司がいいな」といった声が多く聞かれました。

回転寿司は、数人でお連れしてもそれぞれのペースで食事ができるため、満足度が高く外食レクとしてよく企画していました。

少食のご入居者様でも、普段より多く召し上がる様子が見られ「もう食べれない」と満腹になるまで楽しまれていたことが印象的でした。

散歩

身体を動かすことが好きなご入居者様には、運動目的の散歩がおすすめです。
施設内での生活が中心になると、運動する機会が少なくなります。

一方で、施設入居前から日常的に運動していた方や「体を動かしたい」と考えているご入居者様も一定数います。

そのような場合は、歩行機能が維持されているご入居者様同士で数人のグループを作り、施設の近くを散歩する方法がおすすめです。

メリット

軽い散歩でも身体を動かすことで気分転換になりリフレッシュにつながります。

また、散歩中に地域の方と挨拶を交わしたり、会話が生まれたりすることもあります。こうした交流は、ご入居者様にとって良い刺激となります。

施設生活にハリを持たせるためにも、第三者との関わりを持つ機会は大切です。

現場エピソード

筆者が勤務していた施設では、定期的に施設周辺を散歩する外出レクを実施していました。
その中で、地域の方との挨拶が増え交流が生まれるようになりました。

交流をきっかけに、ご入居者様だけでなく介護施設にも興味を持っていただき、後日施設に足を運んでくださることもありました。外出レクの価値を実感した出来事です。

施設外の方とのつながりが生まれ、ご入居者様の嬉しそうな表情が見られたことが印象に残っています。

季節ごとの花見

春は桜、夏はあじさい、秋は紅葉など、季節ごとに花を楽しむ外出レクは介護施設の定番のひとつです。
施設での生活が中心となる中で、1年のほとんどを施設内で過ごされるご入居者様の中には、四季の移り変わりを感じたいと考える方も多くいます。

テレビや職員からの情報だけではなく、実際に外の空気に触れて四季を感じていただく機会として、外出レクが活用されることも多いです。

メリット

施設で生活されるご入居者様は、1年を通して変化の少ない環境で過ごされています。
そのため、日時や季節の感覚が薄れ認知の機能の低下につながることもあります。

一方で、外の空気に触れながら季節を感じることで、五感への刺激につながります。
「今はどんな季節」「この時期にはどんな花が咲くか」といった会話を取り入れることで脳の活性化も期待できます。

また、四季を感じることは生きる楽しみや意欲にもつながります。
「来年の桜も見に行きたいね」「紅葉を見に行くのが楽しみだね」といった会話が生まれることで、日々の生活にも前向きな影響を与えるでしょう。

現場エピソード

桜の時期に、介護施設から少し足を伸ばしてライトアップされた夜桜を見にいったことがあります。
3名のご入居者様をお連れしましたが、目を輝かせながら「とってもきれいだね。夜桜は初めて」と嬉しそうに話されていました。

また、ご家族様からも「おばあちゃんとっても喜んでたよ、ありがとうね。」と感謝の言葉をいただきました。

介護施設では実施が難しいとされる夜の外出レクでしたが、筆者にとっても印象に残る経験となりました。

買い物

ご入居者様から要望が多い買い物も、外出レクの代表的な内容です。
「洋服が欲しい」「日用品が欲しい」「間食するものが欲しい」など、購入したいものはさまざまです。

普段、1人で買い物に行くことができないご入居者様にとって、自分で商品を手に取り、購入を検討できる機会は貴重です。

メリット

お金を払って好きなものを購入する行為は、購買意欲を満たし満足感にもつながります。

また、自身で支払いをする際には計算をするため、脳への刺激となり認知機能の訓練にもなります。
そのため、買い物レクは生活リハビリの要素も兼ね備えているといえます。

現場エピソード

筆者が買い物先としてよく利用していたのが、100円均一です。
金額が一定で計算しやすく、さまざまなカテゴリーの商品が並んでいるためお目当ての物を見つけやすい場所でした。

お連れしたご入居者様に付き添い、一緒に商品の金額を計算して支払いまでできた体験はご入居者様にとって充実した外出レクになったと感じています。

催し物やイベント

外出レクとして特別感があるのは、期間限定で開催される催し物やイベントに参加することです。
「施設に入居したら、もう訪れることはないだろう」と諦めているご入居者様をお連れできればきっと楽しんでいただけるでしょう。

付き添う職員としては、他の外出レクよりも注意点が多く、より入念な準備が必要です。とはいえ、職員もご入居者様と一緒に楽しめるため、ぜひ挑戦したい外出レクのひとつです。

メリット

外出先の催し物やイベントに参加することで、施設生活を離れ介護施設では味わえない非日常を感じられます。

「この先の人生はどうなっていくのか」と不安を抱えているご入居者様にとっても、施設での生活を少しでも前向きに捉えるきっかけになるかもしれません。
また、その体験は単調になりがちな施設生活の中で、忘れられない思い出になるでしょう。

現場エピソード

1年に1回の外出レクとして、地域のお祭りや大相撲観戦、プロ野球観戦などにお連れしていました。
トイレの場所、駐車場のスペース、座席の段差からお土産の購入方法まで入念に下調べをし、トラブルが起きないよう十分に配慮しました。

当時、入居されたばかりで元気のないご入居者様をお誘いし、大相撲観戦に向かったことがありました。
まだ打ち解けていない職員と一緒に観戦する中で、少し心を開いてくださった様子が見られたことを、今でもよく覚えています。

他にも、参加されたご入居者様からとびきりの笑顔が見られ、筆者としても充実感を得られた経験でした。


外出レクの注意点

外出レクをおこなううえで、押さえておきたい注意点が3点あります。

  • 安全面の注意(転倒・体調)
  • 人員配置と見守り
  • 施設ごとのルール

安全面の注意(転倒・体調)

外出レクを実施するにあたって最も大切なのは、ご入居者様全員が無事に施設へ戻ってくることです。

外出レクにはさまざまな危険が伴います。送迎車両の乗り降りや階段でのつまづきによる転倒、車酔いによる体調不良などには細心の注意が必要です。
同行する職員は、万が一に備えてじゅうぶんな準備をしておくことが重要です。

救命措置の手順を確認したり、AEDの使い方や外出先のどこにAEDがあるかまで把握しておいたりすることで、職員もご入居者様も安心して外出レクを実施できます。

以下の記事では、緊急時対応の手順や注意点について詳しく解説しています。

人員配置と見守り

外出レクに同行する職員はもちろん、施設に残る職員を含めた人員配置もじゅうぶんに検討する必要があります。
外出レクの日程が決まったら、当日の勤務職員を確認し適切な人員配置になるよう配慮しましょう。

外出レクを担当する職員には、食事や排泄などの介助がおこなえる職員、送迎車両の運転ができる職員、全体に指示を出せる職員、体調管理ができる看護職員など、必要な役割があります。

それに加えて、施設に残る職員についてもいつも通りの日常生活の支援や介助が滞りなくおこなえる体制を整える必要があります。

企画を立案する担当職員は、外出するグループと施設に残るグループの双方に悪影響が出ないようじゅうぶんに考慮して準備しましょう。

施設ごとのルール

施設によっては、外出レクに関する独自の段取りやルールが設けられていることがあります。

施設を出発したら、ポイントごとや一定時間ごとに上司に連絡を入れる
買い物の金額に上限を設ける
排泄介助やトイレ誘導は必ず同性職員が支援する

このように施設全体で取り決めがある場合は、そのルールに沿って企画書を提出する必要があります。
ルールが不明瞭な場合は、必要に応じて上司へ相談するといいでしょう。

また、デイサービスでも外出レクを実施している事業所はあります。

ただし、デイサービスのご利用者様は入浴やリハビリを目的に利用されていることが多く、利用時間内に外出へお連れするのは難しいため、実際に外出レクを実施している事業所は多くありません。

一方で、外出したいというニーズは在宅生活をされている高齢者にも多く見られるため、定期的に実施している事業所もあります。

外出レクでよくある質問(Q&A)

本章では、外出レクでよくある質問にお答えします。

外出レクの流れ

外出レクを実施するには、何から手をつけていいのか迷ってしまうこともあるでしょう。

外出レク実施までの流れは、大きく3つあります。

  1. 企画立案
  2. 準備
  3. 実施(当日)

以下、それぞれ説明します。

企画立案

企画立案とは、簡単にいうと外出レクを実施するために上司へ許可をとる行程です。

まずは、ご入居者様にどのような外出レクを提供したいのか、当日の全体像をイメージします。
イメージが固まったら、企画担当の職員が企画書を作成します。

上司に企画の許可をもらうには、企画書の書き方にもポイントがあります。
そのポイントについては、次章で詳しく紹介します。

準備

外出レクをおこなううえで、特に大切なのが準備とシミュレーションです。

参加するご利用者様の当日の服装
ご家族様へ外出レクリエーションにお連れすることを連絡し、許可を得る
 (その際、金銭を使用するかどうかについても確認する)
当日の現金を管理する職員を決める
道中や行き先の状況(混雑具合)を想定する
入浴日の調整

外出先によって準備内容は異なりますが、当日スムーズに実施になるよう念入りな準備は欠かせません。

実施(当日)

外出レク当日におこなう行程をできるだけ少なくしておくことで、スムーズに出発しやすくなります。

例えば、以下のような準備を事前に済ませておくと、出発直前に慌てずに済みます。

  • 現金を準備してもらう(事務員)
  • 内服薬などを準備する(看護師)
  • 救急セットを準備する(看護師)
  • 着替えやカメラなどを準備する(介護職員)

外出レクを成功させるには

外出レクを成功させるには、気を付けたいポイントがあります。

企画書作成のコツ
同行する職員メンバーをじゅうぶんに考慮する
金銭状況を踏まえてお連れするご入居者様を選ぶ

以下で解説します。

企画書のポイント

企画書で実施の許可をもらうためには、上司が目を通した時に頭の中で当日の様子をイメージできる内容にすることが重要です。

第三者が読んでもイメージしづらい企画書では、現実性が伝わらず再提出や再検討になる可能性もあります。

企画書を読んだ時に、ご入居者様がワクワクしている姿を想像できるような内容を意識しましょう。

同行する職員メンバーはじゅうぶん考慮する

同行する職員を決める際は、経験やスキルを確認し新人職員ばかり、あるいはベテラン職員ばかりに偏らないよう考慮します。
新人職員ばかりになると、注意すべきポイントを見落とし、重大な事故やトラブルに繋がる恐れがあります。

一方で、ベテラン職員ばかりになると施設に残る職員が新人職員中心になり、施設内業務が円滑に進まなくなる可能性があります。

このような点に注意して、メンバーを決めることが大切です。

金銭状況を踏まえて、お連れするご入居者様を選ぶ

外出レクでは、個別ではなく数人のご利用者様をお連れする事が多いため、それぞれの金銭状況の違いにもじゅうぶん配慮する必要があります。

金銭的に余裕があり、気にせず買い物や外食が楽しめる方もいれば、入居費用以外にはあまり余裕がない方もいらっしゃいます。

【筆者の体験談】
外出レクで買い物にお連れした際、使える金額に差があったためたくさん買い物できる方と少ししか買えない方との間で差が生まれてしまいました。
認知症状で金銭管理が難しいご利用者様は、「どうして自分はこれだけしか買えないのか」とご立腹されました。
さらには、たくさん買い物されている方に対して不満を口にされ口論になりそうな場面もありました。
双方のご入居者様に丁寧に説明し、なんとか納得していただいて施設へ戻ることができました。
介護職員は、お一人おひとりの金銭状況について知らされないことも多いため、企画段階でしっかり確認する必要があったと反省した事例です。

外出レク時にご入居者様同士のトラブルが起きると、その後の施設生活での関係性にも影響が出る可能性があるため注意しましょう。

まとめ

介護施設における外出レクは、ご入居者様の生活の質(QOL)向上や心身機能の維持・向上につながる大切な取り組みです。

普段とは異なる環境で過ごす時間は、気分転換や社会参加の機会となり認知症予防や意欲向上にもつながります。

一方で、安全に実施するためには入念な準備や人員配置、緊急時への備えが欠かせません。こうした点を意識して実施することで、より満足度の高い外出レクにつなげることができます。

「ご入居者様と一緒に外出するレクに関わってみたい」と感じた方は、レクリエーションに力を入れている施設で経験を積むのもひとつの方法です。

転職支援サイト「介護転職のミカタ」では、外出レクやイベントに積極的な介護施設の求人も多数取り扱っています。

ぜひ、気軽にご相談してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いたのは・・・

小玉 有紀/Webライター

保有資格:介護福祉士/介護支援専門員/介護事務士
福祉系専門学校を卒業したのち、老健で介護福祉士として6年勤務。生活相談員を経験したのち、ケアマネージャーとして5年経験。現在は育児のかたわらライターとして活動中。