ホームヘルパー(訪問介護員)とは?
ホームヘルパーとはご自宅で生活をしている要介護認定のご利用者様、もしくは障害者区分の認定を受けている方の生活をサポートする仕事です。
ホームヘルパーはご自宅に訪問して、これからご説明するサービスを提供します。中には出来ることと、出来ないこともあるため、本記事で確認して参考にしてください。
この記事の内容
ホームヘルパー(訪問介護員)の仕事内容とは?
ホームヘルパーの仕事内容は大きく分けて以下の3つです。
- 身体介護
- 生活援助
- 通院介助
それぞれどのような仕事内容か、詳しく解説します。
身体介護
身体介護には大きく3つの種類があります。
- 食事介助
- 排泄介助
- 入浴介助
これらの介助は、それぞれ身体状況によってどこまで介助するか分かれます。段階としては、全介助、一部介助、見守りです。どこまで介助するかは、ご利用者様のサービス計画書に記載されているので確認が必要です。
それぞれ1人で対応するため、一定の介護技術と訪問先への適応力が求められます。家の環境も違うため、その環境を活かす必要があります。それぞれの介助内容を解説します。
食事介助
食事介助は、食事を1人で安全に行えない場合に提供するサービスです。安全に行えない基準は、食事を誤嚥したことがある、もしくはその危険性がある場合を基準としましょう。
その他にも食事の食べこぼしが多かったり、そもそも一人では食事を食べられない場合がサービス提供に該当します。
排泄介助
排泄介助は、1人で排泄することが困難な方を介助するサービスです。排泄介助のシチュエーションは大きく分けて2つあります。1つはベッドでの排泄介助です。ベッドでの排泄介助はおむつ交換の技術も必要なため、技術の習得が重要です。
2つ目はトイレでの排泄介助です。訪問介護でトイレ介助をする注意点は、それぞれのご自宅でトイレの形が違う点です。そのため、ご自宅に合わせた介助方法を身につける必要があります。
入浴介助
入浴介助は、1人で入浴がむずかしい、もしくは危ないと判断された方に提供するサービスです。排泄介助同様に、それぞれお風呂の環境も違うため、その場所に即したサービスを提供しましょう。
生活援助
生活援助は主に3つのサービスに分けられます。
- 掃除と洗濯
- 食事の調理と準備
- 買い物代行
いずれもご利用者様の依頼を聞いて実施します。基本的な考え方は身体介護と同様で、ご利用者様が1人ではできない、もしくは困難な場合に提供するサービスです。このサービスには実際に行ってはいけないグレーな業務も存在します。
次章で解説しますので、把握して実務に取り組んでください。
通院介助
通院介助もホームヘルパーの仕事です。1人では通院が困難な方を、病院へお連れします。
通院方法はケアプラン毎で異なるため、サービス提供前にしっかりと確認して実務に当たってください。
ホームヘルパー(訪問介護員)ができないこと
ホームヘルパーにはできないことが、大きく分けて3つあります。
- 利用者さん以外へのケア
- 日常生活に必要のないケア
- 医療行為になるケア
それぞれ実際の体験談も織り交ぜながら解説します。ホームヘルパーができないことを知りたい方は一読ください。
利用者さん以外へのケア
最初に予定していたご利用者様以外へのサービス提供はできません。
例えば、同居しているご家族の方から「悪いんだけど、ついでにこれもお願いできるかしら?」などと頼まれることは実際にあります。
このようなときはお断りするようにしましょう。
1度受けてしまうと、その後もお願いされるようになり、後々のトラブルに発展することがあります。困った時は職場の上司に相談して、判断を仰ぎましょう。
日常生活に必要のないケア
日常生活に必要のないケアも行わないよう注意しましょう。よくあるケアの内容は以下の4つになります。
- 花への水やり
- 庭の草むしり
- 床のワックスがけ
- ご利用者様が飼っているペットの世話
この他にも、部屋の大掃除を手伝わされたと言う話もあります。この内容も最初の頃は判断がつきにくいため、職場の上司に確認することがおすすめです。
医療行為になるケア
介護資格では医療行為を行えません。医療行為の幅は広く、訪問介護の現場で代表的なのは、インシュリン注射の実施や、喀痰吸引の実施などです。看護師の資格を持っていたり、その行為を行なって良い資格の持ち主は実施可能です。
もし行いたい場合は、別で資格を取得する必要があるため、気になる方は調べることをおすすめします。現場に行って医療行為か判断できない場合は、すぐに職場の上司に確認してみてください。
ホームヘルパー(訪問介護員)に必要な資格
ホームヘルパーに必要な資格は以下の4つです。
- 生活援助従事者研修
- 介護職員初任者研修
- 介護福祉士実務者研修
- 介護福祉士
資格の内容が知りたい方はぜひ参考にしてください。
生活援助従事者研修
生活援助従事者研修は平成30年度に作られました。他の介護資格と違うのは、生活援助のサービス提供しかできない点です。身体介護などのサービスはできません。身体介護は難しそうだから、身の回りのお世話から経験してみたい方におすすめの資格です。
介護職員初任者研修
介護業界で最初に取得する資格が介護職員初任者研修です。この資格は基本的な介護業務に携わる上で、最低限の知識を学ぶ研修になります。取得に条件はありません。介護を始めたい方はぜひ挑戦してみましょう。
介護福祉士実務者研修
介護職員初任者研修の次に取得できる資格が、介護福祉士実務者研修です。この資格を取得することで介護福祉士の受験資格の1つを満たせます。他に介護士として実務経験が3年必要ですが、キャリアを形成したい人におすすめの資格です。
介護福祉士
介護福祉士の資格は、介護士が取れる国家資格になります。介護の中では、最上位の資格で以下の3つのルートで資格取得できます。
- 実務経験ルート
- 養成施設ルート
- 福祉系高校ルート
取得方法を詳しく知りたい方は、以下の記事に詳しく掲載されているので一度ご確認ください。
ホームヘルパー(訪問介護員)のメリット4つ
施設で働く介護士と違って、ホームヘルパーはいくつかのメリットがあります。実際の経験で感じたメリットは以下の4つです。
- 柔軟な勤務ができる
- 1対1の介護ができる
- 人間関係の悩みが少ない
- 臨機応変な対応力が身につく
理由も含めてそれぞれ解説します。
柔軟な勤務ができる
ホームヘルパーのメリットに、勤務体系の柔軟性があります。
事業所によりますが、勤務体系によっては直行直帰が可能なところや、休憩を自分で決められることも魅力です。また正社員、パート、アルバイトと働き方も豊富なため、ご自身にあった働き方ができます。
1対1の介護ができる
訪問介護は基本的に1対1の介護になります。
施設介護のように1人で複数のご利用者様の介護をしなくていいので、負担が少ないのも魅力です。ご利用者様と向き合いたい人におすすめです。
人間関係の悩みが少ない
ホームヘルパーは基本的に1人で仕事に行きます。
そのため、施設介護のように職員と関わることが少ないです。施設介護は、他の職員と関わるため人間関係の悩みが尽きない側面があります。
対人関係が得意では無く、自分のペースで仕事を行いたい人は、ホームヘルパーに向いていると言えます。
臨機応変な対応力が身につく
ホームヘルパーはどの現場でも1人で介護します。
そのため、どのような状況でも1人で解決する対応力が必要です。初めてホームヘルパーをすると慣れるまで大変かもしれませんが、この能力が身につくと、どんな状況でも工夫できるようになります。
この対応力は他の介護現場でも活かすことができるため、ご自身の能力アップをしたい方はホームヘルパーを経験することをおすすめします。
筆者の体験談として、訪問先のご利用者様の様子が普段と違うなと感じたことがありました。普段よりフラフラとしていたため、体温計を使用したところ39度の熱がありました。すぐに上司に電話をして、救急車を呼んでご利用者様を安静にしました。
もし発熱に気づかずご利用者様の家を出ていたら、そのまま次の日まで放置されていたでしょう。咄嗟の判断と対応力はホームヘルパーに必須と言えるでしょう。
ホームヘルパー(訪問介護員)のデメリット4つ
ホームヘルパーの仕事をしていて感じたデメリットは以下の4つです。
- ヘルプがない
- 天気に左右される
- 柔軟に対応する必要がある
- コミュニケーション力が必要になる
実際の現場経験で感じたデメリットをそれぞれ解説していきます。
ヘルプがない
ホームヘルパーは、ご利用者様のご自宅にサービスに行くので他の職員のヘルプがありません。
そのため何かトラブルがあったとしても、すぐに他の職員の助けが期待できないので、対応に困ったらご自身の上司に連絡して指示を仰ぎましょう。
天気に左右される
ホームヘルパーの仕事はご利用者様のご自宅に行って仕事をするため、天候に左右されます。地域によっては車で訪問している地域もありますが、一般的には自転車が多いです。
そのため、自転車で訪問するときは以下のアイテムを持参するといいでしょう。
- サンバイザー
- 浸水しない靴
- 防水製のカバン
- 予備の雨ガッパと肌着
- 雨ガッパ(全身を包めるもの)
ホームヘルパーをしていると1日中外にいることが多いため、雨ガッパも含めて替えのものを準備しておくと便利です。
サンバイザーなどは晴れの日も雨の日も視界をキープできるため活用してみてください。
柔軟に対応する必要がある
ホームヘルパーはどのような状況でも1人で対応する場面が多いです。そのため咄嗟の行動を求められます。実際に訪問したご利用者様が自宅で倒れていたり、最悪の場合、お亡くなりになっていることもあります。
そのため、どんな場面になっても焦らず、柔軟に対応できることが求められます。
コミュニケーション力が必要
ホームヘルパーは基本的に1人でサービスに向かいますが、訪問先のご利用者様やご家族と話すことがあります。全く会話をしない訳ではないため、多少のコミュニケーションを必要とします。
ご利用者様とはいえ、他人と会話をするのが苦手な方にとってはデメリットと言えるでしょう。
ホームヘルパー(訪問介護員)の仕事でよくある質問
本章ではホームヘルパーの仕事でよくある質問に、ホームヘルパー経験者の筆者がお答えします。
ホームヘルパーのやりがいを教えて下さい
ホームヘルパーのやりがいは、1対1の介護で感謝がもらえることです。
筆者も、「〇〇さんが来ると元気になるわ」と言ってもらえた経験があります。そのような言葉をもらえたときは訪問介護をしていて良かったなと感じました。
ホームヘルパーの理想と現実を教えてください
訪問介護はある程度介護の環境が整えられていると思っていました。しかし現実は、環境が整っているところもあれば、介護に使える道具が揃っていないところもあります。
このようなときは、ご家族に直接依頼するか、上司に相談して情報共有しましょう。
ホームヘルパーをしていて困ったことはなんですか?
ホームヘルパーをしていて困ったことは、トイレや休憩場所に困ったことです。
勤務する場所によってはそのような場所がないこともあるため、もともと勤めている先輩職員に聞いてみるのも良いでしょう。
まとめ
ホームヘルパーは勤務する職場によって働きやすさが違う仕事です。職場の人員次第では、過重労働になる職場もあります。そのため、就職する前に事前の下調べが必要でしょう。仕事をする前に調べることで、事業所の傾向性も見えてきます。
そのため面接などで事業所の責任者に聞けることは聞いておきましょう。それらを総合的にみて、ご自身にあった職場を選んでください。
この記事を書いたのは・・・
かきざき/Webライター
保有資格:介護福祉士/終活ガイド1級/エンディングノートセミナー講師/食品衛生責任者
介護福祉士として介護職を13年経験。ライター歴3年。
特養でのユニットリーダー経験や、珍しい定期巡回の経験を活かして記事執筆しています!