介護職のボーナス(賞与)について、以下のような疑問を持っていませんか?
- 介護職のボーナスの平均は?
- 介護職のボーナスをアップさせる方法は?
- 収入アップのコツはあるの?
そもそもボーナス(賞与)とは、企業が従業員に対し、毎月支給する通常の給与とは別に、支給する特別な報酬のことです。
業績や個人の成果に応じて支給額が決まり、一般的に夏と冬の年2回支給されます。法律で義務付けられているわけではなく、企業の裁量で支給されます。
本記事では、介護職のボーナス事情について、現役の介護職である筆者の経験をもとにわかりやすく解説します。
この記事の内容
介護職のボーナスの平均
まずは、介護職のボーナスの平均を、法人格や施設形態、経験年数や保有資格別などに分けて見ていきましょう。
ボーナスがどのように影響するかを把握し、自分に合う職場を見つける際の参考にしてください。
出典:令和4年度介護労働実態調査|公益財団法人 介護労働安定センター
法人格別
法人格別の介護職の平均ボーナスは、以下のとおりです。
| 法人格 | 平均ボーナス |
| 民間企業 | 425,067円 |
| 社会福祉協議会 | 737,069円 |
| 上記以外の社会福祉法人 | 764,564円 |
| 医療法人 | 657,203円 |
| NPO(特定非営利活動法人) | 423,376円 |
| 社団法人・財団法人 | 771,261円 |
| 協同組合(農協・生協) | 671,097円 |
| 地方自治体(市区町村、広域連合を含む) | 1,071,140円 |
介護職のボーナスが年間で100万円を超えるケースは少なく、筆者の場合でも最も多いボーナスは社会福祉法人での年間80万程度でした。
施設形態別
施設形態別の介護職の平均ボーナスは、以下のとおりです。
| 施設形態 | 平均ボーナス |
| 介護老人福祉施設 | 789,580円 |
| 介護老人保健施設 | 738,102円 |
| 特定施設入居者生活介護 | 563,331円 |
| 認知施設入居者生活介護 | 441,964円 |
| 小規模多機能型居宅介護 | 507,965円 |
| 通所介護 | 523,462円 |
| 訪問介護 | 498,876円 |
施設形態別のボーナスの違いはあまり気にする必要はありません。介護老人福祉施設を運営している法人が認知症対応型共同生活介護も運営している場合、どちらで働いてもボーナスは同程度もらえます。
男女別
男女別の介護職の平均ボーナスは、以下のとおりです。
| 性別 | 平均ボーナス |
| 男性 | 651,710円 |
| 女性 | 603,814円 |
介護業界では、男女関係なくリーダー職になりやすいため、男女でボーナスの差は大きくありません。そのため、性別によるボーナスの差はあまり参考にならないでしょう。
年齢別
年齢別の介護職の平均ボーナスは、以下のとおりです。
| 年齢 | 平均ボーナス |
| 20歳未満 | 327,039円 |
| 20歳以上25歳未満 | 472,642円 |
| 25歳以上30歳未満 | 536,152円 |
| 30歳以上35歳未満 | 592,070円 |
| 35歳以上40歳未満 | 626,015円 |
| 40歳以上45歳未満 | 665,915円 |
| 45歳以上50歳未満 | 673,715円 |
| 50歳以上55歳未満 | 662,065円 |
| 55歳以上60歳未満 | 665,860円 |
| 60歳以上65歳未満 | 541,601円 |
| 65歳以上70歳未満 | 416,611円 |
| 70歳以上 | 338,264円 |
年齢によるボーナスの違いは、30代から40代にかけて最も高くなっており、経験や保有資格なども考慮すると、妥当な調査結果と言えます。
勤続年数別
勤続年数別の介護職の平均ボーナスは、以下のとおりです。
| 勤続年数 | 平均ボーナス |
| 1年未満 | 287,072円 |
| 1年以上2年未満 | 338,530円 |
| 2年以上3年未満 | 512,224円 |
| 3年以上4年未満 | 551,866円 |
| 4年以上5年未満 | 568,762円 |
| 5年以上10年未満 | 608,791円 |
| 10年以上15年未満 | 674,301円 |
| 15年以上20年未満 | 777,659円 |
| 20年以上 | 946,325円 |
介護職の昇給額は大きくありませんが、勤続年数を重ねることで確実に基本給は上がります。そのため、勤続年数によるボーナスの変化は、もっとも信頼できるデータです。
経験年数別
経験年数別の介護職の平均ボーナスは、以下のとおりです。
| 勤続年数 | 平均ボーナス |
| 1年未満 | 547,645円 |
| 1年以上2年未満 | 424,780円 |
| 2年以上3年未満 | 504,884円 |
| 3年以上4年未満 | 510,663円 |
| 4年以上5年未満 | 545,067円 |
| 5年以上10年未満 | 530,264円 |
| 10年以上 | 654,422円 |
経験年数を重ねれば、それに伴い保有資格や勤続年数が増えやすいため、ボーナスの金額も上昇傾向です。
また、経験や実績を転職時に評価されることで、新しい職場で給料が上がりボーナスアップにつながります。
保有資格別
保有資格別の介護職の平均ボーナスは、以下のとおりです。
| 保有資格 | 平均ボーナス |
| 無資格 | 419,200円 |
| 介護職員初任者研修 | 473,650円 |
| 介護福祉士実務者研修 | 486,322円 |
| 介護福祉士 | 629,134円 |
| 社会福祉士 | 742,254円 |
| その他の資格 | 665,825円 |
介護職は国家資格である介護福祉士を取得すれば、基本給が上がりボーナスもアップします。
さらに、社会福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)などの資格を取得すれば、社内での評価が上がり、ボーナスアップにつながる可能性があります。
現役介護職のボーナス事情
続いて、現役介護職である筆者の、実際のボーナスの変化を見ていきましょう。
今回は経験年数をもとに、保有資格や施設形態などの情報も参考にしながら、ボーナスの変化を紹介します。
| 経験年数 | 保有資格 | 施設形態 | ボーナスの金額 | |||
| 1年 | 介護職員初任者研修 | 有料老人ホーム | 約40万 | |||
| 3年 | 介護福祉士実務者研修 | 介護老人保健施設 | 約65万 | |||
| 5年 | 介護福祉士 | 特別養護老人ホーム | 約70万 | |||
| 10年 | 介護福祉士 介護支援専門員 | 有料老人ホーム | 約50万 | |||
| 15年 | 介護福祉士 介護支援専門員 社会福祉士 | 認知症対応型共同生活介護 (グループホーム) | 約60万 | |||
筆者の経験からわかるのは、経験年数や施設形態の影響は少なく、保有資格や勤続年数がボーナスに反映されていました。
とくに、介護福祉士を取得すると、基本給がアップするため、ボーナスの金額も上がります。さらに、働いている法人格の規模や年収に占めるボーナスの割合によっても違いはあります。
ボーナスの金額が多いからといって年収が高いわけではないため、給料アップを目指したい方は、ボーナスの金額ではなく、月収や年収などを確認することが大切です。
介護職がボーナスをアップさせる方法3選
介護職がボーナスをアップさせる方法は、以下の3つです。
- 資格を取得する
- 役職に就く
- 上司に交渉する
それぞれ詳しい内容を見ていきましょう。
資格を取得する
資格を取得し基本給アップや手当が追加されることで、給与やボーナスアップが期待できます。介護職のボーナスの平均を紹介した「保有資格別」でも、資格を取得するごとにボーナスはアップしています。
とくに、国家資格である介護福祉士の取得は基本給が大きくアップし、年間ボーナスも10万〜20万増えるでしょう。
資格を持っていると業務の幅が広がり、評価が高まるだけでなく転職でも有利になるため、キャリアアップを図る上でも資格取得は大切です。
役職に就く
現場のリーダー職や管理職など、役職に就くことで基本給が上がり、ボーナスアップにつながります。筆者もリーダー職になり、基本給が上がったことでボーナスも増えました。
ただし、職場によっては役職についてボーナスは上がったにもかかわらず、仕事量や責任が増えすぎて心身の大きな負担につながる恐れがあります。
役職に就く際は、簡単に引き受けるのではなく、自分の能力や目指すキャリアなどを慎重に考えた上で決めましょう。
ユニット型の特別養護老人ホームでは、ユニットの管理や運営を担う、ユニットリーダーという役職があります。ご利用者様10人前後を1グループとしたユニットで働く、介護職員のまとめ役です。
ユニットリーダーの役割には、上司のサポートや後輩の育成、ユニット内の改題解決などが求められます。ユニットリーダーになるための資格はとくにありませんが、「ユニットリーダー研修」を受講していれば、リーダー業務をする上で安心でしょう。
ユニットリーダーの仕事内容は、ご家族様との連絡や、介護職員の指導、担当ユニットのシフト作成、ご利用者様のケア見直しなど、多岐に渡ります。
また、ユニットリーダーは役職であるため、役職手当がつきます。手当の相場は5,000円から30,000円と幅広く、年収アップにもつながるでしょう。
ユニットリーダーについて詳しく知りたい方は【ユニットリーダーとは?経験者が仕事内容や必要資格を解説!】の記事をご確認ください。
上司に交渉する
ボーナスの金額は、基本的に会社の規定に基づいて決まりますが、交渉次第で増額される可能性もあります。
たとえば、自分の貢献度が高いと判断される場合は、具体的な実績を提示することで交渉を有利に進められます。
交渉すれば必ずボーナスアップにつながるわけではありませんが、交渉をきっかけに自分のキャリアを見直すきっかけになるかもしれません。
介護職が収入をアップさせる方法3選
ボーナス以外にも、以下の方法で介護職の収入をアップさせることが可能です。
- 夜勤回数を増やす
- 副業をする
- 条件のいい職場に転職する
それぞれ筆者の経験をもとに、わかりやすく解説するので参考にしてください。
夜勤回数を増やす
介護職で収入を増やす効果的な方法の一つが、夜勤回数を増やすことです。夜勤をすれば1回あたり5,000円〜10,000円ほどの手当が支給されるため、回数を増やせば収入も上がります。
筆者も夜勤回数が月に5〜8回あり、1回あたり8,000円のため、夜勤手当だけでも4〜6万ほどになります。
夜勤を増やすことは収入アップには効果的ですが、体力的な負担も大きいため、無理をしすぎないことが大切です。
夜勤の仕事内容は、夕食や朝食の食事介助・配膳、服薬介助、巡回や見守り、コール対応排泄介助、記録などが主になります。稼働時間は16時間のロング夜勤や8時間のショート夜勤などがあります。
また、夜勤をすると収入アップ以外にも自分のペースで仕事ができたり、夜勤明けの時間が自由に使えたりといったメリットがあるでしょう。一方で、生活リズムの乱れや、一人夜勤の場合は相談できる職員が近くにいないといったデメリットも存在します。
さらに、夜勤を実施する場合には、注意すべき点があります。夜間は多くのご利用者様が就寝中であるため、音への配慮は必須です。ほかにも、一人夜勤の場合は急変や転倒による怪我が発生した際に、一人で迅速に対応しなければなりません。万が一に備えて連絡先や対応方法は把握しておく必要があるでしょう。
夜勤の仕事内容について詳しく知りたい方は、【介護職の夜勤の仕事内容は?メリットや注意点も紹介】の記事もご確認ください。
副業をする
本業の介護職以外に、副業で収入源を持つことで効果的に収入アップできます。たとえば、筆者のように介護職をしながら、ライターや動画編集、メディア運営などで副収入を得れば継続的な収入アップが可能です。
他にも、介護職の経験を活かした他の施設でのアルバイトや、介護資格の講師などもおすすめです。
ただし、副業が職場の就業規則で禁止されている場合もあるため、副業をする場合は事前に確認しましょう。
条件のいい職場に転職する
今の職場の給与に不満があるなら、思い切って転職をするのも有効な手段です。実際に筆者も転職をすることで、年収を100万円ほど上げることに成功しました。
転職のメリットは、職場が変わるだけで給与アップが可能なため、経験やスキルがなくても収入アップが可能な点です。
転職をする際は、自分の力だけで行わず、転職サイトやエージェントを積極的に活用しましょう。
介護職の収入アップにつながる転職のポイント
介護職の収入アップにつながる転職のポイントは、以下の3つです。
- 資格を取得したタイミングで転職する
- エージェントを利用し給与交渉を試みる
- 役職候補として採用してもらう
それぞれ具体的な内容を確認しましょう。
介護職の収入アップについては、以下の記事でも解説しているので参考にしてください。
資格を取得したタイミングで転職する
資格を取得したタイミングで転職することで、収入アップにつながる可能性が高くなります。資格を持っていると、即戦力として評価されるため、未経験の方よりもいい条件で採用されます。
また、国家資格である介護福祉士を取得していると、採用する施設の報酬がアップするのも採用されやすい理由です。
筆者の場合はケアマネジャーの資格を評価してもらい、高待遇な条件で採用してもらえました。
###エージェントを利用し給与交渉を試みる
転職で収入アップを目指す際は、転職エージェントの活用が効果的です。転職エージェントは、自分では言いにくい給与交渉や転職者のPRを代行してくれるため、想定よりもいい条件で転職できる可能性がアップします。
筆者も転職エージェントを利用し、給与交渉や自己PRをしてもらえたことで、高待遇な職場への転職に成功しました。
エージェントは非公開求人も保有しており、自分で探すよりも好条件の職場に出会えます。さらに、無料で利用できる点もメリットなので、積極的に活用しましょう。
###役職候補として採用してもらう
一般的な介護職員として転職するよりも、リーダーや管理職などの役職候補として採用されることで、大きな収入アップが可能です。
筆者も実際に、一般の介護職として応募したにもかかわらず、面接中に経営部門への採用を打診され、想定年収よりも300万ほど高い条件を提示されました。
役職の経験はなくてもキャリアアップに意欲のある方は、面接で思いを伝えられれば、好条件な役職候補として採用されるかもしれません。
介護職のボーナスに関するよくある質問
介護職のボーナスに関するよくある質問は、以下のとおりです。
- 介護職のボーナスの支給日はいつですか?
- 介護職のパートはボーナスなしですか?
- 介護職1年目でもボーナスはもらえますか?
それぞれわかりやすく回答しているので、参考にしてください。
介護職のボーナスの支給日はいつですか?
介護職のボーナスの支給日は、一般の会社と同じように、6〜7月の夏と、12月の冬が一般的です。
夏よりも冬のボーナスのほうが若干多く、求人には「年2回・合計4ヶ月分(昨年実績)」といった形で、基本給の何ヶ月分が支給されるか表記されています。
ただし、施設の規模や経営状況によって異なり、年1回の支給や業績による変動がある場合もあります。事前に就業規則を確認し、支給日や金額の計算方法を把握しておくことが大切です。
介護職のパートはボーナスなしですか?
パートやアルバイトの介護職は、基本的にボーナスの支給がない場合が多いですが、職場によってはミニボーナスのような形で、支給される場合もあります。
支給額は正社員よりも少ないですが、支給されない場合が多いことを考えると、もらえるだけでも恵まれた職場と言えます。
パートでボーナスが欲しい方は、賞与制度のあるパート求人を選ぶか、正社員として働くのがおすすめです。
介護職1年目でもボーナスはもらえますか?
介護職1年目でも、ボーナスはもらえます。ただし、職場によってボーナスの規定が異なるため、必ずもらえるとは限りません。
筆者の場合は、9月に中途入社し、12月のボーナスは満額よりも少ない金額でしたが支給されました。
施設の規定によっては 「勤続半年以上」 が支給条件となっている場合もあるため、気になる方は事前に確認しておきましょう。
まとめ
介護職のボーナスは、法人格や施設形態、保有資格、勤続年数などによって異なります。収入アップを目指すには、資格取得や役職への昇進などが効果的です。
また、夜勤回数を増やす、副業を始める、条件の良い職場へ転職するなどの方法も検討することで、ボーナスだけでなく収入アップも期待できます。
とくに、資格取得のタイミングで転職したり、転職エージェントを効果的に活用したりすることで、収入アップにつながるでしょう。
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この記事を書いたのは・・・

津島 武志/Webライター
保有資格:介護福祉士/介護支援専門員/社会福祉士
業界17年目の現役介護職兼ケアマネージャー。
さまざまな介護系メディアでWebライターとしても活動し、多くの検索上位記事を執筆。
介護職以外に転職メディア「介護士の転職コンパス」や自身のライフスタイルや介護系コンテンツを発信するYouTubeチャンネル「かいご職TV」等を運営。
