
介護職に転職しようとしており、以下のような不安を持っている方は多いのではないでしょうか。
- 未経験でも大丈夫?
- 資格がなくても働ける?
- 給料低いって本当なの?
新しい業界に挑戦する場合は、さまざまな不安がつきものです。本記事では、未経験から介護職に転職する際の不安を解消する方法を解説します。
現役で介護職をしている筆者の、未経験からはじめた際の不安も紹介しているので参考にしてください。
この記事の内容
未経験から介護職への転職は大丈夫?
未経験からでも介護職への転職は問題ありません。実際に筆者も、完全未経験から介護職をはじめ17年目に入り、今ではベテランといわれる部類になりました。
介護職をはじめる方の多くが、介護の専門学校や大学等を経由せず、他業界から未経験で働いています。実際に「未経験歓迎」や「教育制度が充実」といった、未経験者が採用されやすい介護求人も多くあります。
介護職はけっして簡単な仕事ではありませんが、未経験からでも確実にキャリアアップできる仕事です。
介護職の仕事内容については、以下の記事で詳しく解説しています。
未経験から介護職に転職する際のよくある不安
未経験から介護職に転職する際のよくある不安は、以下の7つです。
- 資格はなくても大丈夫?
- 夜勤は何をするの?
- 給料は低いの?
- 休日は少ないの?
- 人間関係は悪いの?
- 年齢制限はあるの?
- 腰痛対策はしたほうがいい?
介護職経験17年目の筆者が未経験からはじめた頃の経験や想いも紹介しているので、ぜひ転職時の参考にしてください。
それぞれ詳しい内容を見ていきましょう。
資格はなくても大丈夫?
介護職は、無資格未経験からでもはじめられる仕事です。ただし、無資格ではじめたとしても、入社後は認知症介護基礎研修や初任者研修などの資格取得が求められるでしょう。
また、特別養護老人ホームやデイサービスなどは無資格でも構いませんが、訪問介護の場合は、資格がないと単独での業務ができません。
資格がなくても介護の仕事がはじめられますが、入社後は資格取得が必要になることは知っておきましょう。
筆者も無資格未経験から介護職をはじめ、3ヶ月後にホームヘルパー2級(今でいう初任者研修相当)の資格を取得しました。
無資格から介護職をはじめる方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
無資格から介護職を始めるには?義務化した認知症介護基礎研修についても徹底解説
夜勤は何をするの?
介護職の夜勤の主な業務は、以下のとおりです。
- ご利用者様の見守りや安否確認
- 排泄介助や体位変換
- 必要時のナースコール対応
- 翌朝の準備や掃除洗濯
- 夜間の様子をはじめとした記録業務
昼間に比べると仕事量は少ないですが、少人数で複数人の利用者様を介助するため、職員一人当たりの負担は大きくなります。
夜勤の職員の数や休憩時間などは、職場によって異なります。筆者の職場では、一応2時間の仮眠時間が定められていますが、ひとり夜勤のため場合によっては休憩が十分取れません。
ただ、夜勤をすることで1回5,000円〜10,000円程度の夜勤手当がもらえるため、給料アップに効果的です。月に5回ほど夜勤をする場合が多く、夜勤の有無で毎月の給料は3万〜4万ほど変わってくるでしょう。
介護職の夜勤の仕事については、以下の記事でも詳しく紹介しています。
給料は低いの?
介護職は給料が低いといわれがちですが、近年は処遇改善手当をはじめ、政府による待遇改善がおこなわれているため、徐々に給料は向上しています。
厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護職の平均月給は「338,200円」です。
資格がない場合でも「290,620円」という結果で、けっして低すぎるわけではありません。
今後も介護職の待遇は改善される可能性はあるため、資格を取得しながら徐々にキャリアアップを目指すのがいいでしょう。
筆者は資格取得と転職を組み合わせることで、効果的な給料アップに成功しました。
介護職の給料については、以下の記事で詳しく解説しているのでご覧ください。
休日は少ないの?
介護職の年間休日は、平均で112日ほどです。土日祝日休みの企業の場合は、年間休日120日ほどなので、介護職の休日はけっして多くはありません。
介護職はシフト制のため、土日祝日に必ず休めない反面、平日に休みを取れるメリットがあります。
施設によって年間休日数は異なりますが、基本的に週休2日で有給休暇やリフレッシュ休暇を取りやすい職場もあります。
筆者の場合は、年間休日110日で、有休も年間で7割〜8割ほどの消化率です。
介護職の休日事情は、以下の記事でも解説しているので参考にしてください。
介護職員の年間休日は平均112.8日!リアルな休日事情を徹底解説
人間関係は悪いの?
介護現場の人間関係は職場によって異なりますが、介護職の退職理由の1位が「人間関係の問題」であることから、人間関係が悪い職場が多い可能性はあります。
介護現場ではチームワークが求められるため、人間関係が悪いと業務が円滑に進みません。筆者も上司との連携が悪くストレスになり、退職を余儀なくされました。
職員同士の相性もあるため、人間関係の悩みを完全になくすのは難しいでしょう。そのため、ハラスメント対策や人間関係の構築に力を入れることが重要です。
介護業界で重要な人間関係については、以下の記事で解説しています。
介護業界で重要なのは人間関係!?改善のポイントと良い職場の選び方を解説
年齢制限はあるの?
介護の仕事に年齢制限はなく、体力が続く限り何歳でもできる仕事です。筆者の職場では、70代で介護職として働き、移乗や排泄、入浴介助など体力を必要とする仕事をこなしている方もいます。
また、子育てが落ち着いた40代や50代の女性が、未経験から介護職をはじめ、リーダーや管理職などにキャリアアップした事例もあります。
介護職は体力の必要な仕事ですが、年齢よりもやる気や人柄などが重視される傾向です。パート勤務や短時間勤務など働き方の選択肢も豊富なため、ライフスタイルにあわせた働き方ができるのも魅力です。
以下の記事では、40代から未経験で介護職をはじめる際のポイントを解説しているのでご覧ください。
40代から介護職員へ!未経験でも転職成功できるポイントを解説
腰痛対策はしたほうがいい?
介護職は移乗介助や排泄介助、入浴介助など、腰に負担のかかる業務が多くあります。そのため、普段から腰痛対策を習慣化しておくほうがいいでしょう。
たとえば、仕事前にストレッチをして身体を温めたり、ボディメカニクスを理解し正しい体の使い方で介助したりするのが効果的です。
筆者の場合は、日頃からトレーニングをしているため、腰痛になることはほとんどなく40歳目前の今でも、元気よく働けています。
介護職の腰痛対策については、以下の記事を参考にしてください。
介護の仕事を続けるなら腰痛対策は必須!手軽にできる対策を紹介
介護職のメリット
ここからは、介護職のメリットについて見ていきましょう。
- 未経験でもはじめやすい
- 売り手市場で転職しやすい
- キャリアの選択肢が豊富にある
上記3つの具体的な内容を解説します。
未経験でもはじめやすい
介護職は資格がなくてもスタートできる求人が多く、未経験からでも挑戦しやすい仕事です。
研修やOJTが充実している施設も多いため、働きながら知識やスキルを身につけられます。
また、資格取得支援制度がある職場では、初任者研修や実務者研修などの資格取得費用を支援してくれるため、費用を気にせず資格取得を目指せます。
筆者も職場の資格取得支援を活用し、費用負担を軽減しながら、さまざまな資格を取得しました。
売り手市場で転職しやすい
高齢化が進む日本では、介護業界全体で人手不足が続いており、介護職は常に需要がある売り手市場です。そのため、他の職種と比べて求人が多く、希望する条件に合った職場を見つけやすいのが魅力です。
ブランクがある人でも復職しやすく、全国どこでも働けるため、ライフスタイルにあわせた働き方がしやすい職種といえるでしょう。
キャリアの選択肢が豊富にある
介護職は現場での資格取得や経験を積むことで、多様なキャリアが広がる仕事です。
たとえば、国家資格である介護福祉士を取得すれば、現場のリーダーとしてキャリアアップが可能です。
介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を取得すれば、連絡調整やデスクワークがメインの仕事になるため、介護職に比べると身体的な負担が少なくなります。
また、訪問介護やデイサービス、特別養護老人ホームなど職場となる介護施設の形態も多様なため、自分にあった職場を選びやすいのも特徴です。
以下の記事では、介護職におすすめの資格を紹介しているので参考にしてください。
介護職員におすすめな資格|資格取得のメリットもわかりやすく解説
介護職のデメリット
一方、介護職のデメリットは、以下の3つです。
- 体力的な負担が大きい
- ストレスが溜まりやすい
- 職場によって待遇の差がある
それぞれ詳しい内容を確認しましょう。
体力的な負担が大きい
介護職はご利用者様の身体介助をおこなうため、腰や膝への負担も多く、体力の必要な仕事です。
とくに、夜勤をする場合は長時間労働になるだけでなく、ひとりで多くのご利用者様の介助をしなければいけないため、体への負担は大きくなります。
長く健康に働き続けるためには、ボディメカニクスをはじめとした正しい介助技術を学び、無理のない働き方や体調管理が重要です。
ボディメカニクスについては、以下の記事を参考にしてください。
ストレスが溜まりやすい
介護職は感情労働といわれ、感情を抑えながら仕事をする必要があるため、ストレスが溜まりやすい仕事です。感情労働とは、感情をコントロールしながら他者に接する仕事のことで、介護や接客業などが該当します。
筆者も介護職を経験する中で、認知症の方への対応は思い通りにいかず、ストレスを抱え込んでしまう時期もありました。
介護職を健康的に続けるためには、体力づくりと同時に、趣味や運動などでストレス発散することが大切です。
職場によって待遇の差がある
介護職の待遇は、勤務先の法人や施設によって大きく異なります。
筆者もさまざまな職場を経験し、以下のような待遇の差がありました。
項目 | 介護施設A | 介護施設B |
月給 | 25〜30万円 | 35〜40万円 |
賞与 | 4.5ヶ月 | 3.0ヶ月 |
福利厚生 | 住宅手当や家族手当あり | 処遇改善加算が充実 |
Aの施設は賞与も安定しており、手当も充実していましたが、年収は400万弱でした。
一方、Bの施設は賞与はAに比べて低く手当も充実していないものの、基本給が高く処遇改善加算が充実しているため、年収は500万を超えていました。
このように、介護職は職場により待遇が大きく異なるため、自分の希望条件に合った職場を選びましょ
う。
介護職に向いている人の特徴
以下のような方は、介護職に向いている可能性が高いでしょう。
- 高齢者が好き
- 協調性が高い
- 感情的になりにくい
- 観察力がある
自分の特性と比べながら、介護職に転職するか決める際の参考にしてください。
高齢者が好き
高齢者と接することに喜びを感じる方は、介護職に向いています。昔話を聞いたり、日々の変化に気づいて声をかけたりする中で、ご利用者様との信頼関係が深まっていくのが介護職の魅力です。
やさしく接するだけで笑顔を見せてくれる瞬間は、やりがいにつながります。筆者も介助後の「いつもありがとうね」というご利用者様の言葉に、日々やりがいを感じています。
「おばあちゃん子だった」「祖父母と過ごすのが好きだった」などの経験も大きな強みになり、介護職として働く上で大きな力になるでしょう。
協調性が高い
介護職は、看護師やケアマネジャー、リハビリ職など、さまざまな職種と連携する仕事のため協調性が求められます。
とくに、情報共有は非常に重要で職員間の報連相が徹底できないと、質の高い介護サービスは提供できません。
そのため、職員間で積極的にコミュニケーションを図り、チームワークを重視する人は介護職に向いているといえるでしょう。
感情的になりにくい
介護の現場では、自分の思い通りにいかない場面が多くあります。
たとえば、認知症のご利用者様から理不尽な対応を受けたり、ご家族からの無理な要望にストレスを感じる場面もあるでしょう。
しかし、思い通りにいかないからといって感情的になっても、仕事はうまく進みません。常に冷静さを保ち、ご利用者様に安心感を与えることが大切です。
感情的になりにくく柔軟に対応できる人は、介護職に向いている可能性があるでしょう。
観察力がある
介護職は、ご利用者様の小さな変化に気づく観察力が求められます。
とくに、認知症の方や寝たきりの方などは自分から不調を伝えらないため、介護職が変化を察知し、必要に応じて適切な対応を取ることが大切です。
また、観察力があることで周囲の職員との信頼関係構築にも役立つため、職場の雰囲気をよくすることにもつながります。
筆者も空気を読むのが得意なほうなので、介護職は向いているといえるでしょう。
未経験者が介護職への転職を成功させるコツ
未経験者が介護職への転職を成功させるコツは、以下の3つです。
- 希望条件を整理する
- 面接対策をしておく
- 転職支援サービスを活用する
事前準備を確実におこなうことで、転職の成功率は上がるため、ぜひ実践してください。
希望条件を整理する
介護職への転職を検討している方は、以下のような自分の希望条件を整理しましょう。
- 希望の給与
- 通勤時間や距離
- 夜勤の有無
- 職場の施設形態
- キャリア制度の充実度
上記のような希望条件を明確にしておけば、転職後のミスマッチを防ぎ、長く働ける職場に出会える可能性も高まるでしょう。
介護求人の効果的な探し方については、以下の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。
介護求人の探し方をわかりやすく解説|良い職場の見極め方も紹介
面接対策をしておく
介護職の面接では、志望動機や人柄、チームで働く意欲が重視されるため、事前に質問を想定した練習をしておくことが大切です。未経験者であっても、なぜ介護職に興味を持ったのか、どのような貢献ができるかを具体的に話せるようにしておくといいでしょう。
筆者も採用担当として面接をさせていただいた経験から感じるのは、実際に話した時の人柄や仕事に対する姿勢がもっとも重要視されることです。
豊富な経験や資格があっても、人柄や姿勢の部分で問題があると、採用を見送る傾向にあります。そのため、面接ではこれまでの経歴だけでなく、自分を採用することでどのようなメリットがあるかをアピールすることも重要です。
介護職の面接対策については、以下の記事が役立つので、ぜひ参考にしてください。
転職支援サービスを活用する
未経験から介護職へ転職する場合は、専門の転職支援サービスを活用するのがおすすめです。
介護業界に特化したアドバイザーが、希望条件に合った求人を紹介してくれるだけでなく、履歴書の添削や面接対策、内定後のフォローまでサポートしてくれます。
自分だけでは気づかない職場の特徴や雰囲気なども教えてもらえるため、ミスマッチを防ぐことにもつながります。
とくにはじめての転職で不安がある方は、プロの力を借りることで成功率が高まるでしょう。
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介護転職に関するよくある質問
介護転職に関するよくある質問は、以下の3つです。
- 未経験者におすすめの介護施設は?
- 職場に早く慣れるためのポイントは?
- 介護職の離職率は高い?
それぞれの詳しい回答を見ていきましょう。
未経験者におすすめの介護施設は?
未経験者には、以下のような特徴の介護施設がおすすめです。
- 未経験や無資格でも採用してくれる
- 教育体制が整っている
- 資格取得支援制度が充実している
- ライフスタイルにあわせて働ける
上記のような施設を探すために、さまざまな求人をチェックしたり、実際に職場見学したりするのが有効です。
介護施設の種類やそれぞれの特徴については、以下の記事を参考にしてください。
介護施設の種類には何がある?未経験でも働きやすい施設の選び方
職場に早く慣れるためのポイントは?
職場にできるだけ早く慣れるためには、自分から仕事を見つけ積極的に動くことです。職場によっては、人手不足で忙しく、先輩職員が指示を出してくれない場合もあります。
そのため、手が空いたら「何かすることはありますか?」と先輩職員に指示を仰ぎ、経験値を増やすことが重要です。
また、仕事以外の話も適度にすることで距離が縮まり、信頼関係の構築につながります。すべてを曝け出す必要はありませんが、必要に応じて趣味をはじめとしたプライベートの話もしてみましょう。
介護職の離職率は高い?
介護労働安定センターの「令和5年度介護労働実態調査」によると、介護職の離職率は「13.1%」です。
一方、全産業の離職率は「令和5年雇用動向調査結果の概況」によると「15.4%」です。
介護職の離職率は高いと思っている方もいるかもしれませんが、全産業に比べるとやや低くなっています。
まとめ
未経験から介護職へ転職を考えている方でも、さまざまな不安から行動できない場合もあるでしょう。
介護職は資格がなくても働けて、売り手市場で求人も豊富にあるため、未経験からでもはじめやすい仕事です。ただし、体力が必要でストレスも感じやすい仕事のため、効果的な腰痛対策やストレス発散法などを身につけておくことが大切です。
介護職のメリットとデメリットを把握した上で、自分に向いている職場を見つけ、安心して介護職への一歩を踏み出しましょう。
この記事を書いたのは・・・

津島 武志/Webライター
保有資格:介護福祉士/介護支援専門員/社会福祉士
業界17年目の現役介護職兼ケアマネージャー。
さまざまな介護系メディアでWebライターとしても活動し、多くの検索上位記事を執筆。
介護職以外に転職メディア「介護士の転職コンパス」や自身のライフスタイルや介護系コンテンツを発信するYouTubeチャンネル「かいご職TV」等を運営。