介護福祉士になるには?4つのルートや合格率まで詳しく解説

少子高齢化が進む日本では、社会全体で介護サービスへのニーズが高まっており、介護分野の資格に対する注目度も高まっています。

中でも、介護分野で唯一の国家資格である「介護福祉士」は、特に注目を集めています。

介護福祉士という資格の名前は聞いたことがあっても、
「どうすれば資格を取得できるのか?」「合格率はどれくらいか?」
気になっている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、介護福祉士とはどんな資格か、どうすれば取得できるのかの他、取得するメリットや試験の概要、合格率まで解説していきます。

 

介護福祉士とは

介護福祉士は、数ある介護関連の資格の中で唯一の国家資格です。

国家資格に合格し、介護福祉士の資格登録をした人しか介護福祉士を名乗ることは出来ません。
福祉系の国家資格である、社会福祉士、精神保健福祉士とともに「3福祉士」と呼ばれ、介護職の中で中核を担っています。

専門知識を有しているとみられるため、就職・転職の際も有利にはたらきます。
また、介護福祉士は更新も無く、全国どこでも通用するため、一生ものの資格であると言えるでしょう。

 

介護福祉士を取得するメリット3選

介護福祉士を取得することで、どんなメリットがあるのでしょうか。
3つ紹介していきます。

①高度な知識・技術を身に着けることが出来る

介護福祉士を取得するためには、介護に関する多岐にわたる分野を学び、理解する必要があります。そのため、受験勉強を通じて介護の高度な知識や技術を身に着けることが出来ます。

 

②キャリアアップの機会が増える

介護福祉士は、通常の介護業務の中核を担うことはもちろんですが、介護現場のリーダーポジションを任されることも多々あります。
また、介護支援専門員(ケアマネージャー)の受験資格を得られるほか、サービス提供責任者や生活相談員といった職種を目指しやすくなるメリットもあります。

現場以外の様々なポジションで活躍できるチャンスが広がるため、キャリアアップの機会が増えると言えます。

 

③給与・待遇に反映される

最後に、給与、待遇への反映です。

介護施設によっては、介護福祉士資格取得者に対して、資格手当が付与される場合があります。初任者研修、実務者研修も資格手当が付与される場合が多いですが、高い金額が付与される場合が多いです。

厚生労働省の、「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」を見てみると、令和4年12月時点の介護職員の平均給与額の状況は下記になります。


※引用:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」

介護福祉士は無資格者と比較すると、平均して61,160円給与が高い状況です。

以上のことから、給与・待遇の向上が期待できるでしょう。

保有資格別の給与の違いについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参考ください!


介護職員の平均年収は?年収アップの6つの心得を解説!

 

介護福祉士を取得するための4つのルート

介護福祉士の受験資格を得るためには下記の3つのルートがあり、定められた要件を満たす必要があります。

1つずつ見ていきましょう。

 

①養成施設ルート

介護福祉士養成施設は、厚生労働大臣の指定を受けている高等教育機関のため、最終学歴が高校卒業以上の方がこのルートを選択できます。

養成施設は4種類あり、①4年制大学 ②短期大学 ③専門学校 ④1年課程の専攻科です。
④の専攻科は、福祉系大学もしくは社会福祉士、保育士の養成課程を卒業した方のみが入学できます。

単位を取得して卒業すると、介護福祉士の受験資格を得られます。

 

②実務経験ルート

実務経験ルートは、「従業期間3年(1,095日)以上かつ従事日数540日以上の実務経験」かつ、「介護福祉士実務者研修 修了」を満たすことで、受験資格を得られます。
従業期間・従事日数は試験実施年度の3月31日まで通算することができます。

働きながら介護福祉士を目指す場合は、この実務経験ルートを選択するのが一般的です。
介護職員として働きながら実務者研修を取得すれば、介護未経験から最短3年以内に介護福祉士を取得することが出来ます。

注意

実務経験の対象となる施設(事業)は、主な業務として介護等の業務が含まれる施設です。
下記表を参考にしてみてください

上記施設で勤務していても、介護等の業務が含まれない職種の場合は、実務経験として換算することが出来ません。
詳細は、公益財団法人社会福祉新興・試験センターに記載の受験資格をご確認ください。

 

③福祉系高校ルート

現在中学生で、今後介護士として就業していきたいと考えている方は、福祉系高校ルートがおすすめです。
単位を取得して高校を卒業すると、介護福祉士の受験資格を得られるため、最年少で介護福祉士を目指すことができます。

注意

2024年度試験より実技試験が撤廃されるため、2008年度以前に福祉系高校に入学された方は、介護福祉士資格の登録を申請するまでに、「介護過程Ⅲ」を受講し、登録申請時に「介護過程Ⅲ修了証明書」を提出する必要があります。

ただし、2023年度までに介護技術講習会または介護課程を修了し、修了から3年を経過していない方については、登録申請時に「介護技術講習修了証明書」または「介護課程修了証明書」を提出すれば、「介護課程Ⅲ修了証明書」を提出する必要はありません。

 

④経済連携協定(EPA)ルート

EPAルートは、日本と外国の経済連携協定に基づき、外国籍の方が介護福祉士資格を取得できるルートです。

インドネシア人、フィリピン人、ベトナム人を対象としており、EPA介護福祉士候補者として来日し、日本の介護施設で実務経験を3年積むことで、介護福祉士国家試験の受験資格を得られます。
他のルートと同様、試験に合格することで介護福祉士の資格を取得できます。

注意

2024年度試験より実技試験が撤廃されるため、2024年5月以前に入国した方は、「介護実過程Ⅲ」を受講し、登録申請時に「介護課程Ⅲ修了証明書」を提出する、もしくは介護福祉士実務者研修を修了する必要があります。

なお、2024年度までに介護技術講習会または介護過程を修了し、修了から3年を経過していない方については、登録申請時に「介護技術講習修了証明書」または「介護過程修了証明書」を提出すれば、「介護過程Ⅲ修了証明書」を提出する必要はありません。

また、日本国籍の方は対象外となるため、このルートを利用して介護福祉士になることはできませんのでご注意ください。

 

国家試験の概要

介護福祉士国家試験は、年に1回、毎年1月頃に実施されます。
試験の申込みは、毎年8月〜9月頃、合否発表は、例年3月頃に行われます。

 

筆記試験の概要

筆記試験は、マークシート方式で出題されます。
基本的には5つの選択肢から回答を選んでいく、5肢択一の選択形式。全125問出題され、試験時間は220分です。

筆記試験の合格基準としては、正答率が約60%程度であること、かつすべての科目にて得点していることの2点です。

 

筆記試験の内容

2023年度に実施された、第35回介護福祉士国家試験(筆記)の試験内容は下記のとおりです。

※引用:公益財団法人社会福祉新興・試験センター「介護福祉士国家試験 過去の試験問題」

全ての試験科目で得点する必要がありますので、問題数が少ない科目は念入りに対策を行いましょう。

 

実技試験の概要

前述のとおり、2024年度試験(2025年1月実施)より、実技試験は撤廃が決定しています。
ルートによっては、事前に研修を受ける必要があるため、事前に確認しておきましょう。

 

国家試験の合格率

厚生労働省が発表した、第36回介護福祉士国家試験合格発表によると、2023年度の介護福祉士国家試験の合格率は82.8%でした。


※参照:厚生労働省「第36回介護福祉士国家試験合格発表」

この結果から、介護福祉士国家試験の合格率は比較的高く、しっかりと勉強すれば、合格できる可能性は十分にあると言えるでしょう。

 

国家試験合格後の申請・手続き

国家試験合格後は、介護福祉士の登録申請が必要です。
期限はありませんが、登録申請をしないと介護福祉士として働くことはできませんので、注意しましょう。

手続きの流れは、下記の通りになります。


※参照:公益財団法人社会福祉新興・試験センター「資格登録」

通常、提出書類に不備が無ければ、1か月程度で登録証が発送されます。
※不備があった場合は、不備が解消されてから1か月程度で送付されます

登録証の交付を受けると、晴れて介護福祉士を名乗ることが出来ます。

 

必要書類の詳細

提出書類は、下記の通りになります。
④は、介護福祉士養成施設を卒業した方は必須となりますので、忘れずに準備しましょう。


※引用:公益財団法人社会福祉新興・試験センター「資格登録」

 

まとめ

介護福祉士は、数ある介護関連の資格の中で唯一の国家資格です。
知識・技術が身に着くだけではなく、専門知識を有しているとみられるため転職の際や待遇面で有利になることが多くあります。

介護福祉士になるためには、
①養成施設ルート
②実務経験ルート
③福祉系航行ルート
④経済連携協定(EPA)ルート ※日本国籍の方は対象外
の4つのルートがあります。

介護福祉士国家試験の合格率は、近年約70~80%で推移しており、比較的合格しやすい国家試験のため、働きながら取得を目指すことも可能です。

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